3話 勧誘
俺はアルクさんに案内された部屋で少し仮眠を取ることにした。
よく考えれば仕事明けで休まずにここまで来たんだから疲れたんだと思う。
そして部屋で一人になった瞬間に睡魔が襲ってきた。
アルクさんは部屋に入る前にスマホを渡してくれた。
自分のは勿論圏外で使えない。
これがあれば何かあった際にアルクさんに連絡が取れるのでかなり安心できる。
ちなみにここではPCも使用しているらしい。
現世の情報や文化はこちらでも流用しているらしい。
便利な世界だ。
ファンタジー感は無いけどな。
起きると部屋の外は暗かった。
夜のようだ。
起きると同時に空腹であることに気付く。
とりあえず外に出てみようかな。
ミトラさんに見学の許可は貰ってるしな。
身支度を整えてドアを開けるとそこには見慣れない人影があった。
とても大きい人だ、2メートルはあるだろう。
額には立派な角があった。
「おぅ、ちょうどよかった。これから挨拶しようと思ってたところだったんだ。よかったら一緒に飯を食いにいかないか?」
気さくな人だな。
そんな第一印象だった。
聞くと彼はここで調査班という仕事をしている大神さんというらしく、現世から来た俺に興味があるらしくここに来たらしい。
ここの事をいろいろ聞きたかったし一緒に食事をすることにした。
大神さんと共に行ったのは焼肉屋だった。
そしてこの店は当たりだ。
畜産も現世とあまり変わらないらしく牛肉と豚肉がとても旨く、当然酒も旨かった。
どうやら比較的高級な店らしいがその金額に見合う素晴らしさだ。
そして他人と一緒にこんなに気楽に楽しめるのはいつ以来だろうか、大神さんから聞く話はとても興味深く、またそれに相槌を打ちながら俺も意見を言うと真剣に聞いてくれたのが嬉しい。
一通り大神さんの仕事がどんなものかが分かってきた。
そしてこの人(鬼?)がどれだけ仕事に対して真剣なのかも伝わってきた。
「俺たち調査班が不用意な報告を上げちまうとその世界にも転移者にも迷惑をかけちまうからな、この責任は大きいんだがやりがいも大きいんだぞ」
大神さんは良い感じに出来上がってきているな。
どんどん饒舌になってる。
「俺は戦闘を担当しているんだ、けどな、実際にその世界の魔物等と戦うと相性ってもんがある、例えば力業でOKな世界なら単純にレベルを上げてくれる者がいいだろう。
けどな、属性なんかの相性が大事な世界なら現世のゲームをやり込んでる者が良い。
個人の力よりも集団戦が大事なら人徳があれば最高だし、戦略ゲームだってあるだろう?
この見分けは一朝一夕じゃあできないんだ。」
意外と奥が深いなぁ
俺は新しい刺激に聞き入っていた。
ピンコーン・・・
「ん? まずい嫁さんからメールだ、 そろそろ切り上げないといかん」
「奥さんですか? もっとお話が聞きたかったんですが残念ですけど仕方ないですね」
「すまない 続きといってはなんだが明日職場に見学に来ないか?」