ちょーっと待ったー!
「ちょっと待ちーや!ウルフに腹を立てんのはよーく分かる。せやけど、その姉ちゃんに気ぃ許すんはオカド違いっちゅー話やで。」
レイリアさんにフェアリーランドから出られる道を教えて貰おうとしていた時に蒼が現れた。
てか何でここに蒼がいるんだ?姉ちゃんは?大和さんは?
「奏とは、喧嘩したんや。今回ばかりは絶対に謝らへんでぇ。」
「あらぁ!蒼ちゃんじゃない。久しぶりー。」
「うっさいわオバハン。」
「リサト、蒼はほっといて行きましょ。」
とうとう、ウルフは見えなくなってしまっていた。見捨てられた。やっと心から信用できる人が見つかったのに。蒼とレイリアの口喧嘩がだんだん遠くで聞こえる。俺が自分の世界に入ってしまったからだ。
「おーい。リサトー?聞いとる?」
「もう!早くしないと教えてあげないわよ!私にも立場とかあるのよ。」
あー…もう。
「俺…分からくなりました。ほっといてください。」
勢いで蒼とレイリアに何か言われると思ってた。でも、俺の想像とは違って静まる二人。二人は何も言わずに俺から距離を置いてくれた。
家に帰りたい。ベッドに入ってごろごろしたい。
ただそれだけの事ができない。
「リサトは考えすぎや。道は知ってるから帰るで。」
「…はい。」
「しょうがないから、私もリサトを守ってあげる!」
抱きついてくるレイリア。む…胸が。
「あー!リサト真っ赤やで!エロや!なぁ、ウルフ。」
俺を置いてけぼりにしたはずのウルフは、まだここにいてくれた。気付かなかった自分が恥ずかしい。てか、悩んだのが馬鹿みたいだ。
「ぐずぐずしてる暇はない。一刻も早く…」
「まぁええやん。急いだってええ事ないやろ?」
「お前はいつもそうだ。」「グチグチ言わないのー。だから嫌になったのよ。」
レイリアの言葉にウルフがショックを受けていた。
「今のうちに行くで。」
「あ、待ってください。」
「レイリア、どういう事だ。詳しく教えてくれ。」
「もう!触んないでよ。」
追いかけっこのように俺たちは、出口を目指して走っていた。
「あ、そういえば蒼さん何でここに来たんすか?」
「何でやろなー。天性の勘?なんつってー。」
蒼さんのキメ顔来ました。
「一様門番やったから、熟知しとんねん。」
出口が見えて来た。
「てか!入り口と同じじゃん!」
「ハハッ!そんな声も出せるんやなー。」
マジでハハッじゃないし。とりあえず、脱出出来そうです。