第六話 血に染まる湖
ゴリラの背に乗りドローンを操る美少女ゴーレム、ゴリラの横を歩く俺、おかしい俺は歩きたくないからゴリラを出したんだ。だがこのゴリラ俺が乗ろうとしたら全力で拒否をしだした。
「なあメカゴリ君、試しに俺を乗せてみないかい?」
『ウホッ? ウホッウホッウホッ!』
これだもの。何を言ってるかはわからないが、動作でわかる首を振りながら腕で×を出してくる。
「なあナガレからもメカゴリ君を説得してくれないか? 俺を乗せてみないかって」
『嫌です。メカゴリ君は私を運搬するので精一杯です。メカゴリ君の気持ちも考えて下さい、野糞をした粘液まみれの童貞何て乗せたくないでしょ? マスターに常識は無いんですか?』
ひっ酷い言われようだ泣きそうだ・・・・。
レベル上がったんだよな? 大抵レベル上がったら身体能力も上がるんじゃないのか?
『マスターは身体能力より、スキルへの割り振りが多いんです。典型的な特化型の人間です、世間ではオールラウンダーが需要があるのに。』
「世間はどうか知らないが、ナガレには俺のステータス見えるのか?」
『それはもうばっちりくっきりと、知力がD判定なのが泣けてきますね・・・・』
おのれナガレめ!人のステータス見て泣き崩れる芝居をしてやがる。
「Dってのはどれくらい何だよ」
『ゴブリンと同じくらいです。』
キリッとした顔で言い切りやがった・・・・。酷い酷すぎる。
「ゴッゴブリンかよ・・・。まっまあ良い他はどうなんだ、体力とか運とか」
『体力はDこの世界の平均値よりやや低いですね。運はEなのでこの世界で一番低いです』
「まっまじ? 運が一番低いって・・・・爺さんも俺は運が悪いみたいに言っていたが凹むなあ」
『その分スキルに全て注ぎ込まれていますから、マスターの画力向上とレベルが上がれば敵無しですよ』
「おっおう、ありがとう」
急に褒められたから照れて思わずそっぽを向いてしまう。
『単純ウホッ』
「おいメカゴリ君! 喋れるだろ! 今単純って言ったろ!」
『メカゴリ君が喋れる訳ないでしょ、やれやれこれだから知力Dは困ります』
俺は言い返そうとしたが無駄だと思い黙って歩き続けた。正直足は痛いし、もう日本に帰りたい。
♢
休み休み歩き、体感時間で3時間程歩いて湖に着いた。そこはこの世の物とは思えないほどの幻想的な空間が広がっていた。
「すげえ」
語彙力の無い俺が出せた唯一の感想だった。
『湖を調べたいので、スキルで水中用ドローンと水質チェックする物を作って下さい。あっ砲撃は必須ですからね、湖の中にも生体反応はありますので』
ナガレには情緒も感動もへったくれもなかった。俺は肩を落としながらも、米海軍が作っていた鮫に似せたドローンを作る。機雷も発射出来る様にした。水質を調べる機能を背鰭に搭載させた。
ぽんっ
「良し、シャーク君水質調査と危険生物の排除を頼む!」
『操作するのは私何ですけどね』
シャーク君を着水させると、勢いよく水の中を動いている。湖に鮫って昔のB級映画みたいだ。しばらくすると
ドンッ! ドンッ! と言う音と共に連続で水飛沫が上がる。
「うおっナガレ敵が居たのか⁉︎」
『はい。シャーク君に遅いかかって来たので排除中です』
青々として綺麗だった湖が赤く染まって行く。
「うわあ。血だろあれ? 湖が赤くなってるよ・・・・。死体もどんどん浮き上がってくるし。グロロロ」
俺は盛大に嘔吐した。
なぜなら画面越しでも気分が悪くなったのに、首や手足が無いサハギンタイプの魔物達が次々と浮かんで来るからだ。
この時スマホが鳴っていたのも気付かなかった。