次の目的地
ドレアンに誘われ、ミツルギとネレスは銀色の竜の飛行船へ入った。
「俺、飛行船なんて初めて入るぜ」
ミツルギは初めて飛行船に入るせいか、かなりテンションが上がっていた。その一方で、ネレスは少し緊張していた。
「一体何の話なんだろう。うー、ドキドキする……」
二人が飛行船内に入った直後、突然雑巾が飛んできた。二人は慌てて避けたが、ドレアンは避けれなかったせいで、雑巾が顔面に命中してしまった。
「ブェーッペッペッ! 何で雑巾が飛んできた? しかも使用済みじゃねーか!」
「あー! ごめんごめんドレアンさん」
「野球ごっこしてたらすっぽ抜けちゃったー」
と、二人の少女が現れた。ドレアンはその少女に近付き、雑巾を渡しながら叱った。
「ったく、掃除するなら掃除をしろ。遊ぶんじゃねー。時間の無駄だ」
「はいはい」
「はいは一回」
「へーい」
二人の少女は顔を上げ、ミツルギとネレスを見て近付いた。
「ねぇ、広場で暴れた剣士と魔法使いってあなたたち?」
「見かけによらずすごい度胸があるのね」
少女に言い寄られ、ミツルギはドレアンの方を見て助け船を求めた。それを察したドレアンは二人の少女にこう言った。
「俺はこの二人と話がある。シャンとマーチはどこか行ってろ」
「えー、私も話が聞きたいー」
「大事な話だ。お前たちは関係ない!」
と、シャンとマーチにこう言ってドレアンは二人を連れて奥へ向かった。しばらく歩くと、会議室と書かれて扉が現れた。
「ここで話をしよう。もう一人重要な奴が待っている」
「重要な奴?」
「サブリーダーだ。ま、後で紹介するよ」
その後、ドレアンは扉を開き、二人を部屋の中へ入れた。部屋の中には大きなテーブルがあり、いくつか椅子が置いてあった。そのテーブルの中央にミツルギやネレスと同年代くらいの少年が座っていた。
「ドレアンさん、お疲れ様です」
「待たせたなカリュー。この二人が騒動の時にあった強そうな奴だ」
「ええ。彼らの活躍はモニターで見てました」
カリューと呼ばれた少年はミツルギとネレスに近付き、握手を求めた。
「私はカリュー・バード。革命軍銀色の竜のサブリーダーです」
そう言われ、二人は慌てて自己紹介を始めた。
「俺はミツルギです。見て分かるか分からないけど、この世界の人間じゃないです」
「私はネレスと言います。小さな村で育ちました」
「小さな村……そう言えば、その周辺を支配しているフレッパとウレマーズが見かけなくなったと聞いたが……もしかして君たちが倒したのか?」
「ええ。はい」
ミツルギの答えを聞き、カリューはドレアンに近付いた。
「ドレアンさん。この二人なら信頼しても大丈夫です」
「実力もある。度胸もある。最高だ」
「あの、何の話ですか?」
ネレスがこう言うと、カリューとドレアンは椅子に座って話を始めた。
「俺たちがここに来たのは、ここから東に行った大きな町、ホロラードを支配しているゲーズって奴を倒すためだ」
「ゲーズはホロラードの住人を無理矢理兵器工場で働かせています。その情報を聞き、私たちはゲーズ討伐と兵器工場の無力化を決めました」
「本当はビガシャープ家の所に殴りこんで暴れたいが、奴らはかなり強い。その為、地道に奴らの力をそぎ落とす活動をしてるんだ」
話を聞いた後、ネレスは手を上げてこう聞いた。
「兵器工場で作られた兵器は、ビガシャープ家に渡されるんですか?」
「ああ。他にも工場はあるらしいが、情報がない。やっとホロラードにあるってことが分かったんだ」
「力で支配するってことか。許せねーな」
話を聞いたミツルギは、拳を強く握ってこう言った。ミツルギを見たドレアンはにやりと笑った。
「お前さんみたいな正義感溢れる奴は嫌いじゃない。だがちょっと冷静になれよ」
「ああはい。すみません」
「謝ることはない。話と言うのは、工場の無力化とゲーズの討伐を手伝ってくれないかって話だ。どうだ?」
話の内容を理解したミツルギとネレスは同時にドレイドにこう言った。
「「はい。力をお貸しします!」」
ホロラードの中央部。そこにちぐはぐな造りの工場があった。何本もある煙突からは黒い煙が上がっており、そのせいかホロラードの周辺には草木がなかった。工場で無理矢理従業員にされた老人は窓から外を見て呟いた。
「昔は自然であふれていたんじゃがのう……」
「おいジジイ! 昔話をする余裕があるならとっとと動け!」
ビガシャープ家の下っ端が鞭を振り回し、老人を痛めつけた。それを見た他の人たちはすぐに自分の作業へ戻った。老人は悲鳴を出しながら立ち上がり、持ち場へ戻った。
「全くクソジジイが。とっとと動けっての」
「いいじゃないか。今月のノルマは達成したし、少しぐらいゆっくりやっても」
と、紫色のスーツを着た男が下っ端に声をかけた。下っ端は慌てて男の方を振り向き、敬礼をした。
「ハッ。ゲーズ様!」
「仕事をしないからと言って、奴隷をいじめるのは止めてくれ。少しでも働ける奴は動かしたい」
「分かりました」
「それよりも。銀色の竜のニュースを聞いたかい?」
「はい。隣町に現れたと」
「ここの工場のことが奴らに知らされたみたいだよ。いつ来てもおかしくないから、対策として兵器を用意しておくように」
「分かりました!」
ゲーズは下っ端にそう言うと、鼻歌を歌いながら去って行った。




