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動き出すバーラード

 ミツルギとネレスによってドベンロは捕まり、彼を護衛していたニオウダンたちセイントガーディアンもモレーノの人たちによって捕らえられた。


「気を失ってるが、いつ目を覚ますか分からないぞ。慎重に運べ」


「その前に、魔力制御装置を付けないとな」


 街の人はこう言って、セイントガーディアンたちに魔力を制御する首輪をつけた。そんな中、ミツルギとネレスは戦いで疲れたため、宿屋に戻っていた。しかし、寝ようとしても街の人たちが二人に礼を言うために部屋の前に集まってきているのだ。


「ね……眠れない……」


「どうしようミツルギ、静かにしてって言っても聞かないよ~」


「し……仕方ない」


 ミツルギはそう言うと、布団を被った。


「布団をかぶって寝るしかない。少しは静かになるはずだ」


「それしかないね」


 会話後、ネレスも布団を被って眠り始めた。




 ベラドーラにあるビガシャープ家の城。その一室にある伝令室にいる下っ端は、あることを不審に思っていた。


「おかしーなー、モレーノを支配するドベンロから連絡が来ねーぞ」


「そっちもか」


 別の下っ端がこう言った。モレーノの異変を察した下っ端はその下っ端に近付いて話を始めた。


「そっちもかって、そっちは何がおかしいんだ?」


「スネーク剣士団からの連絡もないし、ホロラードの兵器工場のゲーズからも連絡が来ないんだよ」


「ホロラードの方は大分前から来てないだろ」


「だけど、その直後でスネーク剣士団が連絡してないんだぜ。何かあったに違いない」


「思い出した。ホロラードは銀色の竜が暴れたって聞いたぜ」


「げぇ、奴らが動き出してるのか。それですぐにスネーク剣士団をやったってわけか」


「違うと思う。奴らはあの後すぐに身を隠したと思う。いつものやり方だ、暴れて少しした後、また暴れる」


「そうだったな。一応バーラード様に伝えるか?」


「話は聞いていた」


 下っ端はバーラードの声を聞いて驚き、慌てて後ろを振り向いて頭を下げた。


「お疲れ様で、バーラード様!」


「実はその、えーとその……」


「話は聞いていたと言っただろ。どうやら、銀色の竜以外に俺たちに歯向かうバカが現れたようだな」


「その可能性があります」


「モレーノのセイントガーディアンからも連絡がないし、そいつらに倒された可能性があるな」


 バーラードの話を聞き、二人の下っ端は驚いた表情をした。しかし、バーラードはにやりと笑ってこう言った。


「心配するな。俺の部下を行かせる。兵器工場が破壊され、多数の部下が下種な人種に捕まった。黙って見ていられるか」


「そうですか」


「それなら、もう安心です」


「話は以上だ。作業に戻れ」


 下っ端はバーラードに向かって返事をした後、バーラードは去って行った。


 その後、バーラードは城内の廊下を歩いていた。しばらくしてため息を吐いた後、魔力を開放してこう言った。


「今は遊んでいる暇はないぞ、ゲイン」


「へへっ、ばれましたか」


 ゲインと呼ばれた男は、天井の飾りの所からバーラードの所へ着地した。


「暇なんでばれないように隠れていましたが」


「遊んでいる暇はないぞ。お前に一つ頼みたいことがある」


「待ってました!」


 ゲインは手を叩いて喜びをあらわにし、バーラードに近付いた。


「どうやら、俺たちに歯向かうバカが現れたようだ」


「銀色の竜以外に?」


「ああ。そいつらはモレーノの街のセイントガーディアンを倒すほどの実力者だ」


「あんなところのセイントガーディアンを倒して図に乗ってるんですかねぇ?」


「とにかくだ、お前に頼みたいのはそのバカの始末だ。情報はないため、地道な作業になると思う。頼れる部下を連れてもいい、バカを始末して来い」


「わっかりましたー!」


 ゲインはそう言って足早に去って行った。その姿を見たバーラードは小さな声で呟いた。


「頼むぞ、ゲイン」




 モレーノから遠く離れた森の中、そこにはミツルギによってぶっ飛ばされたスティーブが倒れていた。


「グッ……くそ……グ……」


 ミツルギに倒されて大きな傷を負ったスティーブは、気合で起き上がろうとしていた。しかし、体を動かす度に強烈な痛みが体中を駆け回る。その度、スティーブは悲鳴を上げてその場に倒れていた。


「ハァ……ハァ……」


 気力も体力も失い、スティーブは心の中でこんな所で朽ち果てるのかと、呟いていた。しかし、頭の中でミツルギの罵倒が響いた。


「何が権力の犬だ……何が俗物だ……何が! 何が悪だ!」


 大声と共に、スティーブは立ち上がった。そして歩きだそうとしたが、再び激痛が襲った。


「ガァッ……」


 小さな悲鳴と共に、スティーブはその場に倒れた。もう一度立ち上がろうとしたが、すでに体中の体力と気力と魔力は底尽きていた。


「もう……終わりか……」


 そう呟いた直後、遠くから足音が聞こえた。獣が近付いて餌にするのだろうと考えたスティーブは、小さなため息を吐いた。しかし、近付いてきたのは獣ではなかった。


「大丈夫かスティーブ?」


「見回りに来たら声が聞こえたんだ。酷い傷だな……」


 近付いてきたのは仲間のセイントガーディアンだった。安堵したスティーブの目からは、涙が流れていた。


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