第1話 「アカーーーン!!!!」
息抜き
抱負ガチ破り中
「りぃはちっこいなぁ」
「りぃ、守ってあげる」
「りぃは目を放すといつの間にかふらっといなくなってそう」
いや、そんなに幼くねーーーわ!!
いや、ね。たしかに、小さいし童顔だしで動きがトロいけど!幼いって言われ続けてるけどアタシはちゃんと!れっきとした中3!!ちゃんとあんたらと同級生なワケで。守ってもらうほど弱くないし、そんな猫とか幼児みたいにフラフラしないし!
クラスメイトの総評をそう聞きつつプンスコと怒る。
その怒り方も幼く見せている要因のひとつなのだと、頭の片隅で理解しつつも変えることはない。なんか負けたように感じるので。
「りぃ、聞いてる?」
「あー、聞いてる聞いてる」
「聞いてないでしょー」
目の前で話す少女は天橋麟。
アタシの容姿を気にせず接してくれる数少ない友人である。
そんな彼女ははっきり言って顔がいい。いわゆる清楚系美少女ってやつ。こんな友達がいてアタシって幸せだわ。毎日眼福。
ちなみに彼女と知り合って仲良くなったきっかけは胸の大きさについてである。ふたりともほぼ絶壁。この歳になってもそのままなので2人してほぼ諦めている。
「もー、聞いてよー」
そうそう、放っておくとこんなふうに怒り始める愉快なお人でもある。なお、クラスメイトからは『りりペア』だとか『姉妹』だとか言われている。誰が妹じゃ!誰が!!麟の方が妹!!!
「んで、何の話だっけ。推しが尊い?」
「ちーがーうー。この前買った雑誌があるでしょ」
「おー」
「んで、その雑誌にあんたの推しが出てたy「そういうことははやく言ってよーー!!!!!」…いや、あんたが聞いてなかったんでしょうが」
麟がなんか言ってるが放置。
「あのね、ナチューレク様は天使なの!!!まずお顔がキリッとしていて美しい!!!そしてあの冷たい瞳!!どこをとっても完璧に見えるのに実は不器用で努力家!!!なのに言動はおちゃらけていてそれを悟らせない!人との接し方が解らないが故の非人道的な発言だって、なぜいけないのかを説明すれば解る頭脳!まさにギャップの塊!!!あんなの沼るしかないでしょ!!!」
麟はまた始まったよ、とご飯を食べている。尚、麟はファッションに興味があるお人で、ナチューレク様の良さがわからないらしい。はっきり言って損してると思う。
「それでね、っむぐ」
「話してばっかいないでそろそろ食べなさい」
「む、またしゅわむられれりゅ」
「はいはい、そろそろチャイム鳴るわよ」
は!?やっば!もうこんな時間!?
今日の6限は体育なのだ。お腹空いて動けないとかになったら笑えない。
キーンコーン
まじでやばい!!
急いで口にご飯を詰め込む。
んぐっ
急いで食べた代償なのか喉に食べ物が突っかかる。
涙目になるアタシの目の前で麟がいわんこっちゃない、という顔をしていた。
✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿ ✿
はーーー。
大変な目にあった。
5限では直前までご飯を食べていたせいでいじられるし、6限ではこけるし。
今でも擦りむいた膝が痛い。
1人で歩くその足取りは重い。
麟とは家の方向が別なので、大体いつも1人で帰っている。
ちょうど橋を渡っている時、突風が吹いた。
突風に体が煽られる。
ちなみに。
その橋は道が細く、車が通ることも少ない。
たまに通るのは暴走族とか、そのへんの、法外の速度で走っている人たちだ。
しかし。
今日は珍しく車が走っていた。
みるみるうちに近づいてくるスポーツカー。
風に耐えられず吹き飛ばされ車道に飛び出た身体。
体に衝撃が奔る。
「アカーーーン!!!!」
あーー!!!!まだ推しの出てる雑誌買ってない!!!
最期に思ったのはそんなことだった。
…ところで、さっき微妙なイントネーションの関西弁が聞こえた気がするんだが一体何???
一回データ消えて泣きました




