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覚醒
意識が戻ってきた。
意識、という言葉を憶えていた。
目を開いた。
目を開く、という動作を憶えていた。
手を動かしてみる。
身体を動かす、という経験を憶えていた。
ここはどこか。
自分のいる場所を憶えていなかった。
自分とは誰か。
自分が何者なのか憶えていなかった。
視界が乱れる。
次第に浸食されていく。
こことは違う風景。
なにかがいた。
大勢いた。
どんどん離れていく。
そのなにかが白くなって崩れた。
一……、二……。
一体……、二体……。
一人、二人。
そうだ。
「彼ら」を数えるときはその単位を使った。
自分は「彼ら」から避けられていた。
それで悲しかったか?
悲しいとはなんだ。
楽しかったか?
楽しいとはなんだ。
感情はそこにはなかった。
なぜ「彼ら」を襲っていた?
それが使命だからだ。
それが生まれてきた意味だからだ。
存在価値がそこにある。
だから、
そのために、
人間を抹殺する。
一人残らず、
今度こそ――。




