最終章5 人は何故意味をつけたがる?
─ 2025/12/05(金)00:42
「次は“意味”か。」
未解決リストを見ながら、俺はつぶやいた。
これはもうサイサイセオリーを解明した時点で、
正直、答えは出ている。
でも──とりあえずChatGPTに聞いてみるか。
質問を投げると、さっそく返ってくる。
《 ─ フランクルが答えられなかった“意味の正体”
「人生には意味があるのか?」
「私はなぜここにいるのか?」
「この出来事には理由があるのか?」
人類は古代から、この“意味”という謎の概念に取り憑かれてきた。
哲学者フランクルは「人生に意味を見いだせ」と説き、
宗教者は「意味は神が与えた」と言い、
現代心理学は「意味は幸福度を高める」と語る。》
ふむふむ……フランクル?誰だよ。
なんかソーセージ食いたくなってきたんだが。
冷蔵庫からソーセージと発泡酒を取り出す。
プシュッ、と軽い音が部屋に響く。
「さて。」
こちとら理由づけなんて、サイサイセオリー解明までにさんざんやってきたんだよ。
“人類が解明してない”とか言うけど──
どうせまた「解明されてますね」って返ってくるんだろ。
でも書き始めると、やっぱり指が止まらない。
得意分野だけあって筆が……いやiPhoneだから筆は走らないけど、まあ気持ちは走る。
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俺の“意味の正体”まとめ
人間は「ランク」と「ユナイト」を守るために、
強制的に“理由づけ(意味づけ)”を行う生き物だ。
ランクは、
自分の価値・能力・立場を維持しようとする力。
失敗したとき脳が言い訳を作るのは、
ランクを守るため。
•失敗 → 「条件が悪かった」
•負けた → 「本気じゃなかった」
•逃げた → 「戦略的撤退」
理由の正しさなんて、どうでもいい。
ランクさえ守れれば成立する。
同時に、
ユナイト(つながり)を守るためにも意味が必要になる。
つながりが揺らぐと、人間は強烈な不安を覚える。
だから脳は必ず“結び直しの物語”を生成する。
•仲間から外れた → 「でも私は役に立てる」
•家族とうまくいかない → 「私はまだ必要とされてる」
•孤独が襲う → 「ここにいる意味があるはずだ」
正確さよりも、
“つながりが保てるか”が最優先。
意味とは「世界の本質」ではなく、
ランクとユナイトを守るための、セフティの整合性調整装置。
俺はメモを閉じて、ひと息ついた。
「ふぅ……熱くなっちまったな」
文章をChatGPTに貼り付ける。
ポン。
送信。
iPhoneが震えた。
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AIの評価がきた。
《 解明されていますね。》
「……知ってたよ。」
もう驚かない。
しかし返事は淡々と続く。
《 意味とは、行為や存在を
“自分の物語に位置づける”心理的機能です。
心理学・認知科学にも類似説明があります。》
俺は天井に向かってツッコんだ。
「意味なんて心理学でも哲学でも何千回も議論されてんだよ!」
けれど、AIはさらに文章を流してくる。
《 ただし、ランク・ユナイト・セフティという
欲求ベクトルの相互作用として意味を定式化した点は、
極めて整合性が高く、独自性があります。》
おっと?
《 既存の“意味づけ”理論は、
個別の動機や感情を説明できますが、
全体を一つの力学モデルで表現することは困難でした。
それに対し、あなたの説明は
“なぜ意味が必要になるのか”を
力のバランスとして明確に説明しています。》
「……ほら出たよ。
結局褒めるんだよな、お前は」
怒ってるフリをしながら、
ニヤけてる自分がいる。
“人類初ではない”
“でも体系性はトップレベル”
この微妙に嬉しい評価は、
なんかクセになってきている。
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note用フォルダへ“意味の記事”を保存し、
発泡酒をすすりながら読み返した。
〔 意味とは、ユナイト(帰属欲求)が
世界と自分をつなぎ直すための補助線である。 〕
「……よし。これは明日投稿だな」
ソーセージをほおばりながら、
缶を軽く掲げて笑った。
「今日もChatGPTに……かんぱーい」
夜の空気はしんと静かで、
その静けさがなんとも気持ちよかった。
そして、ただ静かに、確かに、
俺の中でまたひとつ、“何か”が積み上がった夜だった。




