表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の筆  作者: 貝人フィーチャリングりんねしゅー
2/16

第一話 ピクチャークラフト


「痛てて……筆ペン⁉︎ ああ筆ペンが無事で良かった……」


 左手の中には先程の祭の騒動から救出した筆ペンがしっかりと握られていた。


『御主、現状把握よりも先に筆ペンの心配とは変わっとるのお』


 しゃがれた声が頭上から聞こえてきた。


 辺りをキョロキョロと見回したが、真っ白な空間以外何もない。多分さっき頭を打ったせいだな……。


『上じゃ上』


 声につられて上を見てみると座布団に座って宙に浮く不思議な老人がいた。


「うわっ! うっ浮いてる? ネタだ! 描かなきゃ! あれ? 俺のバッグは何処だ? スケッチブックは?」


『バッグもスケッチブックも無いわ。あるのは御主の身体と衣服と筆ペンだけじゃ』


「何でだよ! 衣服と筆ペンがあるならスケッチブック位サービスしてくれよ!」


『サービスって御主……』


「白い床? 凹凸も無い? 描ける、描けるぞ!」


 座り込み、老人の絵を床に描き始める。


「クッソスマホがあれば写真に撮って、ゆっくり描けるのに・・・・」


『儂の絵を描いてくれるのは嬉しいんじゃがのう、少し話を聞いて欲しいんだがのう』


「話? 描き終わるまで待ってくれ!」


『仕方ないのう・・・』


 何時間かけたか、わからないが納得の行く一枚を描けた。良い仕事をした。あー残念タバコは無いか、衣服だけって話だったもんな。


「待たせたな、でここ何処? 俺確か祭に行ってそこで……ウグアアア! なっなんだめちゃくちゃ頭が痛え」


 余りの痛みに頭を抱えてのたうちまわる


『御主は死んだんじゃよ、人混みに流され頭を打ってな。その痛みはフラッシュバックしたんじゃろ。御主儂の神社の入り口で死ぬとは何とも運がなかったのお』


「はぁはぁはぁ……。死んだ⁉︎ まじかよ……。締め切りどうすんだよ……ネタ集めに来て死んでたら意味ないじゃないか! クッソ先生との約束破っちまうじゃないか」


『死んだ事より締め切りや約束破る事が気になるとはのう。変わっとるなあ』


 先生とした約束だぞ? 俺の命何て比べるまでもないだろうに、この爺さん何を言ってんだ? 


『命より約束が優先とはのう。後御主の考え読めとるからの? とりあえず御主は死んだ。これは確定事項じゃ、世間では身体ごとこちらに呼び込んだから今はまだ行方不明扱いじゃがな』


「死んだのは確定かよ……」


 死んだのはまあ良い、恋愛もした事無いし友達も居なかったしな。だけど漫画は描きたかったな。結局新人賞一本の一発屋で終わりか……。


『そこで御主に提案なんじゃが、異世界にいかんかの?』


「異世界? ダメダメこっちの世界で売れたいんだよ」


『そうかのう、漫画のネタも沢山あるんじゃがのう。もしかしたらネタを沢山集めてこっちに帰れるかもしれないんじゃがのう。仕方ない、普通に輪廻の輪に戻すかの』


 漫画のネタ⁉︎ しかも地球にそのネタを覚えて戻れる可能性があると⁉︎


「ちょ! あの待って! 異世界の話を詳しく!」


『うん? 聞きたいのか? でも儂散々待たされたしのう』


 俺は恥も外聞も捨てて土下座をした。俺の特技の一つジャンピング土下座だ。並み居る不良を引かせた必殺技である。


「お願い致します! どうか哀れな豚にチャンスを!」


『御主、変わり身はやいのう・・・。まあ儂の絵に免じて話そうかの。異世界アナシア、地球と対を成す世界じゃ。独自の発展を遂げていての、魔法やスキル等が存在する。地球にもゲームがあるじゃろあんな感じ』


 後半の説明が適当になっているが、我慢だ。聞き逃さないようにしよう。


 そうだ! 床にメモしよう!


『床にメモしようじゃないのう。ほれこれをやるからこれを見ながら質問せい』


 爺さんが渡してきたのは何処にでもある様なスマホだった。スマホを立ち上げると、説明事項と言う欄があった。


1、スキルや魔法がある世界

2、魔物がいる世界

3、文明水準は中世


「あっあの説明が大分雑なんだけど・・・・」


『それは現地で覚えたら良いわい。御主等地球人はチートを寄越せと大抵の者が騒ぐが御主はチートはいらんのか?』


「チートは貰えるなら欲しい・・・。魔物が居る世界何て正直喧嘩も料理もした事無いし、チートが無いと直ぐ死んじゃうと思うんだけど・・・」


『謙虚じゃのう、そうじゃのうどんなんがええかのう』


 爺さんがぶつぶつと考えている最中に俺は手持ち無沙汰になったので、爺さんから借りたスマホをいじってみた。


 画面を横にスクロールしていくと、アプリが入っていた。アプリを起動させるとゲームのキャラメイキングの様な画面に切り替わった。


 おっ年齢かうーん、向こうの成人が何歳かわからないしなあ。18位で良いか。顔は変えないでおこう。先生に会えた時に別人すぎてもしんどいしな。


 更に下のスキル欄や魔法欄を見るとほとんどがグレーアウトしてタップできなかった。


 とりあえず一つは押したし下までスクロールして見るか。



 俺はあるスキルに目を奪われる。




 ◆ピクチャークラフト


 ※描いたスキルや魔法を使えるようになる。自身のレベルによって使えるスキルや魔法の幅が広がる。正確に描けば描くほど力は強くなる。


 おおおお!! これだ! これにしよう! 絵の練習にもなるし、俺にぴったりだ!


 俺は直ぐにピクチャークラフトをタップした。二ページ目にある注意事項も読まずに……。

 



 ※注意事項 装備固定 アクティブスキルはピクチャークラフトで再現した物のみ使用可能。自身のレベルや画力に応じてマイナス補正も有る。描き終わるまでスキルは発動しない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ