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鉱山解放

 町の人を開放する中、ネレスは時折感じる大きな魔力に不安を募らせていった。ミツルギは鉱山を支配するスカッシャーとネーゴの二人を相手に戦っている。ネレスは一刻も早く町の人を開放し、ミツルギの元へ向かおうと思っていた。


「ありがとなお嬢ちゃん」


「この恩は絶対に忘れない!」


「ありがとね~」


 町の人たちは解放され、ネレスに礼を言いながら去って行った。


「まだいるのかな……」


 ネレスはこう呟き、まだいる町の人たちの牢屋を見て、気合を入れなおした。




 ミツルギは右腕に纏った闇を振り回し、スカッシャーに攻撃を仕掛けていた。対するスカッシャーも剣に魔力を込め、隙を見てミツルギを切ろうとしている。


 強い、闇の力はこんなにも強い物なのか!


 そう思いながら、スカッシャーは後ろに下がって呼吸を整えた。これまで何度も強く剣を振っている。もし、生身の人間で盾や腕輪などの防具がない時にこの攻撃を喰らったら、確実に腕が切断されるくらいのダメージを与えられる。しかし、ミツルギは右腕に闇を纏っているせいで簡単に腕を切ることはできず、更に闇の方が頑丈のせいか、剣に込めた魔力が徐々に減ってきているのであった。


「結構ばててるなおっさん。無理しない方がいいんじゃねーのかー?」


 ミツルギは挑発のつもりでこう言った。その言葉を聞き、スカッシャーは歯を食いしばりながら立ち上がって叫んだ。


「舐めるなよクソガキが! このスカッシャーの本気、見せてやろう!」


 スカッシャーは体中にある魔力を全て剣に込め、更に巨大な刃を作った。両手で剣を構え、ミツルギを睨むように見つめて走り出した。


「これがあんたの最終兵器ってわけか」


「その通りだ! いくらお前の闇でもこの刃は、決して折ることはできん!」


「やってみないと分からないもんだぜ、おっさん」


 ミツルギは右腕の闇を操り、先端を刃のように尖らせた。そして右腕を後ろに回し、スカッシャーが迫って来るのを待った。


「これで終わりにしてやる! くたばれ小僧!」


「くたばるのはあんただ、おっさん」


 接近して剣を振り下ろそうとしたスカッシャーに対し、ミツルギは素早く後ろに引いた右腕を振り上げた。先端が刃のようになっているせいか、スカッシャーの魔力の刃は斬られてしまった。


「そんな……溶けたバターを切るように簡単に……」


「俺の勝ちだ!」


 ミツルギは振り上げた右腕を構えなおし、スカッシャーに一撃を食らわせた。この攻撃を喰らったスカッシャーは、血を流して倒れそうになった。


「ぐ……クソ……」


 薄れゆく意識の中、スカッシャーはミツルギのことを睨もうとした。しかし、その前にスカッシャーは意識を失った。




 すでに鉱山から去ったゲインたちは、スカッシャーとネーゴの魔力が消えたことに驚き、後ろの方にある鉱山に振り向いた。


「あらら、やっぱりやられたか」


「そんな気楽でいいんですか? 規模は小さいとはいえ、主要施設が潰されたんですよ?」


「分かっちゃいねーなー。俺にとっちゃ規模のことはどうでもいい。今知りたいのは暴れてる奴がどんな奴らかってことだ。闇を使う小僧か……いずれ俺たちも戦うことになりそうだな」


「はぁ、銀色の竜のこともありますし、本当に敵が増えますね」


「強い敵なら俺は歓迎だ。面白い戦いになりそうだからな」


 と言って、ゲインは笑い始めた。笑い始めるゲインの姿を見て、二人の部下は気持ち悪そうにこう言った。


「あの、急に笑うと頭のおかしい人に思われますよ」


「うるせーな。別にどんなタイミングで、どんな理由で笑おうが俺の勝手じゃねーか。部下のくせに生意気だぞ。このっ、この!」


「止めてくださいよゲインさ~ん」


 その後、ゲイン一行はふざけあいながら鉱山から去って行った。




 気を失ったスカッシャーとネーゴを連れ、ミツルギは鉱山の出入り口へ向かっていた。その途中で、鉱山から逃げ出す町の人と何度もすれ違った。町の人は気を失っているスカッシャーとネーゴを見て、ホッとした表情を見せていた。


「結構いるなー」


 ミツルギがそう呟く中、ネレスがミツルギの姿を見つけて駆け寄って来た。


「ミツルギ! 無事でよかった」


「ああ。何とかな。ネレスも無事でよかったよ」


 ミツルギはそう言うと、少し体のバランスを崩して倒れてしまった。驚いたネレスは慌ててミツルギに駆け寄り、回復魔法をかけた。


「悪い……急に体がフラって来た……」


「無茶しすぎだよ」


「かもな。結構魔力を使ったし……それに、こいつらをここまで運んだし」


 ミツルギはそう言いながら、気を失って白目を向いているスカッシャーとネーゴを見て答えた。ネレスは回復魔法をかけ終えた後、ミツルギを起き上がらせた。


「ごめんなネレス。世話になったよ」


「一緒に行こ。二人なら出入り口まで行けるよ」


「ああ。重いものを一緒に背負うことになって悪いな」


 ネレスはこの言葉を聞き、ミツルギの方を見て言葉を返した。


「気にしないでミツルギ。私たち、仲間……というか、相棒でしょ」


「相棒……」


 ネレスの相棒の言葉を聞き、ミツルギは小さく笑った。


「そうだな。俺とネレスってそんな関係だな」


「うー……自分で言って恥ずかしくなってきた」


「そんなこと言うなよネレス」


 そんな話をしながら、二人は鉱山の出入り口へ向かって歩いて行った。


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