最終話: 変わらない全て
世界は変わった
それが誰の望んだものかは誰にも分からない
新人類と旧人類の立場は変わり
亜人と真人類という名前が付いた
女性亜人は新人類の愛玩動物となり
男性亜人は新人類の奴隷として使われるようになった
時代はただ繰り返すさらなる過ちを深めて
この時代は俺が望んだものだ。人間の愚かさ
ハーフを生んだ時代への逆襲
フェルリンでもハウンドでもどちらが勝ってもよかった
まさか、旧人類が勝つとは…
あの女史と姫はよろしくやっている
もはや共依存と言ってもいいだろう
世界には無秩序が広がり英雄はおらず
やがて、新人類の叛逆が始まるだろう
いずれ、世界は終わる
「マリア様。おはようございます」
イフが私の瞳を覗き込む。そして、私からの言葉を待っている
彼女は私とは何もかもも違う。同じ歳だというのに
私は彼女の愛情に包まれて生きている
それは私にとって幸か不幸かは分かりはしない
彼女は幾度となく私を支えてくれた
「マリア様。これ以上寝ていると布団を剥がしますからね」
眠い目をこすりながら
私は起きる
気が付くと外には雪が舞っている
「ご飯出来ましたから、下に行きましょうよ」
私は自由を奪われてしまって久しい
陽の光の下に出ることはほぼ不可能に近い
もし外に出ようとすれば
無残にも切りつけられてしまうだろう
それでも、彼女は私を主だと呼んでくれる
彼女の笑顔もご飯も変わらない
降る雪も変わらないかもしれない
変わったのはそれ以外すべてだ
暖炉の火が優しく燃える
その火の中に失った人々の姿が私には見える
思わず私は涙を流した
彼女がはっ、と気づいて私の肩を抱く
私は死ぬまで変わらない全てを大事にしたいと思う…




