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第1話:『発現』

毎日が退屈だった………。

来る日も来る日も、電車に揺られ、学校に行き、また片田舎に戻る………そんな毎日が…。




ーーーーーー


ガチャ


俺『ただいまー』

(誰もいないけど……)バタン

そんなことを思いながら、帰宅する。


俺『やっと、帰れたな。』


俺『ったく、毎日毎日、何で学校にいかなきゃいけないのかねぇ……、だいたい勉強量が(ry』

誰も聞いてはくれない愚痴を、呪詛のように呟きながら、自室に戻る。


ぼやいてばかりはいられない。何故なら、明日に備えて、予習しなければならないからだ。


(ホント進学校大変だなぁ……。校則緩いのは、ありがたいが。)




ーーーーーー



俺『ンー、これぐらいで、大丈夫かな。これ以上進むはずはー……ないよなぁ……。これ以上進んでも困るわ。』



日課の予習を終え、一安心した俺。しばしの安息を得る。



俺『………さて、勉強から、解放されたことだし、やることと言ったら………』
























俺『オ○ニーしかねぇな‼︎(キリッ』








俺『ヒャッハー‼︎ストレス解消にはこれしかねぇだろォ‼︎これしかねぇよなァ‼︎これ以外にあるだろうかッ‼︎いや…………』





俺『ないッ‼︎』







俺『ハァ…ハァ…、オカズは何しようかなァ……ゲヘヘッ』


俺『そうだ‼︎【東方Project】にしようッ‼︎』



シュッウワアアアアアアアアアアアアアアアア!ウワアアアアアアアアアアアアアアアア!カワウィィィィィオオオオオオ!カワウィィィィィオオオオオオ!ハァハァアアアオアアアアア!イイヨ!イイヨォォォォォォオ!..シュゴイォオオオオ!ウワアアアアアアアアアアアアアアアア!ソイヤ!ソイヤ!ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァアナデナデシタイノオオオオオオオオ!ウワアアアアアアアアアアアアアアアアン!ハォハァメチャシコォハァハァ...ロリジャナイオ....ゴヒャクサイダカラゴウホウダォォォォォウワァァァァッシュッ....ウッ......


(まだだ、第二ラウンドォ!)



シュッウワアアアアアアアアアアアアアアアア!ハァハァァァォァァアァァァアァア!ウウウウウウククウクククククウウウウカワウィィィィィオオオオオオ!ウウウウウウウイウグ!ミドリガミィィイイイヨ!イイヨォォォォォォオ!オオオオオオオオオオオ...シュゴイオオオオオオオ!ペロロロロペペロロペロォォン!ウワアアアアアアアアアアアアアアアアワアアアアアアアアアアアアアアアア!ヨウカサァァァンクンカクンカシタイォオオオオオオオソイヤ!ソイヤ!ウワアアアアアアアアアアアアアアアア!!カワイィィメチャシコォハァハァ!モルスァ!ァァァァァア!ウワアアアアアアアアアアアアアアアア!!ペペロペロカワウィィィィィオオオオオオ!ハァハァァァ...ウワァァァォァァァア!ウッ.....





ーーーーーー




俺『ウゥゥゥ……もう無r……オゥェェェエ……、あ、頭痛い……』


俺『もう……寝よう……』


パチンッ



暗くなった部屋の中には俺1人。

孤独になれば、頭の中には、余計な事ばかりが浮かび、眠りを妨げる。


(高校に入れば、なんか変われるような気がしたんだけどなぁ…。)


(はぁぁ……、彼女欲しい……、せめて女子と会話だけでもしたいなぁ……。)


最後に女子と会話したのは、いつだっただろうかと、思い返すも、『次の授業何?』ぐらいしか無かったなと落胆する。


(幻想郷とか藍蘭島とかにでも行って、女子に囲まれたいなぁ……。)


無論そんなことありえないが、と思いながら、深い眠りに落ちていった。





ーーーーーー



チュンチュン  


強い日差しと小鳥の可愛らしいさえずりで、目を覚まされた自分がいたのは、自室のベッドの中ではなく



ーーー外であった


俺『えっ』







俺『嘘だろォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ‼︎』







全力の叫びを挙げる。

目の前の光景に、驚愕しながら、『夢なのか⁈寝ぼけてんのか⁈』と確認がてら、頬をおもいきり殴打するも、それは現実だと強く認識するものとなってしまった。


(俺こんなに寝相悪かったのか‼︎い、いや、そんなはずはねぇ‼︎)


(じゃあ、誰かがイタズラで外に連れ出したのか⁈そんな不法進入してまで、馬鹿やる程の悪友はいねぇ‼︎むしろ、運び出される時気づけよ‼︎俺‼︎)


『薬品を使われたんだ、きっと』と自己弁護しつつ、あれこれ思考したところで、ふと気づく。


俺『あれ?ここ、地元じゃないな……。あれ?』










俺『ここどこだァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎』








またしても、驚愕した。

確かに、地元は田舎だ。四方を山々に囲まれ、溢れんばかりの自然と戯れることが出来ることに違いは無いのだが、南北に通された線路や何本もの電信柱が立っているような村だ。吉幾三の田舎とは違う。テレビもラジオもある。しかし、ここは文明の利器が感じられない。



(舗装すらされてない……。)



不安が高まる。誰が、どのような方法で、何処に、どんな目的で……。

助けを求めようとも、見知らぬ土地だ。下手に動いて、遭難なんて洒落にならない。



(泣きてェ……。)



これからどうしようか。

思考しようとするも、“二度ある事は三度ある”という言葉があるが、さらなるカルチャーショックが妨げる。




人が、少女が空を飛んでいたのである。




ーーー空を飛ぶ

それは、パラグライダーのようなアクティビティーをしているわけではない。本当に飛んでいるのだ。何の仕掛けもなく。




今までで、1番驚愕の出来事であるはずなのに、あまり衝撃は無かった。いや、途中から薄々気づいていた。自分がいる場所を。飛行する少女を見て、確信した。ここは……











ーーー幻想郷だ。







〜何故か俺が幻想入り〜

第1話:『発現』



ーーー『幻想郷』

それは、人々から忘れ去られたものが最後に辿り着く場所。


作り話だと思っていたことが、まさか現実のものになろうとは。

俺は自身のいる場所を把握し、次に取る行動を決定した。







俺『よし!外の世界に帰るか‼︎』




『何でだ!』と言われるかもしれないが、外の世界には家族や少ないながらも友人がいるのだ。いきなり行方不明にでもなれば、多大な迷惑をかけるだろう。


俺(…となれば、これから行かなければならないのは……、)



俺(博麗神社か。)


幻想入りしたといえども、帰る方法はある。

1つは、楽園の素敵な巫女、博麗霊夢に依頼すること。もう1つは、幻想郷の賢者、八雲紫に依頼すること。


後者は絶対に無理だ。何故なら、八雲紫は住所不定。その上、神出鬼没。探し出すのは不可能だろう。前者は適当に賽銭でも与えれば、快く引き受けてくれるだろう。


こうして、博麗神社に向かうこととなった。







ーーーーーー


俺『ぜぇ……ぜぇ……』



途中博麗神社までの道のりを尋ねることができたため、なんとか迷子にならずに済んだが、


俺『ぜぇ……疲れてんのに……ぜぇ……こんな獣道歩くのかよ…。虫に刺されそうだぜ……。』


かなり疲れていた。


俺『……ゆっくり行こう。』


一歩一歩確実に歩く。


俺(そういえば、何故俺は幻想入りしたんだ。)


俺(忘れ去られることは少なくとも無いな……と思いたい。)


俺(幻想入りの例外は……幻想郷の異変解決のために呼ばれるとか、紫の気まぐれぐらいとかかな。何の力も持たない俺が幻想入りしたから、後者か。)


俺(気まぐれとか本当に困る……)






何とか力を振り絞って、登り終えた先に、博麗神社があった。



俺(やっと………着いた……。)







ーーーーーー



俺『すみませーん、誰かいませんかー。』


神社に向かって、呼びかける。



???『はーい。ちょっと待ってなさい。』


気だるさを含んだ博麗霊夢と思わしき少女の声が聞こえてきた。


俺(居たようで良かった。)


俺(にしても、神社の周り綺麗だな。よっぽど信心深……なわけないか、霊夢に限って。)


失礼な事を考えながら少女を待つ。



ガラッ



???『待たせたわね……って見ない顔ね。』



戸を開けて少女が現れた。少女は長い黒髪を後ろで、大きく真っ赤なリボンで結わえており、巫女を模した赤い服、赤いロングスカートを身につけていた。その中で取り分け目立つのは腋を露出させるように、服と白い振袖が分かれていることだろう。

『わざわざ腋を見せるのは、一体どんな意味があるのか』

見た者はそう思うだろう。



俺(多分腋フェチにはたまらないのだろうなぁ。俺としては腋から見えそうで見えない胸の感じが(ry…。)


俺(まぁ、良いや。本題に入ろう。)



俺『初めまして博麗さん。突然で申し訳ないのですが、私は幻想入りしてしまった者です。外の世界に帰りたいので依頼しに参ったのですが、構いませんか?』


霊夢『ん?ああ、どおりで見ない顔だったのね。いいわ、少し準備がかかるけど、構わないわね。』


俺『ええ、大丈夫ですよ。』


わかったわ、と言って霊夢は準備に取り掛かろうとする。


俺(はぁ、何とかなった。これで帰れる。)


俺(最初で最後の霊夢の腋……。ハァハァ...ハスハスシタイ....。)



ピクッ

霊夢『ちょっとあんた……』


俺『えっ』


霊夢『今私に……強い妖気を向けたわね?もしかして…』


俺『えっ、俺は何もしてn』

霊夢『あんた妖怪ね‼︎』


俺『えっ、何それ意味わからn』

霊夢『どういうつもりで私に近づいのか知らないけど……』


俺『ちょっ!俺の話聞いt

霊夢『問答無用‼︎妖怪退治させてもらうわ‼︎』




幻想郷の住人は話を聞かない。

それは迷惑な事に真実であった。




俺『待ってェェェェェェェェ!!‼︎』


俺(ヤバいヤバいヤバい‼︎突然にも程があるだろうがっ‼︎)


俺(ナンデ⁉︎妖怪ナンデ⁉︎顔がっ⁉︎やかまっしゃっ‼︎)


俺(このままでは狩られる‼︎何とかして逃げないと‼︎)



霊夢『行くわよ‼︎』


霊夢は言葉通り問答無用で弾幕を張ってきた。



ヒュンヒュンヒュン

俺『のわあァァァァァァァァ‼︎くそっこうなったらッ‼︎』ザッ


俺『おらァ‼︎』ブンッ


砂利を拾い、弾幕に当たるようにばら撒く。


ダダダン

霊夢『⁉︎』


俺『よっしゃ‼︎』


人間危機に瀕すると頭の回転が良くなるようだ。咄嗟に思いついた策で、弾幕を防いだ。


俺(あぶねェェ‼︎砂利に当たり判定あって良かったァァ‼︎)


霊夢『チッ、ならこれならどうかしら‼︎』



さらに弾幕が激しくなる。



俺『うぁっ‼︎』ブンッ ダダダンッ


俺(まずい、このままではジリ貧だ‼︎何とかしないと‼︎) ザッザッザッ


ヒュンヒュンヒュン

俺(逃げたいけど、飛び道具相手に高所から低地に逃げるのは愚策だな...。せめて、隙を作らなくては‼︎)ブンッ



思考の最中、最悪の事態が起きる。砂利で防ぎきれなくなった弾幕が出てきた。



俺『しまっ……‼︎』


俺(砂利…間に合わない‼︎)ギュッ


避けられないことを悟り、強く眼を閉じる。




バシュバシュッバシュッ
















シ-ン









俺『………………あれ?』




確かに弾幕はこちらに向かって飛んできた。しかし、痛みを少したりとも感じない。



俺(どういうことだ?) パチッ


俺『⁉︎』



眼を開けると、そこには

ーーー透明な壁があった。





俺(何だこの壁……いや、よく観ると流動体⁉︎まるで噴水のように噴き出ている……) ソ-



目の前の防壁に恐る恐る触れてみる。



ヌルッ

俺『ぬォォ⁉︎ヌメヌメしてるゥ⁉︎』



得体の知れない液体の臭いを嗅いでみる。特に臭いは無い。




俺(あれ⁈これもしかして⁉︎この粘り……‼︎)







俺『ペペローション‼︎⁉︎』





この流動体の正体はそう‼︎全国の男性諸君はお世話になったこともあるだろう‼︎








ペペローションであるッ‼︎









俺(何でローションの壁なんかあるんだよォォォォ‼︎)




役目を終えた防壁は徐々に水溜まりとなり、消えた。




霊夢『やっと本性を現したようね、妖怪‼︎』


俺『だから、妖怪じゃないって‼︎』


霊夢『じゃあ、その術はどういうことかしら‼︎』


霊夢『あんたが発動させたのは、私が見ているわ‼︎誤魔化したって無駄よ‼︎』


俺(俺がァ⁉︎)


俺『だからって、妖怪っていう証拠はn……』

霊夢『あーもう‼︎何でもいいからあんたは退治されなさい‼︎』



俺『無茶苦茶だァァァァ‼︎』




巫女とは思えない態度だ。しかし、少女は攻撃を再開する。




ヒュンヒュンヒュン

俺『うおォォォォォォ‼︎』


俺(本当にあの壁が俺の出した物なら……‼︎)


俺『防御‼︎』



叫ぶとともに、壁が現れる。


バシュバシュッバシュッ


霊夢『いい加減倒れされなさい‼︎』



俺(こうなったら、バンバン壁を使わせてもらう‼︎)



弾幕を壁で受け、右斜め前に走る。次の弾幕も壁で受け、今度は左斜め前に走りだす。これを繰り返し、ジクザグ走行で、霊夢との間合いを詰める。



霊夢(馬鹿のひとつ覚えね。次に走り出す方へ先に弾幕を撃てば良いだけ‼︎)


霊夢『喰らいなさい‼︎』



霊夢は俺が出てくるであろう方向に弾幕を放つ。

しかし


霊夢『なっ⁉︎』


霊夢(出てこない⁉︎ま、まさか‼︎)



霊夢の前に防壁を展開し、すぐに解除する。同時に、俺は霊夢へ飛びかかる。



俺『うおォォォォォォォォ‼︎』 ダッ


拳を強く握る。


俺(パンチ……と見せかけた寸止め‼︎)


俺(女性は殴らねぇ。後は『フッ、私の勝ちだ』と言えば、格好良く決まる‼︎)



アホなことを考えていたからであろう。詰めの甘い俺は、着地を見事に、まだ消えていなかった水溜まりにしてしまい



俺『うおっ⁉︎』 ツルッ






ーーーおもいっきり頭を打ちつけた。








ーーーーーー



俺『ん〜ん〜、はっ⁉︎』 ガバッ


目を覚ますと、もう夕方のようだ。地面に寝ていることから、どうやらあの後そのまま放置されたみたいだ。


俺『ぐおおおお、頭がガンガンするゥゥゥゥゥ……。』


霊夢『やっと、お目覚めのようね。』


俺『ファッ⁉︎止めてください撃たないでくださいおねがいしま(ry』


霊夢『いや、もう撃たないわよ。あんな局面でマヌケなことやらかす奴に危険性はなさそうだからね。』


俺『アハハ……。』


俺(軽く傷つくなぁ……。)


霊夢『で、結局あんたは何者なの?』


俺『普通の人間です……。』


霊夢『普通の人間?にしては変な術使っていたわね。』


俺『そんなこと言われても、こっちが知りたいですよ…。』


???『それには、私がお答えしますわ。』



突然背後から話しかけられる。

そこには、金髪の長髪で、給食帽の様な帽子、通称ZUN帽と呼ばれるのだが、それを被ったドレス姿の女性がいた。女性から放たれるオーラは、妖艶さとも、胡散臭さともとれる。


間違いない。


彼女は幻想郷の大賢者

ーーー八雲紫であった。




ーーーーーー


初め、我が目を疑った。この幻想郷で、会うことはほぼ不可能と思われていた八雲紫が目の前にいるからだ。彼女が話しかけてくる。



紫『初めまして、八雲紫よ。以後お見知りおきを。』


紫『さて、お話の前に……』






紫『【東方Project】は知っているかしら?』


俺『⁉︎』


俺(え、ちょっ、それ言っていいの⁈あなた達は架空の人物、って言ってしまうということだよ⁉︎)


紫『……その様子では知っているみたいね。そして、【東方project】は創作上のことだ、とも思っている。』


紫『見ての通り、幻想郷は現実よ。そもそも、【東方Project】は100%ZUN氏の頭の中の話では無いわ。』


紫『彼は、異変が起こるたびに、幻想郷を訪れる。そして、それをまとめて物語にするのよ。』


俺『えっ、ZUNさんって、人間ですよね⁈何で簡単に幻想郷に来ているんですか⁈』


紫『彼は特殊な力を持った人だからですわ。まぁ、この事はたいして問題無いことです。』



いやいや問題あるでしょうとツッコミを入れたかったが、そっとしておいた。


紫『彼の作品やそれを受けた二次創作……。これらを見た事で人々の間では、“幻想郷へ行ってみたい”という願望が生まれるわ。』


紫『特に男性ならやましい想いも抱くでしょう。』


ギクリとした。自分に対して言われた気がして、耳が痛い。


紫『そのような想い、はっきり言うと“煩悩”が集まり、やがて大きなエネルギーとなった。それは、博麗大結界と拮抗するほどにね。』


紫『そんな中、力のバランスが崩れた……、煩悩が勝ってしまったの。』


紫『当然エネルギーは結界に穴を開けて流れ込んできたわ。バランスを崩した原因も連れてね。』


紫『まあ、当の本人には想定外の事のようでしたわ。何せ強力な磁石についてしまった憐れな鉄くずのようなものですから。』


何でだろうか、嫌な予感がする。


紫『その原因があなたよ。』


俺『……本当ですか?』


紫『本当の事よ。あなたが、たまたま追加のエネルギーを生じさせてしまったために、巻き込まれたの。』


紫『しかも、巻き込まれたのは、あなただけよ。天文学的確率のタイミングで巻き込まれるなんて、幸運ね。』


自分の知らないところで、このような宝くじに当選していたとは…。素直に喜べない。


紫『今は結界の修復も終わり、エネルギーの逃げ場も見つけたわ。これで、再発することは無い。』


俺『へぇー…。』


適当に聞き流す。幻想入りした理由を聞けたのは良いが、これから帰る俺には関係の無いこと。


俺『幻想入りの理由を聞けたことですし、そろそろお暇したいのですが。』


紫『あら、あなた帰れないわよ。』


俺『えっ』


紫『正確には帰らせないわよ。』


俺『えっ』


どういう事だ。何かの間違いではないのか。何故帰ることが出来ない。そんな疑問に答えるように、紫は話を続ける。


紫『あなた…………』











紫『……能力を発現させてしまったもの。』








俺『』




理解が追いつかない。能力?発現?意味がわからない。


紫『流入した莫大なエネルギーが、そのまま幻想郷で存在することは不可能よ。なら、存在するための“媒体”が必要なの。』


紫『だから、エネルギーは、あなたの身体を“媒体”にしたの。そして、その影響からあなたには…………』








紫『“性を司る程度の能力”を発現したの‼︎』


俺『えっ』


紫『“性を司る程度の能力”を発現したの‼︎』


俺『…………』


霊夢『…………』ウワ-......




俺『何でだァァァァァァァァ‼︎‼︎』


俺(どういうことだよ‼︎何だよ“性を司る程度の能力”って‼︎意☆味☆不☆明だろうがッ‼︎)


俺(しかも人前で言いやがって‼︎霊夢さんの顔見てみろ‼︎うわぁ…って感じの蔑みの眼差しじゃないか‼︎やめてェ‼︎いつもなら『グヘヘありがとうございます』ってなるけど、ヤバイ‼︎実際されると苦痛でしかない‼︎)


紫『信じられないようね。なら、証明しましょうか♪』


紫『まずは、“禁欲しろ”と強く念じてみて。』


俺(今それどころじゃないけど、もういいよ……。)


俺(えーと、禁欲しろ禁欲しろ禁欲しろ禁欲しろ禁欲しろ… )


紫『出来ましたか?』


俺『はい…。あの、これ意味わかr』

紫『これを。』 サッ


そう言って、紫が渡してきた。


俺『こ…これはッ‼︎』




紫が渡してきたそれは









ーーー聖書(エ○本)ッ‼︎


思春期真っ盛りの少年からおじさんまでこよなく愛す性書(バイブル)ッ‼︎


どの世代でも、探すのに躍起になっただろう。


何?“今の時代ネットで手に入るじゃん”だと⁉︎

アナログ媒体で読書しろ‼︎



しかも、ただの性書ではない。これは……



俺『俺好みの内容のようですね。どれどれ……。』 パラパラ


女性のいる所で、読めとかどうかしている。しかし、ページはめくる。



俺『……どういうことだ…!』




大きな動揺。


何故なら我がバスターブレード♂が何の反応もしないのだ。



紫『これでわかったでしょう?』


俺『ま、まさか俺……』





























俺『イ○ポになってしまったのか…。』

紫『違います。』







俺『だってそうでしょう‼︎幻想入りしたショックで俺は…俺は‼︎』ウゥゥゥ...


紫『違いますわ。』


俺『そ、そ、それなら、も、もしかして俺… 』





















俺『ホ○になってしまったのか…。』

紫『だから違います。』










俺『幻想入りしたショックで、女性の身体では反応しなくなってし m』

紫『それなら、そういう系統の本を探しますわ。』 ゴソゴソ


俺『待って‼︎ウソウソ‼︎だからやめろよーぅ‼︎』




ーーーーーー



紫『はあ……。大体あなた、霊夢相手に能力使っていたじゃないの。』


呆れた口調でなだめる紫。

なら確かめる必要無かったのではと言おうとしたが、呑み込んだ。

別に、本当に理解できなかったわけではない。



“理解してはならない”



そう思ったからだ。

だからここで『自分は能力なんて使えない』という可能性を提示しておきたかった。もしかしたら、紫の勘違いだったという可能性を提示したかった。実際にはありえないと思いつつも。


外の世界への帰る方法を実行できるプロフェッショナルが2人もいながら、それが許されないとは。しかも、異変解決といった格好いい理由で留まるわけではない。今日一の落胆である。


俺『それで…あの結局能力のことよくわからないのですが…?』


紫『文字通り“性を司る”のよ。性欲の調整や性に関する道具の錬成などなど…。ただ単に淫猥な能力ではないと思うけど、まだ発現したばかりだから、力は未知数よ。』


俺らしいといえば、俺らしいが…。まるで保健体育のテストで高得点を取った時のショックのようだ。

別にエロい範囲ではなかったのに恥ずかしいみたいな……。




俺『はぁ……、これからどうすればいいんだ。』


ぽつりと呟く。


紫『幻想郷に突然の移住になるわね。申し訳ないけど、幻想郷で能力を発現した者を外に出すわけにはいかないの。悪用されるかもしれないからね。』


俺『不服ですけど、わかっていますよ…。』


俺『けど、衣食住をどうすれば…。雀の涙ほどの小銭ぐらいしかありませんし…。』


紫『あら、大丈夫よ。博麗神社があるじゃない♪』


俺『あー、確かに博麗神社が………って』






俺・霊夢『えええええええええええぇえええええええええええええぇ‼︎』





今まで空気と化していた霊夢と共に大声をあげた。


霊夢『紫どういうことよ!何で私がこいつの面倒見なければならいのよ!』


紫『あっ!住は確保できても、衣食はどうしましょうか。』


霊夢『無視すんなァァ‼︎というかどういう意味よ‼︎』


紫『まあ、そういうことだから☆』


霊夢『どういうこと‼︎何で性犯罪者なんか泊めなきゃならないのよ‼︎』


俺『それは失礼でしょうがァァァァ‼︎身につけたくて身につけた能力じゃないんだよォォ‼︎あと、性犯罪者って言うのやめろ‼︎人聞きが悪い‼︎』


紫『それではまた♪』 ヒュッ


霊夢『待ちなさああああい‼︎』



引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、スキマに逃げた。まるで玩具に目を光らせる子供のようであったが、彼女が幻想郷の賢者なのだ。


俺・霊夢『………………』


気まずい沈黙が続く。当たり前だ。お互いいきなり同棲という形になる。どこのラブコメだ。この能力のせいで、そんな展開はないがな!


俺『あー、えーと、よろしくお願いします、霊夢さん……。』


霊夢『一応歓迎するわ。けど、襲ってきたら、殺すわよ。』


俺『あの…襲ったりしませんよ。それに能力で抑制出来ます。』


霊夢『まあ、どうせ結界張って寝るから。大丈夫よ。』


俺『信用なさすぎやしませんかねぇ……。』




こうして新しい生活が強制的に始まった。





ーーーーーー

その夜



俺(…………眠れない。)


眠れない原因は、馴染みのない家、ましてや女性の家で寝るのもあるだろうが、それが主ではない。一番の理由それは……



俺(……性欲無くしているって事は寝小便垂れたりしないよな。)


俺(大丈夫なのか⁈) クワツ



ここで解説をしておこう。

皆さんは、“朝○ち”という現象を知っているだろうか?

男性なら必ず経験しているのだが、これは朝起きると男性器が勃起しているという現象である。何故このような事が起こるのだろうか。

それは、排尿をコントロールするためと言われている。したがって、漏らすということは無い。




しかし、今の状況を振り返ってみると、性欲を無くす、すなわち男性器の機能を切っていることになるのではないだろうか、という不安が拭えきれないのである。



俺(一応性欲のみに対応しているとは思うんだけど…。)


俺(参ったなぁ…。霊夢さんに言った手前、能力切ること出来ないし…。)


俺(もし、寝小便垂らすようなことになれば、ここに置いてもらえる筈がない。)


俺(うおおおおおおおおお‼︎こんなところで不便さが際立つとは‼︎)


(どうしようどうしよう……)


俺(……ハッ!) キュピ-ン!



閃きが降りてきた。



俺(そうだ! 調整強度を“性欲のみを対象として発動し、通常の生理現象に関しては対象外とする”にすれば良いんじゃないかな?)


俺(どこまで能力使えるか分からないが、試してみる価値はあるな。)


俺(能力発動!)


身体に何らかの力が発動したような気がする。


俺(これで大丈夫だろ。もう寝る!)



長かった一日が終了した。



ーーー第1話:『発現』終ーーー






ーーオマケ『呼称』ーー



紫『あなたの名前を決めなさい。』


俺『唐突ですね。』


紫『あなたの名前“俺”じゃあ呼びにくいのよ。この先の展開で、名前呼びする事が起きると“俺!大丈夫!俺!俺ェェェェェェ!”なんて格好つかないでしょ?』


紫『……って、作者が嘆いているのよ。』


霊夢『この作品において、そんなシーンある事自体が驚きなんだけど。』


紫『いや、あるかどうかは分からないわ。思いつきで始めた作品だからね。』


紫『こんな裏話なんてどうでも良いのよ。決まった?』


俺『じゃあ、“ああああ”で。』


紫『わかったわ。“ああああ”で決定ね。』


ああああ『待って!これイッツジョークだから!ゲームあるあるだから!』


ああああ『って、表記までかわっているじゃねぇか‼︎本気にすんな作者ァ‼︎』


霊夢『紫をおちょくるから。』ヤレヤレ


紫『その通りよ。私を茶化すなんてまだまだ早いわ。』


俺『すみませんでした…。』


紫『それで、本当にどうするの?』


俺『どうって言われても、いきなり過ぎますよ。すぐには思いつかないですって。』


霊夢『適当にカッコイイ名前つければ?例えば、“ショウ”とか“リュウ”とか。』


俺『俺には似合わないでしょ?』


霊夢『まぁ、確かに…。』


紫『じゃあ、“米蹴(マイケル)”や、“金星(まあず)”などはどうでしょう?』


俺『キラキラネームは嫌です‼︎というか木星は“ジュピター”です!DQNらしさを再現しないでください‼︎!』


霊夢『難しいわね……。』 ウ-ン


俺『俺らしさが、現れれば…。』ムムム


紫『あなたらしさ…。』


紫『童◯……』 ボソッ


俺『やめろォォォォォォォォ‼︎確かに俺らしさが満ち溢れているけど‼︎その二文字に集約されているけど‼︎』


俺『ただの悪口じゃないですかァァ!やだー!』






ーーーーーー



俺『はぁはぁ……。』 ズ-ン


紫『お疲れのようね。』


俺『あんたのせいでな……。』


霊夢『……….....』


霊夢『結局どんな感じが良いの?』


俺『そうですね…、カッコよくなくて、かといって変すぎず….。』


俺『そして愛着を持てて、俺らしく……』


俺『俺らしく………』


俺『!』ピ-ン


俺『思いつきました‼︎』


霊夢『本当⁉︎』


紫『それでは発表を』


俺『俺の新しい名前、それは……』









俺『“ぺぺ”だッ‼︎』








霊夢・紫『えェェェ……』



俺『どうですか!このかっこ良くもなく、それでいて抜けているような名前‼︎愛嬌ありますよ‼︎』


霊夢『え、えーと……』 ワケガワカラナイ...


紫『あなたがそう思うのなら、そうなのでしょう。あなたの中では…。』


俺『ね⁉︎良いでしょう⁉︎』



霊夢『……この“ステキ”な名前には由来とかあるの?』


俺『はい!俺の好きなものです!』


霊夢『へぇ〜、好きなものねぇ...』


霊夢(外の世界には“ぺぺろんちーの”っていう食べ物があるとか早苗が言っていたわね。それのことかしら?)








俺(十中八九“ぺぺローション”だかなァッ‼︎)

紫(十中八九“ぺぺローション”でしょうねぇ。)


俺『取り敢えず…』


ぺぺ『コンゴトモヨロシク』





ーーーこうして主人公の名前は“ぺぺ”に決定されたのであった。





ーーー次回に続く?ーーー


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