鉱山内での動き
スカッシャーは時計を見て、不審そうにネーゴに話しかけた。
「おい、そろそろ見張りの連絡時間だが、こねーな」
「ああ。いつもなら数分前に連絡が来るんだけど……」
「まさか……」
スカッシャーとネーゴは武器を持ち、部屋から出て行った。その音を聞き、眠っていたゲインは目を覚ましてにやりと笑った。
「さて、噂の奴がどれだけ強いのか……お手並み拝見っとね」
鉱山に侵入したミツルギとネレスは、作戦通りミツルギが戦い、ネレスが町の人の解放を行うため、二手に分かれた。
「何かあったら戦うんだ。お前ならできるよな?」
「うん。ブリッツスパーダがあるから大丈夫」
「よし! それなら俺も安心して暴れられる。奴らも見張りが倒れたことに気が付くだろ。その前に町の人たちを頼む」
「任せて。ミツルギも無事にね」
「ああ。じゃ、行こう!」
会話後、二人はそれぞれの目的のため、二手に分かれた。
ミツルギは身をひそめながら、こっそりと敵を倒そうと思っていた。騒ぎが大きくなれば、ネレスの方が大変になると考えたからだ。下手に暴れて騒動が拡大化し、連中が町の人を傷つけるかもしれないとミツルギは考えていた。そのため、こっそり倒すしか手はないのだ。
しばらくミツルギは走っていると、身を隠せそうなドラム缶を見つけた。すると、近くから足音と話声が聞こえた。ミツルギはすぐにドラム缶に近付き、中に何も入ってないことを確認して中に入った。
「見張りがやられたって言ってるみたいだぜ」
「スカッシャーさんとネーゴさんが、今武器を持って走って行ったのはそのせいか」
「ゲインさんたちが来てるからって、張り切ってるんだよ」
「侵入した奴も運がないな、よりによってバーラード様の部下の一人が来てる時に侵入したもんな」
「そうそう。ほんと、運がない奴だよ」
敵の会話が聞こえた。敵がドラム缶を通り過ぎたのを確認した後、ミツルギは身を乗り出して闇を発し、敵を攻撃した。敵は音に反応してすぐに振り向こうとしたが、その前に闇が命中した。
「自分で言うのもあれだけど、ナイスショット」
ミツルギはそう呟き、倒した敵をドラム缶に隠し、蹴っ飛ばして坂道を転がした。
同時刻、ネレスは鉱山内にある部屋の確認をしていた。ところどころ門番らしき人物がいたため、そこに何かがあると察した。どうしようと考えていると、あるアイデアが浮かんだ。
ネレスは門番から少し離れた所へ移動し、近くに落ちていた石を人の気配がなさそうな所へ投げた。
「ん? 何の音だ?」
門番は石が落ちた音を聞き、その場所へ向かった。ネレスはブリッツスパーダを構え、魔力をこっそり開放して水の魔力を放った。放たれた水は門番に命中し、大きく広がりながら口元へ入った。
「んがっ! がっ……」
口の中に入った水は急激に広がり、門番を窒息させた。
「死なない程度に……」
ネレスは魔力で門番の中の水を消した後、気を失った門番に近付いて鍵を取り、扉を開けた。その中にいたのは、ボロボロの布切れのような服を着た人たちだった。
「何だ君は?」
「ビガシャープ家の連中じゃない……」
この言葉を聞き、ネレスはこの人たちが町から連れてこられた人だと察した。
「私はビガシャープ家の連中じゃありません。助けに来ました」
「助けにって……奴らは通路にうじゃうじゃいるんだけど……」
「ここまで来る時、全員倒しました」
ネレスの言うとおり、通路には気を失った鉱山の見張りが大量に倒れていた。ネレスの力を見た町の人は、頭を下げてネレスにお礼を言った。その時、ネレスは別室で囚われている町の人のことを聞き、すぐに助けに向かった。
スカッシャーとネーゴは移動中、あることに気が付いていた。
「変な魔力を感じる」
「ただ者じゃねーな。とにかく慎重に……おおっ!」
ネーゴが見つけたのは、気を失って倒れている部下だった。急いで駆け付け、ネーゴはその部下にこう聞いた。
「おいどうした? 誰にやられた?」
そう言っても、部下は目を覚まさなかった。ネーゴは目を覚まさせるために顔を叩いたら耳元で起きろと叫んだが、部下は目を覚まさなかった。
「かなり強くやられたようだな。一体誰が?」
スカッシャーが呟いた直後だった。突如部下の悲鳴が聞こえたのだ。
「誰だ!」
スカッシャーとネーゴが慌てて現場に駆け付けると、目の前に闇が飛んできた。スカッシャーは剣を装備して闇を切り払い、ネーゴは魔力を開放して飛んできた闇を蹴り払った。
「闇のような物……まさか噂の奴か?」
「ここに侵入したようだな! 出て来いネズミ!」
ネーゴは叫びながら足を蹴り上げるとともに、衝撃波を放って行った。その衝撃波が近くの岩を破壊すると、その裏に隠れていたミツルギが姿を現した。
「あれが噂の奴か?」
「子供じゃないか」
「しかし……子供といえども我らに歯向かう奴は許さない!」
スカッシャーは魔力を開放し、剣を構えなおした。ミツルギは立ち上がり、大きく深呼吸をして戦いの準備をした。
「さーて、気を入れないとな!」
そう言ってミツルギが小さくジャンプし始めると、スカッシャーがミツルギに向かって斬りかかっていた。




