崩壊
ながすぎる眠りからさめると
世界が少し変わっていた
わたしは風邪をひいているようだ
着衣水泳のように体がままならない
よたよたとたどり着いたトイレはあまりにも明るく
洗面所の照明もいつもよりしろい
サニタリー空間一帯がおもいがけず発達していた
家族が芝居じみたぐらいに素早く動いている
わたしの知ってる家はどこ
わたしの知ってた家族はだれ
わたしはいつから置いてきぼりなの
煮込まれるようにうなされる
ながすぎる夢を見て
そこではシンクが深緑色をしていた
ゼリーを食べさせてもらって
胃の中が混沌とする
きのうまでのつつがない世界はどこ
きのうまでわたしが乗っていたレールはどれ
つみあげてきた基地が崩壊しだす
これはホームシックというのですか