表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100年後の冬  作者: project-r1
第3章: 黄金の雪
7/12

第7話 時計仕掛けの愛憎

ここはどこだろう。

白い世界。

天井も、壁も、窓の外も白い。


私は?

マリア・ハウンドだ。

ここは病院。


そう、私はイフリートを助けようとして・・・


ベッドのそばには、ジョン兄さんがいた。


「やっと起きたか、マリア。」

何かを隠したような神妙な面持ち。

「今日は何日?」


【2126年12月26日・早朝・ニューヨコハマ・セントラルエリア・ハウンド記念総合病院】

「クリスマスイヴを逃したな。」

兄さんはそう言った。

「茶化さないで、イフリートは?解放派は?」


少し時間が経ってから兄さんは、

「イフリートは生存が確認された。解放派会合は29日に正常に行われる。」

少しほっとしたが、言葉に違和感を感じた。

「イフリートはどこに?」


すると、兄さんは、こう語り始めた。

「23日。この病院に彼女が現れて、マリアに輸血した。そして、同時刻リオンが殺された。」

動揺を隠せなかった。なんでリオン兄さんが・・・


「リオンは、維持派の人間だったみたいだ。」

!?

「そんな。嘘よ。」

やさしいリオン兄さんが維持派になんか・・・


「24日。キバの工場が爆破されて、そこで彼女が確認された。」

混乱しつつ言葉を1つ1つ確認していく。

「キバの・・・狼犬の工場ね。一体誰がそんなことを。」

私が言うとジョン兄さんは1つの写真を出して私に見せた。


荒々しい、軍人のような男の写真と一緒に写っているのはイフリートだろう。

そして、写真の裏にはsane(正気)と書かれていた。


「誰がこれを?」

兄さんに尋ねた。しかし、答えは

「分からない。」




私は気になりつつも傷癒えないまま病院を後にした。


元日はもうそこまで来ている。

行動を始めないと。


【同日・昼・ネオトーキョー・マルノウチ・迎賓館・内部】

私に何があったかを知る以前にここに行くべきだと感じた。

拝見できるかどうか、分からない。


私は秘書に少し待つように言われた。

解放祭が迫っているため、マスコミもここには多い。

一人の記者が私に話しかけてきた。

「クロノタイムズ記者の春香美矩といいます。」

桃色の髪に青の瞳。あどけない少女そのままだ。

「私に何か?」

私が不機嫌な顔をすると、

「いえ、つまらない顔をしていると人生がつまらなくなりますよ。」

彼女はそのまま言葉を継いで、

「私はただ、解放派についてどう思うか聞きたいだけです。」

そんなことか…と思いつつ回答した。

「差別はいけないこと。解放しなければいけない。」

と。そう言うと彼女は、感謝の言葉を述べて、立ち去って行った。


【同日・昼・ネオトーキョー・マルノウチ・迎賓館・大部屋】

部屋に入ると、大統領と解放派のメンツが私を待ち受けていた。

いつも通りの顔をして。

私が座ると本題に入った。

「ハウンド君。状況は分かっているかね。」

と、大統領が聞いた。

「いえ、あまり状況は分からなくて…」

そう私が言うと、大統領秘書が語った。

「要点はリオン・ハウンド共生官の裏切りと暗殺、殺し屋ノウマンの拉致・暗殺・爆破と、」

「29日のことについてです。」


「まずはあなたの兄、リオン・ハウンド共生官は維持派と裏で繋がり、」

「カワサキ事件と拉致に関わっていたことですが・・・」

秘書に改めて言われても実感がなかった。裏切りなんて、

「信じられませんでした。でも、真実なんですね。」

場の空気は悪い。私の気持ちを察してくれたのか・・・


少しの沈黙の後、

「次にノウマンについて、彼は解放派の過激な男だと考えられています。」

イフリートを誘拐した奴か。


「どう思いますか。あなたは裏切った兄を。」

・・・どう思ってる?リオン兄さんを?

兄というその点では、確かに愛していた。

死んだといわれた時正直悲しんだが、

敵対している裏切り者としては恨んでいる。

いちおうそういう意味を込めて、

「かつては愛していました。」

と返答をした。


それから小一時間諮問された後、私は、解放された。

自然とキバの方へ足を進めた。


【同日・夕・メガフロント・ニューキバ・工場跡地・玄関前】

私はがれきに人の醜さを垣間見た。

すっかり原型を無くしてしまった工場跡。



「姉さん。」

そこで私は懐かしい声を聞いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ