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飛ばされた先で

 謎の門に吸い込まれたミツルギは、叫び声を上げながら落ちているのか上昇しているのか分からない状況に陥っていた。


「何だよこれ? 落ちてんのか? 上がってんのか? というかどこだここ!」


 回転中に、ミツルギは周囲の状況を確認した。辺りには雪の結晶のような緑色の物体が漂っていて、オーロラのような物が大量に発生していた。訳の分からぬまま、ミツルギは不安になっていた。そんな中、光のオーラが発生し、ミツルギの体に近付いた。


「何だおい? 近付くんじゃねー!」


 手足をバタバタさせてオーラを飛ばそうとしたが、オーラはミツルギの手足をかいくぐり、全身に纏った。しばらくし、ミツルギの体が急に熱くなった。熱でも出たかと思ったミツルギだったが、突如脳内で声が聞こえた。


 また、あの世界に戻ることになるとはな……。


 この声を聞き、ミツルギは周囲を見回しながら叫んだ。


「おい、今の言葉はどういうことだ? あの世界ってどういうことだ!」


 いずれ分かるだろう。私はただの案内人だからな……。


 この言葉の直後、ミツルギの前に大きな門が現れた。


「また門かよ」


 出口は近い。お主の脳内にはグローリーラウンで不便しない程度の知識を入れておいた。役に立つだろう。


 再び脳内に響いた声を聞き、ミツルギは叫んだ。


「だから何だよそれ、もうちょっと詳しく教えてくれよ!」


 いずれ分かると言った。もう着くぞ。


 その言葉の直後、ミツルギは再び門の中へ入って行った。




「うわああああああああああああああああ!」


 門を抜けたそこは、草原のような場所だった。ミツルギは草の上に倒れ、すぐに立ち上がって周囲を確認した。


「おい、さっきの声の奴どこだ? いろいろと教えろ!」


 大きな声で怒鳴った直後、近くで女の子の声が聞こえた。気になったミツルギはその声の方を振り向くと、そこには腰を抜かしている少女がいた。髪は金色、長さは肩にかかる程度。目の色は青色だった。ミツルギはその少女に近付き、戸惑いながらこう聞いた。


「えーっと……ここはどこ?」


「ここはグローリーラウン。あなたが異世界の戦士なのね」


 この言葉を聞き、ミツルギの目が点となった。


「異世界の戦士? 俺はそんなんじゃないぜ。ただの日本人」


「ニホン……ニホン? ああ、異世界の名前ね」


 なんのこっちゃと思いながら、ミツルギは周囲を見渡した。だが、あの少女の他に誰もいない。ミツルギは悩みながら少女に声をかけた。


「俺を呼んだって言ってたけど。どういうことだ?」


「君は転送呪文でこの世界に飛ばされたのだよ」


 突如、光と共にスーツ姿の男が現れた。少女はその男性に近付き、声をかけた。


「この人が異世界の人……でいいんですよね」


「はい。まぁ、ちょっといろいろと事情がありますが、必ずあなた様の力になると思います」


 この声を聞き、ミツルギはこの男性が自分を訳の分からない場所に連れ出したと察し、近付いた。


「おい。あんたは一体何者なんだ? この世界は何だ?」


 男性はミツルギの方を向き、礼儀よく頭を下げて質問をした。


「私は転送呪文の精霊、テレラール。異世界からあなたのような戦士をこのグローリーラウンへ連れてきました。どういったわけでこの世界に呼ばれたかは、この少女にお聞きください。では、ごきげんよう」


 と言って、テレラールは消えてしまった。ミツルギは彼を引き留めたが、その前に消えてしまった。


「全く、しゃーねーの……」


 ミツルギはため息を吐いた後、少女に近付いて話しかけた。


「とりあえず何で俺をここに読んだか教えてくれよ」


「あの……その……実はこの世界を救ってほしいの」


 この言葉を聞き、ミツルギは思わずはぁと言ってしまった。


「この世界を救ってほしい? 変な奴が支配しているのか? 魔王か? 変な訳の分からない物体か?」


「支配してるのは魔王でも変な物体でもない。とある一家。とりあえず、私が住んでる村に行きましょう」


 その後、ミツルギとその少女は会話をしながらその少女が住む村へ向かった。その最中、二人は軽く自己紹介を始めた。


「俺はミツルギ。日本では何でも屋をやってた」


「ニホン……あなたが住んでた世界?」


「世界っつーか国だな。お前は何て名前だ?」


「私はネレス。魔法使い」


 魔法使いと聞き、ミツルギは目を丸くして驚いた。改めてネレスを見ると、左腰には赤い宝石が付いた剣が携えられていた。


「剣も使うのか。というか、それ本物か?」


「はい。私は魔法以外にも剣を使います」


「ふーん」


 ミツルギは短く返事をしたが、ネレスがミツルギの髪を珍しそうに見ていた。


「黒い髪が珍しいのか?」


「え? はい。この世界に黒い髪の人はあんまりいないので」


「へー。外国みたいだな。日本には俺みたいな髪の色がうじゃうじゃいるのに」


「そうなんですね」


 そんな話をしていると、少し離れた所で煙が上がっていた。それを見たネレスが驚き、慌てて走り出した。


「おい、ちょっと待てよ! 何があったんだ?」


「村が襲われてるの!」


 この答えを聞き、ミツルギは慌ててネレスの後を追いかけた。


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