episode1 ロマン卿降り立って、状況把握
前回のあらすじ
1、装備チェック
2、質問タイム?
3、さぁ、冒険の始まりだ
俺を包んんだ光がおさまるとそこは街の中で噴水の前だった。
ただし、寂れた感じのする街だった。
そんな風景に驚いていると横に新しく光が現れて人が現れる。
別のプレイヤーか。装備て的には剣士か。
そんな風に眺めていると。
「やっと終わったか、長いんだよ設定時間。
ふーん、これがNLWOの世界か。
本当に綺麗なグラフィックだな。
人が少ないのは気になるがまあいいか。
まずはネットにあったように冒険者協会で登録して狩りにいくか。」
と言って駆け出していった。
「おいおい、ベータの情報鵜呑みにして自力で情報収集しないででいくのかよ。
見た感じ周りにプレイヤーがいないのもみんな狩りに行ってるからなのか。
これ街中に限定クエストとかあったりしたら、大変だろうに。
ま、俺は俺、他は他で俺は街中探索するかね。」
そんなことを呟きながら街の様子を観察しなが歩き始める。
が、歩く速さを変える必要性が出てきた。
理由は、現地民からの視線が嫌悪または敵意の籠もっているからだ。
ベータの時は第2の街までしか行けなかったようだが、最初の街からこんな様子だと大変だぞ。
こんな状態の理由を探らないと後々に影響が出るぞ。
そう思い、俺は話が聞けるところを探し始めた。
最初の噴水があった場所から大通りを進んでいくと、大広間に出て現地民たちが露店販売をしていた。
話を聞こうと思ったが、その前にデバイスをチェックしてお金があるのか調べたら5000Bと書かれているのがイベントリに書かれているのを見つけたのでこれがお金なのかと思い、ヘルプ機能で調べたら当たりで使い方も載っていたので話を聞き始めることにした。
俺が選んだ店は、いい匂いを出していた焼き鳥屋にした。
顔を伏せていたので年齢がわからず
「やぁ、店主さん。焼き鳥1本と話をちょっといいかな。」
と声をかけたら顔をあげ、真正面からみたら綺麗な顔をした女性だった。
「いいよ、まずは焼き鳥1本だね。それなら銅貨って何だい、人の顔をじっと見て。」
と言われたの俺は慌てて謝る。
「ああ、すまん。あまりにも綺麗で見とれていたんだ。
それで銅貨だったよな。何枚いるんだ。」
「ばぁか、綺麗とかいきなり言うんじゃねぇよ。
たっく、変わった奴だな。まぁいい、銀貨1枚と大銅貨5枚だ。」
言われ慣れてないのか照れていたが、ちゃんと接客はするようだ。
銀貨1枚と大銅貨5枚なら150Bか。
デバイスを弄り、お金を取り出す。
そんな様子を見た彼女は先程照れていたのが嘘のように表情を険しくした。
「その出し方、お前さん、来訪者かい」
と険しい声で聞いてきたので素直に認めることにした。
「ああ、否定しても後で露見するだろうし、素直に認めるよ。
貴方のように、私たち来訪者を住民が嫌悪しているのも感じてね、その理由が知りたくて、美味しそうな匂いを出していたこの店の店主に話を聞こうと思ってよったしだいさ。だからできれば話してもらえれば嬉しかな。嫌なら、買った焼き鳥だけ貰って去るとするよ。」
と言って彼女の決断を待つことにする。
「まぁ、お前さんは2ヶ月前の連中とは違うようだし、少しは相手してやってもいいか。
これは2ヶ月前の話だが、」
と言って彼女は語り出した。
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それは2ヶ月前のことだった。
急に全世界に向けて
「世界の仕組みを変更する。
また、4ヶ月後には数多くの来訪者が現れるだろう」
という声が響いたんだ。
それだけなら何が変わったかを調べるだけで良かったはずなのに、この街にだけ新たな声が聞こえたんだ。
「この街は来訪者が訪れる最初の街に決まった。
来訪者は4ヶ月後に数多く来るがその前に少人数のテストで先行2ヶ月後に呼ぶことになった。
それに合わせてこの街でテストをすることになった。
住んでるものには悪いがテスト期間中ある仕掛けを施すことにした。
活動に制限が掛かるかもしれないがその間で来訪者たちのことを知ってくれ。」
と。
そして、2ヶ月後来訪者たちがやって来たその瞬間に仕掛けは発動したんだ。
その仕掛けとは、街中の住民全員が自分の意思で行動できなくなることだったんだよ。
行動も何かに操られるように動き、言動も一定の言葉を繰り返すようになっちまった。
そんな中来訪者共は、私たちを何でも言うことを聞く人形だと思い、いろいろと好きかってしやがりやがった。
中には、何にも反応を示さないからと下心満載の目で見られたりすることも多かった。
そんな自分たちは何もできずに、来訪者に好きかってされる地獄のような2週間が過ぎていったんだ。
(中には普通に接してくれる奴もいたが、極少数だったよ。)
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「だからそのテスト期間が終わったら、この街の住民の約7割が他の街に出ていっちまったよ。
私たちのような残った者たちは訳ありだったり、来訪者たちの好きにさせるかと
反骨精神で残った者たちばっかだよ。」
彼女の話を聞いてうわーと思ったよ。
「聞いた感じ、現地の人たちを人形だと来訪者たちに思うようにしたのと、来訪者たちを自分勝手でろくでもない奴らと現地民に思わせるようにしたのが両立しちゃってるな。
確かにテストをしてた奴らの情報にも人形のようだとはあったけどさ、何か仕掛けがると思わないのかな。
見た目に違いはないのに。マジでなんかの試練があるんじゃないのか。」
と感想を述べていると。
「試練?どう言う意味だい。」
彼女が不思議そうに聞いて来たので、
「いやなに、来訪者ってこっちに来る時好きなスキルを選べるんだが、その時にも試練のようだなと思ったのを思い出してね。
確かそのテスト期間中は、来訪者のスキル成長速度が10倍になってたというが今は通常に戻してあるということだったな。
それを聞いて楽を教えてから難しくするとかどんな試練なんだよって言ったのを覚えているよ。」
と答えてあげたら、
「ふーん、試練ねぇ。
参考までに聞くけど、あんたならこんな状況だとどんな内容を考える」
ちょっと考えてから、
「そうだな。
来訪者が人形扱いをやめて、現地民からの嫌悪を取り除いて友好を結ぼう。
と言った感じの試練かな。」
と答えたら彼女はお腹を抱えて笑い出した。
「ふっはははは、友好を結ぶか。
それは確かに現状だと試練にしてもいいな。
人形扱いをやめたとしてもそれを私たちがすぐに信じる訳がないからねぇ。
あんたがそう言いふらせば、来訪者共は表向きちゃんと接し始めるだろうが内心はどう思ってるか分からないからね。」
と言いながらこちらを見てくる彼女。
「まぁ、自分から言いふらすつもりはないよ。
こういうのは自分で気づかないと意味がないだろしね。
もしかしたら、答えは言わずともヒントは出すかもしれんがねぇ。
気づくか気づかないかは、貰った奴しだいだね。」
と肩を竦めながら答えれば、
「面白いねぁ、お前さん、名前は?
一応、商人コミュニティで信用できるかもリストに入れとくからよ。」
「この世界では、リュウコクと名乗ることにしているよ。
そういう貴方のお名前をお伺いしても。」
「リュウコクね。いいわ、覚えておくよ。
それで私の名前ね、教えてあげる。
クレジーナっていうの、よろしくねって言おうと思ったけどそれは貴方次第かしら。」
そう言って彼女は朗らかに笑った。