38 薬草料理の試作
1 ソフィアの家の厨房
翌日の放課後。
私は、ソフィアさんの家を訪れた。
「リナちゃん、いらっしゃい」
ソフィアさんが、笑顔で迎えてくれた。
「こちらが、厨房よ」
小さな厨房。
でも、必要なものは揃っている。
調理台。
鍋や包丁。
食器も、きちんと並んでいる。
「ここで、試作しましょう」
ソフィアさんが言った。
私は、厨房を見回した。
陽だまり亭より、ずっと小さい。
でも、温かい雰囲気がある。
「準備はできてる?」
父さんが、後から入ってきた。
「はい。薬草も、準備しました」
ソフィアさんが、テーブルに薬草を並べた。
タイム。
カモミール。
ローズマリー。
乾燥した薬草が、良い香りを放っている。
2 おばあさんの説明
おばあさんが、薬草を一つずつ手に取った。
「リナちゃん、まず薬草の効能を覚えておくといい」
おばあさんが、タイムを見せた。
「このタイムは、消化を助ける。食後のお腹の調子を整えるんだ」
次に、カモミールを見せた。
「カモミールは、リラックス効果がある。緊張をほぐして、眠りやすくなる」
最後に、ローズマリーを見せた。
「ローズマリーは、血行を促進する。体が温まる」
私は、メモを取った。
薬草の効能。
大事なこと。
「でも、気をつけないといけないこともある」
おばあさんが続けた。
「量を間違えると、苦くなったり、効能が強すぎたりする。それに、加熱しすぎると、効能が失われるものもある」
ソフィアさんも、真剣に聞いている。
「タイムは、最後に入れるといい。カモミールは、煮出しすぎると苦くなる。ローズマリーは、ほんの少しで十分だ」
おばあさんが、丁寧に説明してくれた。
私は、すべてメモした。
3 最初の試作
父さんが、提案した。
「最初は、スープから始めよう。タイムを使ったスープ」
私も頷いた。
「スープなら、薬草の風味が活きる」
ソフィアさんが、野菜を用意した。
玉ねぎ、人参、セロリ。
私は、野菜を切る。
父さんが、鍋で炒める。
「良い香りだね」
ソフィアさんが言った。
水を入れて、煮込む。
塩で味を整える。
「さあ、タイムを入れよう」
私は、タイムを手に取った。
どのくらい入れればいいかな。
おばあさんが言ってた。
「ほんの少しで十分」。
でも、もう少し入れた方が、風味が出るかも。
私は、タイムをたくさん入れた。
「リナちゃん、それは…」
おばあさんが、声をかけた。
でも、もう遅かった。
「煮込もう」
父さんが言った。
しばらく煮込んで、味見をする。
私が、スプーンですくって、口に入れた。
「……苦い!」
すごく苦い。
薬草の味が、強すぎる。
父さんも味見をした。
「確かに、苦いね。量が多すぎたかな」
ソフィアさんも、心配そうに見ている。
4 失敗の理由
おばあさんが、説明してくれた。
「リナちゃん、タイムは少しで十分だ。それに、入れるタイミングも大事」
「タイミング?」
私は尋ねた。
父さんが答えた。
「薬草は、最後に入れるといい。加熱しすぎると、効能が失われたり、苦くなったりする」
おばあさんも頷いた。
「タイムは、火を止める直前に入れる。そうすれば、風味も効能も、ちょうど良くなる」
私は、反省した。
量も、タイミングも、間違えた。
「もう一度、やってみよう」
ソフィアさんが、励ましてくれた。
5 2回目の試作
もう一度、スープを作り始めた。
野菜を切る。
炒める。
水を入れて、煮込む。
今度は、タイムを入れるタイミングを待つ。
「そろそろ、火を止めるよ」
父さんが言った。
私は、タイムを手に取った。
今度は、ほんの少しだけ。
火を止めた。
「今だ」
私は、タイムを入れた。
良い香りが、広がる。
でも、強すぎない。
軽く混ぜて、少し待つ。
「味見してみよう」
私は、スプーンですくって、口に入れた。
「……美味しい!」
苦くない。
タイムの風味が、ちょうど良い。
野菜の甘みと、調和している。
父さんも味見をした。
「これなら、完璧だ」
ソフィアさんも味見した。
「すごい!薬草が、こんなに料理に合うなんて。全然苦くないし、良い香り」
おばあさんも笑顔になった。
「そうそう。これが、正しい使い方だよ」
6 レシピの記録
ソフィアさんが、ノートを取り出した。
「このレシピ、記録しましょう」
ソフィアさんが、書き始めた。
「薬草スープ。タイム使用。野菜は玉ねぎ、人参、セロリ。タイムは火を止める直前に、ほんの少し」
私も、自分のノートに書いた。
「効能は、消化を助ける」
父さんが付け加えた。
「食後に良さそうだね」
ソフィアさんが言った。
「食事の締めくくりに、このスープを出せる」
私も嬉しくなった。
最初は失敗したけど。
でも、成功した。
薬草料理の、最初のレシピ。
7 次の挑戦
「次は、何を作る?」
ソフィアさんが尋ねた。
私は考えた。
「カモミールを使った、何か」
父さんが提案した。
「カモミールは、リラックス効果があるから。ハーブティーが良いんじゃないか」
ソフィアさんが頷いた。
「ハーブティーなら、お店でも出しやすい」
おばあさんも賛成した。
「カモミールティーは、定番だからね。でも、リナちゃんたちなら、新しいアレンジができるかも」
私は、わくわくした。
「じゃあ、明日、カモミールティーを作ろう」
ソフィアさんも笑顔になった。
「楽しみ!」
8 父の感想
試作を終えて、私と父さんは帰る準備をした。
「ソフィアさん、おばあさん、ありがとうございました」
私は、頭を下げた。
「こちらこそ。明日も、楽しみにしてるわ」
ソフィアさんが笑った。
家に帰る道。
父さんが言った。
「リナ、良い経験になったね」
「うん」
私は頷いた。
「失敗して、学んだ。薬草は、量もタイミングも大事」
父さんが続けた。
「料理は、そういうものだ。失敗して、改善して、良いものができる」
私は、父さんを見た。
「父さんも、失敗するの?」
父さんが笑った。
「もちろん。何度も失敗してきた。でも、そのたびに学んできた」
私は、安心した。
失敗しても、大丈夫。
次は、もっと良くなる。
9 ソフィアの喜び
ソフィアの家。
おばあさんが、ソフィアに話しかけた。
「どうだった?楽しかった?」
ソフィアが笑顔で答えた。
「すごく楽しかった!リナちゃんは、失敗しても諦めない。すぐに、もう一度挑戦する」
おばあさんも笑った。
「それは、素晴らしいことだ」
ソフィアが続けた。
「私、薬草のことは知ってるけど、料理のことは分からなかった。でも、リナちゃんと一緒なら、できる気がする」
おばあさんが、ソフィアの頭を撫でた。
「お前も、成長している。薬草の知識を、料理に活かせる。それは、すごいことだ」
ソフィアは、嬉しくなった。
「明日も、頑張る」
10 それぞれの夜
夜。
私は、ベッドの中で考えていた。
薬草料理の試作。
最初は失敗した。
でも、2回目で成功した。
タイムのスープ。
美味しかった。
消化を助ける効能もある。
明日は、カモミールティー。
どんな味になるかな。
わくわくする。
ソフィアさんも、きっと楽しみにしてる。
父さんも、ベッドの中で考えていた。
リナは、成長している。
失敗を恐れない。
すぐに、次の挑戦をする。
薬草料理。
新しい挑戦。
リナとソフィアなら、きっと良いものができる。
ソフィアさんも、ベッドの中で考えていた。
リナちゃんと一緒なら、できる。
薬草を、料理に活かせる。
明日も、楽しみ。
11 エンディング
薬草料理の研究が、始まった。
最初の試作は、タイムのスープ。
失敗したけど、すぐに成功した。
量とタイミングが、大事。
次は、カモミールティー。
どんな味になるだろう。
リナとソフィアの挑戦は、続く。
一方、陽だまり亭では。
改装工事が、進んでいる。
職人たちも、本番の制作を進めている。
すべてが、新しくなっていく。




