勇者アルスレート
大変なことになった。俺は仏レッドこと、神野陽生とは世を忍ぶ仮の姿。
本当の名は勇者アルスレートである。
「痛い。お兄ちゃん痛々しいわ」
「それがどうした。勇者は強いのだ。そんなことを言われてもくじけんぞ」
俺は勇者アルスレート。大魔王との戦いのさなかいろいろあって死んでしまった。
死んでしまってこんな辺境の星地球に転生してしまったらしい。
「勇者としてここで魔王を倒す!」
「そこまで行くとお兄ちゃん潔いわ」
母がやってくる。
「とりあえず勇者アルスレート。勇者は勉強が出来なくてはなりません」
「わかった。全力で勉強してくるぞ」
乗りやすい俺。
そこに大仏が高速で耳を掘りながらやって来た。
「あ、神野君? 仏レッドになってくれたんだよね?」
「俺は勇者アルスレートだ!」
「勇者君。他の五人の勇者君と協力して世界を救ってよ。女神と約束しちゃったんだよね。麻雀で負けちゃったの」
「麻雀! 勇者に賭け事は御法度だ!」
「そう言わないでよ。勇者だって賭け事はするよ。ほら、よくカジノに行くじゃない」
「けしからん。どこの世界の勇者だ!」
力いっぱいおこる俺。大仏は面倒くさくなったようだった。
「いいじゃん。大仏だって賭け事をする世の中だよ。楽しもうよ」
大仏は俺に宝くじを押し渡した。
「これ、あげる」
「黄金の大仏がこんなもん買うなー」
「そうは言っても中身は黄金じゃないから。心は金だけど」
「どうでもいい話を聞いた」
ため息を吐く俺だった。