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幼馴染が引きこもり美少女なので、放課後は彼女の部屋で過ごしている(が、恋人ではない!)  作者: 永菜葉一
2章「一歩進んで、さらに甘々days」

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第27話 勃発、幼馴染会議!①


 さて、世の中には俗にいう、家族会議というものがある。

 家のなかでのっぴきならない問題が生じた時、家族全員で話し合う例のやつだ。


 それと同じような意味合いで、俺と唯花(ゆいか)の間には子供の頃から幼馴染会議というものがある。

 双方の意見が真っ向から対立した時、膝を突き合わせて話し合う、幼馴染同士のガチンコ会議だ。


 ルールは一つ。

 お互いが納得するまで話し合う。

 ゲームに逃げない。

 駄々をこねて誤魔化さない。

 『奏太が悪い』の思考停止に陥らない。

 伊織(いおり)は巻き込まない。

 伊織は巻き込まないけど、いよいよとなったら一回だけお茶を出しにきてもらうのは無しじゃない。

 

 ……ルールは一つと言いつつ、まったく一つじゃない辺りにこれまでの歴史を感じてほしい。会議は踊るとはよくいったものだ。


 そして本日、久方ぶりの幼馴染会議が開催となった。

 ……開催というか勃発だな。俺も唯花も臨戦態勢だ。


 勉強机側に俺が『どどん!』と効果音がつきそうな感じで座っている。

 まわりに味方として置いてあるのは、男子っぽいヒーロー系のフィギュア。


 同じくベッド側に唯花が『べべん!』という感じで座っている。今日は久しぶりのパジャマ姿。オシャレしていない辺りにお怒りっぷりが表れている。


 唯花を支援するようにまわりに置かれているのは、美少女フィギュアとぬいぐるみたち。こっちの男子フィギュアより圧倒的に数が多い。どっちも唯花の持ち物だから仕方ないが、味方が少ない感じがしてやや悔しい。


 見た目の劣勢を覆すため、俺は機先を制して口火を切った。


「何がとは言わないが、最近の唯花の行動について、俺はまあまあ理解を示しているつもりだ」

「何がとは言わないけど、最近の奏太があたしのやろうとしてることについて、暖かく見守ってくれてるのはあたしも感謝してるところだよ、うん」


 すかさず唯花も切り返してきた。

 言ってることは平和だが、お互いに視線が火花を散らしている。


 ここで幼馴染会議の特徴を一つ挙げておこう。

 それは毎回、議題が明文化されないこと。


 普段、口に出して言えないようなことをオブラートに包んだまま折衝する、それが幼馴染会議である。


 古くは幼稚園の頃、一緒にお昼寝している時、唯花のオネショが度々俺のせいとなり、オブラートに包みつつも『お前、さすがに罪をなすりつけ過ぎじゃろうが』と俺が訴えた。


 近年では中学に上がったばかりの頃、唯花の胸が急速に育ち始め、思春期真っ盛りの俺がチラ見を我慢しきれず、唯花がオブラートに包みながら『奏太、さすがに見過ぎでしょーが』と訴えてきた。


 それを踏まえて今回の幼馴染会議の発端が何かというと、もちろん昨日の危うく一線越えそうになった一件である。


 俺が伝えたい要求は『好きになってもらうぞ大作戦』はいいが、さすがにエロ関係は自重してほしい。そろそろ我慢の限界が近いので……というもの。


 唯花からの要求は……まさか一線越えろというものではないだろうし、慎重に探っていかねばなるまい。


「唯花、俺は思うんだ。古来より我が国では節度という文化を大切にしてきた。そのなかで俺たち現代人は――」

「奏太はあたしとえっちしたくないの?」


 いきなり本丸に切り込んできやがったーっ!


「おま、ストレート過ぎるだろ!? ちょっとコンビニいってオブラート買ってこい! 俺の財布持ってっていいから!」

「引きこもりにそんな大冒険できるわけないでしょー! 今日の会議はオブラート無し! 素直に率直に忌憚なきご意見を伺いたい!」

「神をも恐れぬ行為じゃ……っ」

「神は死んだ! 我々が殺したのだーっ!」


 どこかのラスボスもしくはドイツの哲学者のようなことを言い、ふんぞり返る幼馴染。


「この際だからはっきりちゃんと口にして! 奏太はあたしとえっちしたいんでしょ?」

「それを今さら明言する意味はまったくない気がするが……めちゃくちゃしたいに決まってるだろーが」

「じゃあ、なんでいつも踏み留まるのよぉ!」


「じゃあ逆に聞くけど、踏み留まらなくていいのか!?」

「それは困るけど!」

「困るのかよ!? いや困るだろうけど! なんだなんだこの会話!? 俺はなんかの幻術を掛けられてるのか!?」

「――ふっ、残像だ」

「いや消えてねえから! 丸見えだから!」

「丸見えとか……本当、奏太ってえっちぃ」

「そういう意味じゃねえよ!? ああもうなんなんだ、この会話ーっ!」


 俺は頭を抱えて苦悩する。

 一方、唯花はこほんと咳払い。

 少し視線を逸らし、黒髪を恥ずかしそうにいじる。


「あのね、奏太が毎回どうにか踏み留まってくれるのは嬉しいの。……ああ、大切にしてくれてるんだなぁ、ってすごく感じるし」

「う、うむ……」

「でもぉ……」

「でも、なんだ?」

「なんだかんだで踏み留まれちゃうのは…………むぅーってなる」

「はい?」


 意味が分からず、眉を寄せる俺。

 そのリアクションが気に入らなかったのか、唯花は「だからっ」と声を張り上げた。


「奏太がギリギリで我慢できちゃったら、なんかあたしにあと一歩魅力がないみたいじゃない! こーんな美少女が据え膳になってるんだから、男の子の奏太は我を忘れてどうにかなっちゃわなきゃダメでしょー! もちろん一線越えられちゃったら困るけど、越えてない今の状況もそれはそれでなんかイヤなのーっ!」

「超ド級のワガママ姫か――ッ!」


 俺たちの大声でまわりのフィギュアが軒並み倒れた。

 議論は空転し、波乱の幼馴染会議は続く。


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