31 完成への道
1 最終試作
翌日。
陽だまり亭の厨房の外で、父さんが準備をしていた。
簡易的な燻製装置。
木のチップが、静かに燻っている。
「これで、軽く燻そう」
肉をかける。
煙が立ち上る。
燻製の香り。
数時間後。
「良い香り」
ソフィアが記録を見ながら確認する。
「まず、燻製」
「次に、軽く塩」
「水分を抜いて」
「2種類の葉で包む」
「陶器の壺に入れる」
「蝋で封じる」
私が頷いた。
「完璧です」
2 丁寧な作業
午後。
厨房で、次の工程に進む。
燻製が終わった肉に、軽く塩をする。
「これくらいかな」
「はい」
少し置いて、水分を抜く。
そして、葉で包む作業。
私とソフィアが協力する。
内側に、抗菌性の強い葉。
外側に、香りの良い葉。
「丁寧に」
「破れないように」
2人の息が、ぴったり合っている。
包んだ肉を、陶器の壺に入れる。
隙間にも、薬草を詰める。
「これで、さらに保存性が高まります」
ソフィアが説明してくれた。
最後に、父さんが蝋を流し込む。
溶かした蝋が、壺の口を塞ぐ。
「これで、空気が入りにくくなる」
冷えて固まるのを待つ。
完成。
3 1週間の待機
1日目。
「うまくいくといいな」
「大丈夫です。きっと」
ソフィアが励ましてくれた。
3日目。
薬草店で、ソフィアの祖母が言った。
「我慢の時だ」
「はい」
待つのは、難しい。
5日目。
陽だまり亭で。
「あと少しだな」
「楽しみね」
父さんと母さんが話している。
7日目。
ついに、この日が来た。
私は薬草店でソフィアと待ち合わせた。
一緒に、陽だまり亭へ。
4 結果の確認
厨房。
父さんが、慎重に蝋を割る。
壺の蓋を開ける。
香り。
燻製の香り。
薬草の香り。
「良い香りです」
ソフィアが言った。
包みを開ける。
葉は、しっかり食材を守っている。
肉。
傷んでいない。
色も良い。
「成功したかも…」
父さんが、小さく切って火を通す。
まず、父さんが味見。
「…おお」
「どうですか?」
「美味い。燻製の香りが良い」
「苦味は?」
「ほとんど感じない」
私も味見。
確かに。
美味しい。
保存食なのに、味が良い。
ソフィアも食べてみる。
「すごいです…1週間経っているのに」
5 成功の喜び
3人で、薬草店へ向かった。
「成功しました!」
私たちが報告すると、ソフィアの祖母が試食してくれた。
「…ふむ」
「どうですか?」
「良くできた。苦味もない」
「やった!」
私とソフィアは、喜び合った。
ソフィアの祖母が言った。
「よくやった。2人とも。お互いから学び、協力した。それが、この成功に繋がった」
ソフィアの祖母は、優しく微笑んでいた。
6 商人ギルドへの報告
翌日。
約束の日。
商人ギルドの代表が、陽だまり亭を訪れた。
「できましたか?」
「はい。どうぞ」
父さんが、保存食を差し出す。
商人が試食する。
「…これは」
「どうですか?」
「素晴らしい。味も良い。1週間以上持つなら、長距離輸送にも十分耐えられる」
商人は満足そうだ。
「約束通り、報酬をお支払いします」
袋に入った金貨。
かなりの額だ。
「ありがとうございます」
「こちらこそ」
商人は笑顔で帰っていった。
7 それぞれの未来
夕方。
家族で、報酬を見ながら話した。
「よくやったな、リナ」
「お疲れ様」
「ソフィアさんと、ソフィアのおばあさんのおかげです」
「この報酬で、店を少し良くできるな」
「テーブルを増やしましょうか」
「中庭にも、席を作れたら」
母さんと私は、楽しそうに話した。
父さんも、嬉しそうだ。
8 友情の深まり
翌日。
私は薬草店を訪れた。
「ソフィアさん」
「リナさん!」
2人は笑顔で向かい合った。
「成功しましたね」
「はい。ソフィアさんのおかげです」
「私も、リナさんから学びました」
「組み合わせの大切さ」
「私も、記録の大切さを学びました」
ソフィアの祖母が言った。
「良い友を持ったな、ソフィア」
「はい、祖母様」
「リナ、また何かあれば、いつでも来い」
「ありがとうございます!」
9 エンディング
ソフィアさんという友ができた。
これからも、一緒に学んでいきたい。
ソフィアは思っていた。
リナさんは、特別な子。
また一緒に、何か作りたい。
ソフィアの祖母は、窓の外を見ていた。
2人とも、良く成長した。
未来が、楽しみだ。




