襲撃者を倒せ
ミツルギとネレスは慌ててネレスが住んでいる村へ向かった。
「皆! 大丈夫?」
ネレスは村に到着した直後、黒い鎧と戦っている村人にこう言った。
「ああ。転送呪文がうまく行ったようだな」
村人はミツルギを見てこう言った。その言葉を聞いた黒い鎧は、ミツルギの方を見て走り出した。
「こっちへ来ます!」
「全く、あっちでもこっちでも騒騒しいな」
ミツルギは近くにあったほうきを手にし、黒い鎧に向けて投げた。だが、黒い鎧は持っていた剣でほうきを真っ二つに斬ってしまった。その隙を狙い、ミツルギは相手の兜に向かって蹴りを入れた。
「これでぶっ倒れてな!」
倒れた黒い鎧に対し、ミツルギはこう言った。その後、その黒い鎧が持っていた剣を奪い、遠くにいた仲間らしき鎧に近付いた。
「うおおおおおおおおおおおおお!」
剣を持ったミツルギは大声と共に剣を振り下ろした。その声に気付いた黒い鎧はミツルギの攻撃を防御し、持っていた剣を吹き飛ばした。
「ヤベッ!」
やばいと思ったその時、ネレスが剣先から火の玉を発した。その火の玉は黒い鎧に命中し、激しく燃え上がった。
「クソッ、撤退だ! 一回引くぞ!」
黒い鎧の一部が声を上げた後、仲間を連れて逃げ始めた。ミツルギは立ち上がり、ネレスに頭を下げた。
「助かった。死ぬかと思ったよ」
「あんたが異世界の戦士かい?」
と、村人がミツルギに近付いて声をかけ始めた。
「本当に戦士かい? 魔力も何も感じないけど」
「体は鍛えてあるけど、それじゃあねぇ」
「弱そうだな。不安だ」
「珍しい髪の色だねぇ。昔いたと言われる魔族みたい」
そんな言葉を聞き、ミツルギはため息を吐いてこう言った。
「助けてやったのにその態度はないだろ。それと、さっきの奴はなんだ?」
「私が説明します。一度、私の家に行きましょう」
その後、ミツルギはネレスが住んでいる家へ向かうことになった。
ミツルギはネレスが住んでいる家で、いろいろと話を聞いていた。
「先ほどの黒い鎧がこの世界を支配している連中です」
「支配している連中ねぇ。あんな変な格好をした奴らが……」
「奴らはビガシャープ家の手下。私が今言ったビガシャープ家がこの世界を支配しているの」
「一家でこの世界を支配してるのか。それをどうにかしてほしくて、俺をここへ呼んだのか」
「はい」
大体のことを理解したミツルギだったが、突如めまいが襲った。
「うえ、気持ち悪い」
「どこかぶったの?」
「違う。体中が熱い。頭がくらくらする。さっきまではこんな調子じゃなかったのに……」
ミツルギの話を聞いたネレスは、慌ててベッドを用意し、ミツルギを横にした。その時、様子が気になった村人たちが家に入って来た。
「ネレスちゃん、その坊主は……ってありゃ、寝込んじまってるよ」
「急に気分が悪くなったみたいで」
村人たちは寝込んでいるミツルギを見て、不安げに会話を始めた。
「ネレスちゃんがせっかく異世界から呼んだというのに……」
「あんな状態じゃあこの先不安だねぇ」
「ビガシャープ家どころか、下っ端さえ倒すのに苦労しそうだよ」
「おいあんたら……勝手に人様をここに呼び出して、何もできないからって好き勝手言うんじゃねーぞ」
話を聞いていたミツルギは、少々苛立ちながら叫んだ。その直後、更に具合が悪くなったので、ミツルギはしばらく寝ることにした。
「悪いネレス。あの連中を黙らしてくれ。少し眠い……いろいろあって頭が疲れた」
「ごめんね。関係ない異世界のあなたをこの世界へ呼んでしまって」
「気にしなくていいよ。俺も俺であの時死ぬか生きるかの瀬戸際だったし」
「何してたの?」
「仕事でトラブルがあってね。ま、その話は余裕がある時にするよ」
と言って、ミツルギは目をつぶった。
ミツルギは夢を見ていた。どこだか分からない一室で、ミツルギは眠っていた。体は動かない。周りは柵のような物で囲まれている。しばらくすると、黒い髪の男性と光のような金髪の女性がのぞき込んで来た。
「できるなら、この子が大きくなるのを見届けたいのだが」
「それも叶わないみたいだね。もう奴らが近くまで攻め込んできている」
「この子だけでも生き延びていて欲しいな」
「できれば、この世界じゃない平和な世界だといいんだけど」
「祈ろう。この子の無事を」
「そうね」
男女はそんな会話をしていたのだが、村人の大声で夢は中断された。
「大変だァァァァァァァァァァァァ! ウレマーズの奴がやって来た!」
目を覚ましたミツルギは、周囲を見回した。だが、そこにはネレスの姿はなかった。
「ネレス? どこ行ったんだ、変な奴が来たみたいだけど」
ネレスの名を呼びながらミツルギは立ち上がった。ぐっすりと寝たおかげか、ミツルギの体にはだるさはなく、めまいも無くなっていた。
「寝て治ったのか。ま、そんなことはどうでもいいか」
そう呟いた後、ミツルギはネレスの家を出て、村の広場へ向かった。そこには黒い鎧の軍勢を率いる白い服を着た男が立っていた。
「さぁ、そろそろここも我らにひれ伏したらどうだい?」
男はニヒルな笑みをしながら、村人たちにこう言った。




