脱出!フェアリーランド
ウルフと二人になってもう3日目だ。ウルフは、川辺から動こうとしない。オレはこの世界のルールを知らないからウルフの横にいることしかできない。
「その癖、よくないぞ。」
オレは歯痒い時に下唇を噛んだり、中指と親指の爪を弾いてしまう。何もできない自分が嫌でしょうがない。見た目が女と言われて、心までもが引っ込んでしまったらオレは…オレは…
「リサト聞いてるのか?今日このフェアリーランドを出るぞ。」
「オレは!って、ぇえ!?いきなりですか?」
「いきなりではなく、チャンスは今日しかない。」
ウルフの門番第648条の記憶によると
『フェアリーランドに入った瞬間、全ての行動を妖精に見られている。故に、フェアリーランドから脱出するのは不可能に近い。』
「じゃあ、どうすればいいんですか!」
「まぁ、最後まで聞け。そんな大声を出されると薄れた記憶が飛ぶ。」
『門番第648条
走れ、飛べ、羽ばたけ!ソコに脱出のヒントが隠されている』
ウルフの言葉を聞き、言葉を失った。門番第何条とかがどんなのか分からないけど、正直に言わせて頂きます。
「何で謎解き調なんですか?」
「…第1条からそんな感じだが?」
うわうわうわ。そんなキョトンとされても困るし。
「で。何で今日じゃないと駄目なんで」「走れ!」
号令をかけられ、真っ直ぐ走った。後ろから火の玉?流れ星?ともかく、キラキラ光るソレが俺の肩をかすれた瞬間、服に火がついた。
「ウルフさん!ウルフさん!火が!」
「あ、ソレはまだ熱くないから火傷しないはず。」
そう言われれば、熱くないような。まさか、催眠術?
「ウルフさん、どこに向かって走ってんですかー?」
「攻撃されてる方向だ。攻撃が止んだら、出口じゃない。飛べ!」
出たよ。第2の関門『飛ぶ』
目の前が川じゃなきゃ躊躇なく飛べた。
「行かせないわ!」
ウルフの前にレイリアが現れた。
あぁ。ややこしくなりそうだ。