33 初めてのコラボ
1 3人の職人が集まる
翌日の昼。
父さんが、3人の職人に手紙を送っていた。
「今日の昼すぎ、陽だまり亭にお越しください」
私と母さんは、中庭のテーブルを準備した。
椅子を6つ並べる。
お茶とパンも用意。
「うまく説明できるかな」
「大丈夫よ、リナ」
母さんが励ましてくれた。
最初に来たのは、トビアス。
真面目な顔で、少し緊張している。
「こんにちは」
「はい、お待ちしてました」
父さんが席を勧める。
次に、ディーターとマルクス。
親子で歩いてやってきた。
「どうも」
「よろしくお願いします」
マルクスは興味津々の様子。
最後に、グリムとインゲ。
グリムは無口だけど、ちゃんと来てくれた。
「おじゃまします」
インゲが丁寧に挨拶した。
3人の職人は、お互いを見る。
初対面だ。
少し気まずい空気。
2 コラボの提案
父さんが話し始めた。
「お集まりいただき、ありがとうございます。今日は、お願いがありまして」
3人の職人が、父さんを見る。
私が説明する。
「みなさんに共同で仕事をしてほしいんです」
「共同?」
トビアスが首を傾げた。
「家具と器と調理器具を、別々じゃなくて、全部調和するように作っていただきたいんです」
母さんが付け加えた。
「調理台のデザインと、店の雰囲気に合う器。それに、調理台で使いやすい調理器具。全体が統一された空間にしたいんです」
3 それぞれの反応
トビアスが目を輝かせた。
「一緒に作る、か。面白そうですね!新しいこと、やってみたかったんです」
30歳のトビアスは、新しいことに積極的だ。
ディーターは戸惑っている。
「一緒に、ですか…。でも、どうやって」
マルクスが言った。
「父さん、面白そうじゃない?器だけじゃなくて、全体で考える」
ディーターは少し考えて、頷いた。
「そうだな。やってみるか。器だけじゃ限界があるし」
グリムは黙っている。
腕を組んで、じっと考えている。
インゲが小声で言った。
「お父さん、せっかくの機会だから」
グリムは長い沈黙の後、ゆっくり頷いた。
「…やってみよう」
4 全体の調和は誰が?
父さんが尋ねた。
「それで、具体的にどう進めましょうか」
トビアスが言った。
「私は家具しか分からない」
「器や調理器具のことは…」
ディーターも頷いた。
「私も、器のことしか」
グリムは黙って聞いている。
私も困った。
確かに、バラバラに作ったら、調和しない。
「全体の調和は、どうする?」
その時、マルクスが手を上げた。
「僕たちが、やります」
みんなが、マルクスを見る。
インゲも頷いた。
「私たちが、全体の調和をとります。色彩も、デザインも、調整も」
5 マルクスとインゲの提案
マルクスが説明した。
「僕たち、それぞれの工房を見学させてもらいます。そして、全体のデザインコンセプトを考えて各職人に提案します」
インゲが続けた。
「進捗も確認して、調整もします。3つの工房を繋ぐ連絡役です」
父さんが感心した。
「なるほど。トータルコーディネーターだ」
トビアスが頷いた。
「良い考えですね。若い視点が、必要かもしれない」
ディーターも同意した。
「マルクス、お前がやってくれるなら」
「父さん、任せて」
グリムは黙って頷いた。
6 役割分担
具体的な話が進む。
「まず、調理台の木の色を決めましょう」
トビアスがメモを取る。
「それに合わせて、器の色を」
ディーターも頷く。
「調理器具も、デザインを揃える」
グリムが初めて口を開いた。
「…柄を、木にするか」
マルクスが嬉しそうに言った。
「そうです!柄を木にすれば、統一感が出ます」
インゲがノートに書き込む。
「私たち、連絡ノートを作ります。進捗や、調整内容を記録して」
7 改装と休業
父さんが言った。
「ただ、改装には時間がかかります。厨房を作り直すので、少なくとも1週間ほどかかるのではないかと思います。その間、店は休業になります」
トビアスが頷いた。
「そうですね。内装工事には一定期間が必要です」
ディーターが言った。
「その時間を、私たちは新メニューの考案に費やしたいと思っています」
8 スケジュール
マルクスとインゲが、スケジュールを考える。
「まず、今週中に各工房を見学します。来週、試作品を作ってもらって、再来週、調整して3週間後には、完成を目指しましょう」
父さんが頷いた。
「良いスケジュールですね」
トビアスが言った。
「頑張りましょう」
ディーターも笑った。
「久しぶりに、面白い仕事だ」
グリムは黙って頷いた。
でも、その顔は、少し明るい。
9 最初の一歩
会議が終わった。
職人たちが帰る準備をする。
トビアスが私に言った。
「リナちゃん、良いアイデアをありがとう。楽しみにしていてください」
マルクスとインゲも話している。
「父さん、僕、頑張るよ」
「お前なら、きっとできる」
インゲもグリムに言った。
「お父さん、一緒に良いものを作りましょう」
グリムは頷いた。
「…ああ」
3人の職人が帰っていく。
マルクスとインゲは、最後まで残って、父さんと話している。
「明日から、工房を回ります」
「お願いします」
父さんが笑った。
「よろしく頼みます」
10 リナの想い
職人たちが帰って、静かになった。
父さんと母さんと私。
「うまくいくかしら」
母さんが少し心配そう。
「きっと大丈夫だよ」
父さんが笑った。
「マルクスとインゲがいる。あの2人なら、きっと」
私も頷いた。
みんな、協力してくれる。
新しい挑戦が、始まる。
でも、休業中のことも気になる。
1週間、店が使えない。
何かできないかな。
母さんが言った。
「休業中も、無駄にしないようにしましょう。何か、できることを考えましょう」
私は頷いた。
そうだ。
休業中も、何かできるはず。
11 エンディング
夜。
窓の外を見る。
星が輝いている。
明日から、マルクスとインゲが動き出す。
職人たちも、試作を始める。
新しいコラボレーションが、動き出す。
そして、私も。
休業中、何ができるだろう。
考えてみよう。
陽だまり亭の、新しい挑戦。
みんなで作り上げる、新しい空間。
楽しみだ。




