episode0 始まりの理由
はじめまして、夜を刻む者、刻夜です。
よろしくお願いします。
始まりはいつだって唐突よね。
そう思わない?
こんな報告を聞いてるとさ。
「えっ、何だって。
もう一回、言ってくれる?」
目の前の配下(天使)が報告書に目を通しながら言う。
「はい、認めたくはないのは分かりますが大事なことなのでしっかり報告させてもらいます。
本日、星占部署の巫女天使が今から約3年半後、謎の外来性侵略者によってただ今管理している世界が攻撃を受け、崩壊する未来を予知しました。」
淡々と無情にも現実を目の前の配下は突きつけてくるな〜
と思いにふけながら上を見上げる。
そこにはうすら光る白い天井しかなかったが。
そんな現実逃避をしていると。
「ヴェル様、現実逃避したいのは配下一同よく分かりますが対策して頂きませんと貴方様の身や私どもの存在が危うくなりますのでしっかり考えてください。
働き詰の人生で終わりたくはないので。」
と言ってきた。
確かに対処しないと大変なことになるのはわかっているけど、あの世界を助けるのもな〜。
助けないと自分は降格もしくは地上堕ちだし、配下の天使たちも降格した場合は力量にあったところまで処分されるし、地上堕ちしてしまえば全処分だから自分だけの問題ではないのよね。
「分かったよ。対策会議開くから代表天使たちを呼んできてくれる?
これからの自分たちの未来を決めるために」
そう言って私は会議の準備を始めた。
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「ふざけんじゃないわよ」
代表天使たちを集めて会議を始めた理由を説明して、聞き終わった最初の言葉がこれだよ。
まぁ、分からないでもないけど。
だって今管理してる世界って、私たちの言うこと聞かないもの。
スタンピードが起こると神託を出しても教会は民衆に伝えず、住民達もギリギリまで気付かないで慌てて防衛するのだから。
ただチームワークはいいから乗り切れるけど、被害が大きく恨みの祈りが届くのが嫌になるのよね、原因はこっちにはないのに。
神託を受け付けれる存在を冒険者等に用意しても教会がすぐに気付いて囲い込むから、無意味になるし、どうして気づくのかしら。
教会なんて神託を受けれる人を選出するための組織で、ただ回復能力の高い集団でしかないのに、どうやって力を持ったのかしらね。
そんな言うこと聞かない、恨み言を言うだけの世界が崩壊するだけで自分たちの身が危なくなるなんて聞いて、怒らない訳がないじゃない。
「落ち着きなさい、ネア」
先程、私に報告をしていた天使長ネイアが戦士隊隊長のネアをなだめる。
「しかし、天使長!」
さらにネアが何か言おうとするが、
「だから落ち着きなさいと言っているでしょう。
貴方の思っていることはここにいるみんな共通の思いなのだから。」
と言われて
「わかりました。天使長。
皆さんすいませんでした。」
と謝りながら頭を下げた。
「さぁ、ネアが落ち着いたところで対策会議を始めましょうか。
まず、本題の占い結果だけどアリーシャ、外れることはないのよね?」
と私は星占部署の巫女天使アリーシャに訪ねる。
「はい、非常に残念な事に決まってしまった未来です。
防ぐこともできないようで、現地民に撃退してもらうしかありませんが力不足で負けてしまい崩壊します。」
と言う返答が返ってきた。
「はぁ、決定事項ね。
それじゃあ、何か案はあるかしら?」
と尋ねるが、
「そうは言っても、神界が襲われない限り神・天使は直接、戦闘したらダメなんだろ。
地上が襲われるだけで神界にはこないってことだしな〜
しかも別の世界から召喚するのも禁止だろ。
難しくねーか?」
とネアがいい、他の代表もそうだなと頷いている。
そんな中、
「すみません、ちょっとよろしいですか?」
と外交部署の代表メイリルが手を挙げて言い出した。
「かまわないわ、意見も出ないことだしどんどん言ってちょうだい。」
と私が言うと
「わかりました。それでは失礼しまして2つほど、
1つ目はこれがあるからこそ言える2つ目のための前提条件ですが、ヴェル様には報告がいってると思いますが先日、上層部より世界システムの書き換えの許可が降りましたので、こちらを利用したシステムの書き換えをという意見と2つ目は書き換える方針の参考程度ですが、先日別の日に訪問した世界、地球での話ですが何でも人が作った仮初の電子世界とやらを一般人に提供して娯楽にしているものがあったのですが、それを参考にシステムを書き換えて世界を跨ぐことになりますが来訪者として呼び込むのはどうでしょうか。仮初の体でこちらにきて、好きな時に帰れるようにすれば、先程戦士長ネアが仰られた召喚という事にも抵触してないようにおもわれますが。」
と彼女の意見を聞いて周りを見てみると皆、納得と不安を混ぜ合わせたような顔をしていた。
まぁ、それもそうよね。
来訪者達は多分現地民よりいうことを聞いてくれそうだし、様々な影響を与えてくれるかもしれないけど、好きな時にきて帰れるというのはいざ侵略者が来た時に対応してくれるかは分からないものね。
けれど、
「はいはい、みんな先のことを考えて素直に認められないのはわかるけど、ほかに案はあるのかしら?」
と尋ねれば誰もいない。
だから私は、
「そうね、半年で受け入れ準備をして、3年間で来訪者達に力をつけさせるとして、その3年の間で来訪者達が現地民達の意識を変えることができれば万々歳として、現状を変える一石として投げ打ってみてはどうかしら。
人の意思は別の世界の人に任せるってね。」
と言ってみた。
そう言えば、代表達も現地民の現状を変えるきっかけになるならばとやる気を見せはじめた。
それから私達は行動を始めた。
世界間干渉する訳だから、現地の神には私が直接、お願いしにかないとね。
地球だったかしら。
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お願いしにいった結果、地球の神も運営に協力させることが条件だけど干渉できるようになってよかったわ。
初手から裏話を話し始めるスタイル。