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第8話:『深紅』


ぺぺ「ふぅ〜…」


此処は博麗神社境内。


くつろぐ少年と青々としてきた木々だけが存在する平和な境内。


ぺぺ「はぁ〜、落ち着くなぁ…」


少年は穏やかに呟く。叶うことなら、ただそこにあるささやかな幸福を享受し、1日を終えたいという気持ちで。




しかしそんなことなど長く続くはずもなく……





「ぺぺさーん‼︎」




お騒がせ天狗の射命丸文が境内に向かって手を振ってくる



ぺぺ「フフ、元気に鳴くカラスさんが飛んでますねぇ……」






ぺぺ「……撃ち墜としましょうかァ!」





爽やかな朝の境内に粘度の高い飛沫が上がる。




〜何故か俺が幻想入り〜

第8話:『深紅』



ぺぺ「はぁ…はぁ…うぇぇ…」



息も絶え絶えなぺぺは額の汗を拭う。

能力で弾幕状に放出されたローションは境内中を覆う。さながら特殊なプロレスや相撲が行われたかのような面妖さが周囲に漂うが、勿論そんなことはない。全年齢対象である。


一方、標的の方は…


文「フフ〜ン! 幻想入りして間もない方の弾幕など、この最速の射命丸には止まって見えますねぇ♪」


全て躱しきっていた。しかも汗ひとつかいていない。


文「それにしても、いきなりとは酷くないですかぁ?私まだ何もしていませんよぉ」


ぺぺ「もうしたでしょうがァァッ‼︎アンタの新聞のせいですよ!」


ぺぺ「なぁにが『最初の配達』ですか! 博麗神社に配達したの最後の方でしたよ! 後々判明しました!」


文「いやあ、此処ら一帯では最初の配達ですから♪」


ぺぺ「っ…、次は記事の内容! あの内容のせいで、子供と老人はともかく、生産年齢人口に多大なる影響出てるんですよ‼︎」


文「ほうほう、影響とは?」


ぺぺ「まず女性に距離開けられるんですよ、普通に歩いていて!そんでヒソヒソ話されますし…視線が痛いです…! この前なんか『見ちゃいけません‼︎』って子供遠ざけるんですよ……。リアルにやられて凹みましたよ!」


文「まあ、“性を司る程度の能力”なんて、女性からは当然受け入れられませんよぉ。ですがそれだけでしょう?」


ぺぺ「“それだけ”じゃないんですよ! 次に男性ですよ!」


文「え⁉︎ 男性から⁉︎」


ぺぺ「この能力を知った万年ピンクの男共から『俺の股間に金閣寺を建ててくれ』とか相談されるんですよ! どんだけ巨大にすりゃ気が済むんだよォ‼︎ 」


ぺぺ「しかも一部では“エロ神様”とかいって崇められるんですよ! 女性とは逆方向のアプローチ過ぎて泣けるわァァァァ‼︎」


文「フフっ…そ、そのままフフ、は、は、博麗神社に祀ってもらフフフフフフフアハハハハッッ‼︎」


ぺぺ「もう腹筋割れて、そのまま身体真っ二つになれよォ‼︎ というかそんな事できるわけないでしょっ‼︎ 霊夢さんに既に怒られていますよ!」


文「フフフ、も、もう怒られているんですかン"フフフフフフフフフ‼︎」


ぺぺ「冗談で言ったら『1回死ねば神になれるわよ』って笑ってない目で言われましたよ!」


文「ふぅ〜…。では人里なんて、ほとんど行けないじゃないですか?」


ぺぺ「そうですよ! 人がヤル気出して、働こうとしたのに…」


文「穀潰しになりましたねぇ」


ぺぺ「一応霊夢さんの妖怪退治を手伝わされているので、存在価値は保証されてますぅ」


文「おお、霊夢さんが雇うとは珍しいですね」


ぺぺ「……ですが給料出ません。タダ働きです…」


文「うわぁ……」


文は憐れみの眼差しを向ける。

しかし、すぐにこの時を待っていたかのような声で


文「…ですが、朗報があります」


希望の活路があるかもしれない事をぺぺにほのめかす。


ぺぺ「何ですか、危ない仕事でも紹介してくれるんですか?」


文「まあ、危ないと言えば危ないですよぉ」


ぺぺ「…もう藁をも掴む思いなんですから、受けますよ」


文「そうですか。それではこれをどうぞ」


ぺぺ「招待状…?」




ーーーーーー



真紅に染まった封筒の表には、招待状とだけ記され、口は紅で封蝋されている。

ぺぺはこれを開く。




ぺぺ「何か真っ赤すぎません?」


文「送り主の趣味ですから」


ぺぺ「大体誰であるか判断できそうですが。ええと…」




『あなたの活躍は新聞で見ました。珍しい能力ですが、強さは保証されていると思われます。さて本題に入りますが、今紅魔館は危機的状況に陥っております。貴方の手腕を買ったお嬢様は、貴方を紅魔館へ是非招きたいとの意向を示しております。お手数おかけしますが、すぐに紅魔館へ訪れることを願います。ーーー紅魔館メイド長十六夜咲夜』




ぺぺ「あ、うん、メイド長の方が筆を執ったのか、驚きだわー」


文「まあ、概ね予想通りですね。危機的状況とは何でしょう?経済上の理由で、いかがわしい店でも出店するので助けて欲しいのでしょうか?」


ぺぺ「いや、それは無いでしょう。プライドの高いあのお嬢様が、かなぐり捨てるような真似はしないはず……」






ぺぺ「…“活躍”って何でしょう?身に覚えないのですが…」


文「阿求さんらを助けた事でしょう」


ぺぺ「…それが“強さの保証”になりますかね?人の能力を超えた方が、チンピラに勝った程度では気にも留めないと思いますが」


文「では幽香さん相手に粘った事でしょう」


ぺぺ「…それが妥当でしょう。ただあの1戦は、弾幕ごっこというより格闘技に近いものになります。純粋な弾幕戦での力ではないので、肉弾戦込みで捉えられている?」


文「格闘技込みの弾幕ごっこは許可されていますからその可能性はあります」


ぺぺ「…紅魔館に攻め込む勢力があるということでしょうか」


文「あそこに襲撃する物好きはあまりいないと思いますが」


ぺぺ「それなんですよねぇ、先程から気になっているのは。新勢力が暴れているなら、霊夢さんや魔理沙さんが動いているはずですが、私は何も聞いてません」


文「同じく私も。ということは…」


ぺぺ「内部分裂の可能性が高くなりましたね………紅魔館で暴れてお嬢様の手のつけられない方……」


ぺぺ「あっ」


文「まあ、想像した方でしょう…」


ぺぺ「……このテンプレ使い古されすぎて、飽きませんかねぇ…。私が東方知った頃からあるのですが」



ぺぺ「そもそも何で幻想入りでは必ずフランさんが暴走しているのですか?紅魔郷から大分時間経過しているでしょう。流石に落ち着きますよ」


ぺぺ「わざわざ戦って説得して改心させるって。そんな悪者扱いをしなくても良いでしょう…たまには普通の女の子として登場してもらっても構いませんよ?」


ぺぺ「因みに作者の東方の認識は、影狼で止まってます。この前久々に東方調べたらクラウンピース?というキャラが居て『誰?』となったらしいです」



文「お、落ち着いてください! まだフランさんと決まった訳ではありませんよ! あと、会話の内容全く分かりません!」


ぺぺ「申し訳ありません。ジャミングしました。…そうですよね、まだ大丈夫ですよね!」


文「そうです、そうです! では、紅魔館へ取z…もとい人助けに向けて出発です!」


ぺぺ「おい」



ーーーーーー


しばらくして2人は紅魔館のそばまで移動してきた。紅魔館は幻想郷の大きな湖の畔りに建つ。周囲の緑との補色効果の所為で、真っ赤に塗られた館は酷く目立っている。住人の特性上あまりよろしくない様に思える。


ここの住人は様々。妖怪、低級悪魔、魔女etc…。唯一の人間であるメイド長は超自然的能力を備えており、通常の人間が存在しない。


そしてとりわけ注目すべきは、吸血鬼の姉妹。


姉の方で、紅魔館当主であるレミリア・スカーレット。種族として生まれ持つ才も気にはなるが、重きを置くは『運命を操る程度の能力』。彼女と交戦すること、それすなわち運命に抗うことと同義である。

しかし、霊夢らとの敗北やかりちゅまなどを見れば、希望がまだ存在する。


厄介なのは妹のフランドール・スカーレット。能力は『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』。分かりやすいシンプルな能力である。故に強力。幻想郷で1、2を争う凶悪な能力である。そんなフランドールと対峙するということ、つまりは…



ペペ「いや、無理だァァァァ‼︎」


文「うわっ⁉︎いきなりどうしたんですか…」


ペペ「無理無理むぅーりぃ‼︎こちとら2年以上のブランクがあるんだぞ‼︎」


文「ちょっ⁉︎え⁉︎一体何を⁉︎」


ペペ「だって数行前書いたの2年も前…のような気がするだよ⁉︎移動だけで2年だよ!もう設定半ば忘れてどう対処したらとか能力とか分からんよォ‼︎」


文「いやもうその辺で!何だか分からないですけど、危ない発言のような気がしますよ!」


ペペ「帰るー‼︎もう『俺たちの戦いはこれからだー』で終わらせようよ‼︎」


文「もう黙れ‼︎これ以上色々なところから怒られることをするなーァッ‼︎」



──────



ペペ「落ち着きました」


文「…はぁ、それは良かったです。いきなりどうしたんですか?」


ペペ「ちょっと、別のネットワークに繋がっちゃったみたいです。長門みたいなもんですね」


文「?まあよく分かりませんが、この仕事、そこまで萎縮しなくても大丈夫じゃないですか」


ペペ「え、どうしてです?」


文「霊夢さんが動いてないからですよ。この仕事が“異変”なら霊夢さんが動かないわけがないからですよ」


ペペ「ああ、確かに…」


博麗霊夢にはその持ち前の勘の良さで、異変を素早く察知することができる。霊夢が動いていないということは重大な事態ではないと判断しても良いだろう。


ペペ(にしても、必要最低限の生活ができているとはいえ、お金になりそうな案件なのに霊夢さんがいないなんて…。報酬の何割かは、家賃代として納めておこうかな?)


一先ず少年の不安は解消された。そして報酬が貰えた暁には、家主に世話になっている礼として、幾らか包んでおこうかと思案する。


ペペ(それにしても“危機的状況”って何だろう?態々外部まで呼んで…。『食料源になりなさい』…いやいや、性を司っていても、血液を無尽蔵に作り出すことはできないぞ。別の液ならできるけど。)


ペペ(外部を呼ぶ…男を…、はっ⁉︎)


ペペに電撃が走る。


ペペ(まさか…◯V制作⁉︎)


ペペ(なるほどなぁ、危機的状況は、やはり財政難!そこでA◯を制作し、資金を確保する…、しかし肝心の竿役が紅魔館にいない。いや、ゴブリンやらはこの際無視だ!)


ペペ(幻想郷の男女比は分からないが、ある程度の需要は存在する。しかも“性を司る程度の能力”なら、前例の無い超傑作が作ることができる‼︎)


ペペ(映像再生機が何処まで普及しているか分からないが、最悪春画のモデルで呼ばれている可能性も高い!)


ペペ(それか、“私達の夜の事情が危機的状況”か⁉︎)


ペペ(おいオイオイ、誰の相手をすれば良いんだ?こういう時あてがわれる役は、小悪魔か美鈴か?図書室設定もあるぞ…メイドものも。はっ!大穴姉妹もの⁉︎)


ペペ(フフ、そうなら見せてヤルよォッ‼︎俺のテクってやつをねぇ‼︎)※DTです


人というものはスキルを使いこなすに時間がかかる。情欲を抑える色欲を縛る鎖(Lust Chain)も慣れていないためか、はたまた司るもののせいか、ペペはまともな思考に至らなかった。


ペペ(頑張るかぁ!)


──────


文「到着しましたねぇ」


ペペ「……そうですねぇ」


盛んな思春期のような希望的観測を抱きながら、移動してきたぺぺであったが、早くも落ち込みを見せる。


遠くから見えていた真っ赤で悪目立ちしているものの立派な館であったが、近づいてみると、東方ニコ童祭の如く…とまではいかないが、紅魔館のあちこちには、元々の装飾とは言い難い、人1人が通れそうな大きさの穴が空いている。内装まで紅に染まっていることが観察できる。


ペペ「…これ明らかにフランさん案件ですよね?」


文「流石に魔理沙さんも壁を破壊しての侵入・逃亡はしないでしょう」


ペペ「うわぁ…胃がキリキリ通り越して、ザクザク痛くなってきたなぁ…」


文「まあまあ、これくらい幻想郷ではよくあることですよ(遭遇はしたくないですけど…)。さあさあ、取材です取材!」


ペペ「そのマスコミ根性は素直に尊敬しますよ、と。先ずは伺った連絡を…、おっ、門番さんいますね。すみませーん!」


館の規模に相応しい門構え。その傍らには名物門番、紅美鈴がいた。緑のチャイナドレスに対照的な真紅のロング。お決まりのZUN帽の中心には星に“龍”と、如何にもな中華の雰囲気を醸し出している。抜群なスタイルからは想像できないが、彼女は武術の達人である。その上妖怪であることから、並のものでは太刀打ちできない程の強さを持つが、居眠りをしていたり、世間話をしてくれたりと、穏やかな性格の為に周囲から好印象を持たれている。能力は『気を使う程度の能力』である。


ちなみに今は起きている。


美鈴「どうも、こんにちわ。あ!ペペさんでしたっけ?新聞に出てましたよね?」


ペペ「そうです、新聞に載っていたペペです。あと、あの記事の99%は信用できないので、お願いします」


文「ヒドイ‼︎」


美鈴「大丈夫ですよ、斜め読みしかしてないので」


文「ちょっとぉ‼︎」


美鈴「改めて、紅魔館の門番を務めている紅美鈴です。よろしくお願いします!」


ペペ「こちらこそよろしくお願いします」


文「ねぇ、無視ですか⁈流石に塩対応には涙出ますよ!」


ペペ「鴉の涙ですね」


文「それを言うなら雀の涙!」


文「雀の涙じゃ、ちょっとした泣きにしかならないじゃないですか⁉︎」


美鈴「仲良いですねぇ。ところで、紅魔館には何の御用で?」


ペペ「ええと、メイド長の十六夜咲夜さんから直々にご依頼を受けまして……これが招待状になります」


ペペは咲夜から送られてきた招待状を渡す。ひと通り目を通した美鈴は、事の一切を理解したようだ。


美鈴「確かに咲夜さんが出したものに間違いありませんね。そういえば、朝刊の配達時に文さんに渡していましたのを覚えています…、でも文さんは呼んでいませんよね?」


文「まあまあ、お堅いことは言わずに。まだ勝手の分からないペペさんのお手伝いをね♪」


美鈴「ええ⁉︎聴いてないんですけど!」


ペペ「自分も初耳なんすけど…」


文「まあまあ、人手が多いに越したことはないじゃないですか」


美鈴「うぇぇ、咲夜さんになんて説明しよう…」


天狗の強制介入もありつつ、一旦応接間に案内されることになった。


──────


一行が通された応接間。大穴を急遽修復した板張りを除けば、貴族の生活に相応しい豪華な装飾がされている。また並べられた調度品、元は金か銀か、覆いつくす紅に染められたものが置かれている。住人の体質上、午前とは思えない薄暗い部屋は、内装と相まって、視界にセロハンを貼られたような感覚にさせる。正直あまり長居はしたくない。


暫くソファに腰掛けていると


「お待たせしてしまい申し訳ありません」


ガチャリという音はない。不意に声をかけられたので、そちらを向くとそこに女性がいた。


───To be continued……




───おまけ───


文「そういえば色々覚えてないんですか?」


ペペ「うん、覚えてない。自分の口調すらよく分かってないよ」


文「いや、全話読み返すなり、設定資料読み返すなりしてくださいよ」


ペペ「だって昔の自分の文章読み返すって結構拷問よ?卒業文集や日記読んで、SAN値減少する人多いでしょ」


文「これ小説ですし!創作態度振り返ってくださいよ!」


ペペ「それにさぁあ、時代は流れていくんだよ?人だってその影響は受けますって」


文「うわぁ、もう開き直りすぎでしょう…」


ペペ「大体『クラウンピースって誰?』とか言ってる場合じゃないんですよ、知らぬ間に博麗神社に狛犬住み始めてますし」


文「また時系列を乱すような発言を⁉︎てか、気づいているなら修正してくださいよ‼︎」


ペペ「修正するならもっと大きな部分ありますよ。例えば、『なろう系主人公(笑)』とか思ってた自分が、なろう系主人公(笑)の小説書いてたとか。もうこれだけで死にたくなりますよ」


文「うわぁァァァァァァ、色々な所から怒られます‼︎‼︎その発言はアウトです‼︎アウト‼︎」


ペペ「これからもなろう系主人公(笑)のペペとなろうをよろしくお願いしまぁーす」


文「どの口が言うかァーッ‼︎」


───To be continued……


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