46 春の訪れ
1 春の陽だまり亭
季節が、春になった。
陽だまり亭のリニューアルから、数ヶ月。
町は、暖かい風に包まれている。
陽だまり亭も、賑わっていた。
「リナちゃん、薬草スープください」
「はい!」
私は、厨房で忙しく動いていた。
子供用作業台に立って、料理を作る。
もう、当たり前のように使っている。
ハーブティーも、よく売れている。
カウンターには、小分けのハーブティーが並んでいる。
「これ、ください」
「ありがとうございます」
母さんが、お客さんに渡している。
「もっと多い量が欲しい場合は、ソフィアさんの薬草店に行ってくださいね」
私が付け加えた。
「分かりました。ありがとう」
お客さんが笑顔になった。
すべてが、うまくいっている。
2 リナの気づき
夕方。
営業が終わった後。
私は、厨房を見回した。
綺麗な調理台。
統一感のある器。
使いやすい道具。
トビアス、ディーター、グリム。
3人の職人が作ってくれた。
マルクスとインゲのコーディネート力。
ソフィアさんとは、薬草料理を開発した。
改装中の時間。
あの時間があったから、今がある。
「リナ、何してるの?」
母さんが声をかけた。
「ううん。厨房を見てただけ」
私が答えた。
「綺麗になったわね」
母さんが笑った。
「うん」
私も笑顔になった。
父さんも、近づいてきた。
「改装からは、なんだかあっという間だったな」
3人で、笑い合った。
ソフィアとの出会い、薬草料理の開発。
マルクスとインゲの新事業。
改装中の時間は、みんなを成長させた。
私たちは新しいものを、生み出した。
これからも、頑張ろう。
3 ソフィアの成長
同じ頃。
ソフィアは、薬草店で考えていた。
おばあさんが、隣にいる。
「ハーブティーの物販、うまくいっているな」
「はい。陽だまり亭で試してもらって、うちの店で改めて買ってもらう。良い仕組みです」
ソフィアが説明した。
「お互いの店が、発展している」
おばあさんが満足そうに言った。
「ソフィア、販売が順調なのはありがたいが、それだけで満足するのではなく、薬草の知識も学び続けるんだぞ」
「はい」
ソフィアさんが力強く頷いた。
4 マルクスとインゲの確信
マルクスとインゲは、連絡ノートを見返していた。
「陽だまり亭のプロジェクトが成功した」
マルクスが言った。
「エドガーさんの酒場も成功した」
インゲも頷いた。
ノートには、たくさんのメモが書かれている。
色の組み合わせ。
デザインの統一。
職人との調整。
「僕たちの仕事、形になってきたかな」
マルクスが言った。
「うん。トータルコーディネート業」
インゲも笑顔になった。
「店全体をデザインして、必要な職人を手配する」
マルクスが続けた。
「店主の要望を聞いて、職人に伝える。職人の提案を、店主に伝える。両方の間に立つ。それが、僕たちの役割」
インゲが付け加えた。
「今後は、営業活動も積極的にしていこう。飲食業以外の顧客も増えるかもしれないし、センスと知識を磨いて、職人との交流も増やしていこうね。若い職人との交流は、新しいことをするチャンスになるだろうし!」
2人は、決意を新たにした。
5 職人たちの思い
トビアス、ディーター、グリムの3人は、エドガーの酒場で集まっていた。
店の雰囲気を確認し、自分たちの作品で、どのような店になったのか確認したかったのだ。
また、ディーター、グリムは息子と娘が立ち上げた新事業という意味でも気になっていた。
「ディーターさん、グリムさん、マルクスとインゲの事業、うまくいっているようですね。店の雰囲気もいい」
「一職人としては、いいものができたという自負があるが、親としては子のことは心配が尽きないよ。順調なようでなによりだ」
「…そうだな。酒場の雰囲気も活気があって良い」
グリムがぼそっと話しながら、ディーターが作った酒器で酒を飲む。
「これからの時代は、あの子たちが作る」
ディーターが酒を飲みながら言った。
「息子たちの成長は誇らしい。新しい事業は未知数だが、父として、成長が誇らしい」
「…そうだな」
職人たちも、若い世代を見守っている。
みんなが、それぞれの道を歩んでいる。
6 エンディング
春が来た。
陽だまり亭のリニューアルから、数ヶ月。
リナは、成長を実感した。
ソフィアも、薬草師として成長した。
マルクスとインゲは、新しい職業を確立した。
職人たちは、若い世代を見守っている。
みんなが、成長した。
春の風が、町を吹き抜ける。
新しい季節。
新しい始まり。




