パレード当日
ミツルギとネレスは銀色の竜と合流した後、パレードの日まで休むことにした。連続して戦いを行ったせいか、二人はかなり疲れていた。立ち寄った町の宿屋で休みはしていたが、いつ自分たちが騒動を起こした張本人として狙われるか分からないため、しっかり休むことはできなかったのだ。
今、銀色の竜の飛行船は身を隠すかのように森の奥深くに隠れている。モンスターはいるのだが、中にいるドレアンの魔力を察して逃げている。
「全く、今日が本番の日だってのに、ぐっすりと眠ってら」
ドレアンは客用の寝室の扉を見ながらコーヒーを飲んだ。ミツルギとネレスは客用の寝室で寝泊まりをしているのだ。だが、かなり疲れているせいで二日間も部屋から出てこなかったのだ。
「さーてと、そろそろ起こさないとまずいよね」
「だね。もう今日がパレードの日だし」
シャンとマーチは合い鍵を使って寝室の扉を開けた。そして、中の光景を見てクスリと笑った。
「ん? どうしたんだ?」
「見て見て、抱き合って寝てるよ」
シャンは笑いを抑えながらドレアンにこう言った。ベッドの上で爆睡しているミツルギの上にネレスがいて、しっかりと抱きしめて寝ていた。それに気が付かないミツルギは、安らかな顔でグースカ寝ていた。
「ネレスが上に乗っかってるっつーのに気が付かないのか? まぁいいや、俺が二人を起こすわ」
と言って、ドレアンはミツルギとネレスの体を揺らした。それでも起きなかったため、ドレアンは声を出しながら二人の体を揺らし始めた。
「おいコラ起きろ、もうパレードの日だぞ。いつまで寝てるんだ?」
その声を聞いたのか、ネレスがゆっくりとまぶたを開いた。
「う……ん? うるさい……ふぁ?」
その時、下にいるミツルギを見て、自分が今どんな状況かネレスは察した。
「きゃああああああああ! 私……一体どんな寝相で……」
「んにゃよ、騒がしいぞネレス。まだ寝たばっかりだっつーの……」
起き上がろうとしたミツルギに驚き、ネレスは態勢を崩してしまった。その結果、キスまでとは言わないが、互いの顔がかなり接近してしまった。
「あ……ごめん……」
「う……ううん、私の方こそ」
と、動揺して体が固まっている二人だったが、ドレアンの咳ばらいですぐにベッドの上に正座した。
「とりあえずおはようさん。かなり疲れてたようだな、二日間ずーっと寝っぱなしだったぜ」
「二日間も!」
「死んだかと思ったが、魔力は感じてたから息はしてると察したよ。ま、それだけ疲れがたまってたんだよ。とにかく朝飯だ。今日は奴らのパレードを襲うぞ」
と言って、ドレアンたちは部屋から出て行った。
その後、二人は朝の支度をして会議室へ向かった。すでに二人が座る机の前には、パレードの資料とモリトゥス、そしてゲインたちの写真があった。
「こいつがモリトゥスか」
「かなりの武闘派のようだ。いざとなったら俺が奴を叩きのめす」
ドレアンは拳を握ってこう言った。そんな中、カリューは二人にゲインの写真を見るように促した。
「これがバーラードの部下の一人であるゲインです。今入っている情報によると、ゲインは二人の部下を連れてこの町にいるようです。恐らく、ミツルギとネレスの力を見に来た可能性があります」
「俺とネレスの力?」
「はい。これまで二人はいろんな所で暴れまわしました。だが、ビガシャープ家はその情報を得ていません。ゲインはミツルギとネレスの力を調べ、報告する可能性があります」
「二人のことが奴らに知られたら厄介だ。いずれ、二人のことが知られる可能性があるが、今の地点で知られたら行動しにくくなるだろ?」
ドレアンの言葉を聞き、ミツルギは少し考えた後、目つきを変えてこう答えた。
「いや、俺とネレスのことが知られようが知られまいが、やることは変えない。どんな状況だろうと、俺は奴らをぶっ飛ばす」
「フッ。いいセリフだ」
ミツルギの笑みを見て、ドレアンはにやりと笑った。カリューは少し不安に思ったが、ミツルギのことを信じようと心の中で考えた。しばらくして会議を終え、ミツルギたちはパレードを襲う準備を始めた。
「今から一時間後、飛行船を飛ばす。目標はモリトゥスの屋敷。作戦通り狙撃班はモリトゥスの屋敷に近付いたら一斉に兵器に向かって攻撃しろ! 俺とミツルギ、ネレスで奴らを一網打尽にする!」
「分かりましたー!」
団員たちの声を聞き、ドレアンは大きな声で号令を発した。
「では行くぞ。目標! モリトゥスの屋敷!」
号令の直後、銀色の竜の飛行船にあるいくつもの翼が大きく広がり、上部に設置されているプロペラが回り始めた。そして、飛行船はゆっくりと空を浮き始め、いい具合の高さになった後、モリトゥスの屋敷に向かって飛んで行った。
モリトゥスの屋敷の屋敷にいるスティーブは、自分が守る位置で武器を持って立っていた。スティーブの姿を見たセイントガーディアンの団員が、思わず声を出した。
「おい、パレードはまだ始まらないぞ」
「奴らのことです。その前に襲ってくる可能性があります」
「そりゃーそうだが……お前は気を張りすぎだ。少し休めよ」
「いえ、休む暇はありません。そのうちに奴らが来たら大変なことになる」
スティーブの答えを聞いた団員は、ため息を吐いてスティーブに近付いた。
「真面目なのはいいが、休まないぞいざという時動けないぞ」
「その時は根性でカバーします」
「根性か……ま、お前にその位の根性があればいいんだが。言っとくが、根性があっても体が付いていかなければ意味ないからな」
と言って、その団員は去って行った。会話の後、スティーブは心の中でこう叫んだ。
いつでも来い、闇の少年よ! 今度こそ、私が倒してやる!




