表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100年後の冬  作者: project-r1
第4章: 漆黒の雪
10/12

第10話 解放祭・序

【2126年12月31日・朝・ニューヨコハマ・解放祭会場】

解放祭の会場は、かつてスポーツを行うために造られたスタジアムで行われる

解放祭は31の夜から翌年の元旦まで行われる

ニューイヤーパーティも含めて行られる運びだ

ハウンド一家やフェルリンも極東の著名人はほとんど来賓として訪れることが判明している

テロリストが狙うには格好の場所だと思う


すんなりとスタジアムに二人で足を踏み入れることが出来たのは意外だった

閑散としたスタジアムにここが解放祭の会場ではないような感覚すら受ける

姫は目を輝かせて会場を見ていた


俺たちが今ここにいるわけは、ショーンから聞いた爆弾魔についてだ

もし、爆弾を仕掛けるのならば今しかない


作業員に気付かれないように裏手から回ることとした

ベースボールというスポーツに使うことの多かったこのスタジアムは

戦中は、軍のテントが張られていたと聞いていた

更に幾たびの補修と改装を繰り返しているために

元の姿とは異なっている

以前目を通した最初のスタジアムの地図を頼りに通路を進むと

行き止まりに遭った


ということは、

ここから先は改修時に隠された道があるということだ


「ここは何かあるんですか。ノウマンさん」

壁を叩いて空洞を確かめる俺の後ろで姫は不思議そうな顔をした

べニアの音がして、思いっきり殴ると道が現れた

べニアにカーテンをかけた質素な壁だった

「行こう。姫」


【2126年12月31日・昼・ニューヨコハマ・ホテルポセイドン】

「ハウンドさん、そろそろ時間です」

係りの方が私を呼ぶ

ホテルの通路に出るとボディガードが迎えてくれた

「よろしくお願いします」

というと、軽い会釈をして付いてきたのだった


ここにイフがいないのがより残念に思われる


街に出て会場を目指す間に人々から歓声を受ける

これほどまでに自分は有名人になったのかと

驚きを隠せない

新人類と旧人類を差別した時代が私の手で終わることは誇りに思えた


会場付近まで来ると長い列ができていることに気が付く

裏口から私たちは入ることとなった


【2126年12月31日・昼・ニューヨコハマ・解放祭会場】

解放祭の開場時間は15時となっていた

私はそれまで仮眠をとってみることにしていた

解放宣言の文章は全部頭に入っていたから他の仕事はもう無かった


ふと誰かがいるのを感じる

目を覚ますといつの間にか父が隣で座っていた

「いつの間に居たのお父さん」

父は微笑んでいた

「今だよ」


「私はお前が誇らしい」

遠くを見るような眼をして呟いた

「そんな不吉なこと言わないでよ。絶対失敗しないから」


扉の音がした

そして、開く

「これはどうも、フェルリンさん」

父が相手を睨む

「そんなに睨まないでください。私はあなたの御令嬢に挨拶しに来ただけなのですから」

どう見ても作り笑顔だった

「あなたは解放を反対しているようだけど。やっぱり、このまま引き下がるわけないのね」

私もやつを睨む

「いったい何のことでしょうか。私はお祝いを申し上げようとしただけなのですが」

不自然なその顔で言っても何も伝わらない

「フェルリンさん。ここはお引き取り願いますか」

父が私の前に立つ

「いいですとも」

フェルリンは半周廻って帰ろうとした

「フェルリンさん。息子の仇はいずれ」

父はそう語った

私は顔を覗かなかったが、きっと凄まじい形相だったに違いない


出番はすぐそこまで来ていた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ