大規模なパレード
ミツルギとネレスは銀色の竜の飛行船でトヨーシの町で見てきたことを話していた。
「結構工場があるんだね」
「だからけむっぽいんだ。兵器工場がここにもあったなんて……」
シャンとマーチはこう言っているが、カリューは紅茶をすすってこう言った。
「ビガシャープ家の兵器工場は世界中にいくつも存在する。この前潰した兵器工場も、そのうちの一つだ」
「そんなに兵器を作って何をするんだろうね」
「武力でいろんな町を抑えようとしているんだよ。汚いやり方だよ」
「本当にそうだな」
と、ミツルギはシャンとマーチの話を聞いて頷いていた。そんな中、ドレアンは一枚の紙を机の上に置いた。ネレスはその紙に書いてあることを見て、思わず声を上げた。
「どうしたネレス?」
「見てよミツルギ。大体的に軍事パレードを行うみたい」
「何でそんなもんをやるんだ?」
「力があることを見せつけるためだ。ここで作った兵器もいくつかパレードに出すって書いてあったな」
ドレアンは説明をしながら、あることを考えていた。
「夜に攻めて潰そうとしたが、敵がこうやって目立つことをするなら、それを利用するのも手の一つだな……よし、決めた!」
そう言ってドレアンは急に立ち上がったが、その際机に足のすねをぶつけた。
「で、ドレアンさんの考えって何ですか?」
足のすねを抑えているドレアンにネレスは声をかけると、ドレアンは涙目で振り返ってこう答えた。
「奴らが兵器を見せびらかすのはいい機会だ。兵器をぶっ壊すチャンスがある」
「だけど、爆発で町の人が危険じゃねーのか?」
ミツルギはこう言ったが、ドレアンはある一文を読むようにミツルギに伝えた。
「えーっと……パレードの開始時点はトヨーシの町を支配するモリトゥスの館から。そこから町の人が集まる広場にて兵器の紹介とモリトゥスの演武……」
「兵器がまだモリトゥスの館にある時に襲えばいい。それで兵器を壊して館も壊せば奴らは大パニック!」
ドレアンの話を聞き、ミツルギたちは話し合いを始めた。確かに町の人の被害を抑えるためにはパレード開始を狙った方がいい。しかし、タイミングの問題もある。きっと敵もパレード中に敵が攻めてくることを考え、見張りがたくさんいるだろうと思っている。
「敵はいるかもしれないが……どうせどこで戦っても結果は同じ。敵は付いてくる。いいか? 俺たちはこれまでいくつも修羅場をくくっている。今回みたいなこともあったじゃねーか」
「確かにそうですね。よし。では作戦決行はパレードの日ということで」
カリューの言葉をきっかけに、色んな作戦を皆は考え始めた。考え抜いた結果、パレード当日に行う奇襲作戦はこうなった。
・明後日に行うパレードに向け、兵器を狙う狙撃部隊は館付近の建物に待機。
・モリトゥス護衛隊との戦いに備え、戦闘部隊は近くの建物に潜む。
・狙撃部隊の作戦が成功し次第、戦闘部隊は攻め込む。
・モリトゥスとゲインたちを倒す。
以上の通りである。
「作戦会議はこれにて終了。明日はそれぞれの準備を行ってくれ!」
と、ドレアンの言葉で作戦会議は閉めとなった。その後、ミツルギとネレスは用意された部屋へ向かい、話を始めた。
「今回の戦いはきつそうだな」
「でも、皆がいるから何だか平気」
ネレスの言葉を聞き、ミツルギは苦そうな笑みでこう言った。
「俺とお前の二人だけだったらどうする?」
「うーん……何とかなったのかな?」
「かもな。これまで結構いろんな奴と戦って来たから、俺もネレスも強くなってると思うぜ」
ミツルギはそう言って、少し魔力を出してネレスに近付いた。
「ちったぁ俺の魔力強くなったろ?」
「うん。最初の頃よりも強くなってる気がする。これでもまだ本気じゃないよね」
「ああ。本気の時は奴らと戦う時になってからだ」
そう言って、ミツルギは大きな欠伸をした。
「いっけねー、長話だったせいで結構眠いな……」
「明日も早いし、もう寝よう」
「そうだな。それじゃあお休みー」
二人は会話を終え、部屋の電気を消して眠りに入った。
モリトゥスの館では、ゲインが部屋から外を眺めていた。
「何見てるんだ?」
パジャマに着替えたオデッサがこう聞くと、ゲインは笑いながら答えた。
「奴らは今どの辺にいるのかなーって」
「奴ら……ああ、銀色の竜のことか」
「それもあるが、闇を使う小僧も気になる。きっと、この場に現れる」
ゲインはそう言うと、ゆっくりと魔力を強く出し始めた。オデッサは欠伸をしながらゲインにこう言った。
「ゲイン、魔力が漏れてるぞ」
「いっけね、どれだけ強いか考えるだけで興奮してきた」
「全く、子供じゃないんだから」
「いいじゃねーか、どんな強い相手と戦えるか楽しみなんだよ」
「そういう考えが子供なんだよ。まぁ、考えは子供だけど、やってることはおっかないが……」
「それ以上言うなよ。俺はもう少し夜風に当たったら寝るから」
「はいはい。遅くならなるなよ。それで体調崩したらパレードの日が大変になるんだから」
「大変なのはモリトゥスとその下っ端だろ。俺たちには関係ねーさ」
「はいはい。それじゃあ俺は寝ますので」
「ああ。いい夢見ろよー」
と言って、ゲインは部屋に戻って行くオデッサに向かって手を振っていた。




