人を探してます
スイレンに止められたけど、一人で大和を探す事にした。わざと大和とはぐれたって言ってた蒼と喧嘩しちゃったから、私は一人で行くことにした。
とは言っても、楓ちゃんを探しに行って以来初めての一人旅(?)なんだよね。
コレで強い敵が出たら終わりだね。
おかしいなぁ。私、朝方スイレンの家を出て来たから、そろそろ周りが明るくなってイイはず。
てか、5分歩いたら森を抜けるってスイレンが言ってたのに…
木、木、木!
手品?ってくらい視界に入ってた木々が増えちゃってます。
「やーまとー!」
「そーうー!」
何、ここはひょっとして幻の森?そうだよ。
「奏!生きていたんですね?」
斬兎までいるよ。しかも…大和の後ろになんか亡霊みたいなのがぼやぼや見える。私は目を擦った。幽霊なんて見たことないんだもん。でも目を擦っても擦っても見えるナニカ。
「そーうー!」
が、私の思いもむなしく。いつものように抱きつこうと私めがけてスキップして来る大和。
「幻だとしても、…こーないでー!いやー!!」
「何でだよー!大和くん泣いちゃうぞー?」
「斬兎ぉ!」
「ほら、もう大丈夫ですよ。」
気配もなく斬兎が後ろから肩に手を置いていた。それには逆にビクッとしてしまい、変な声を出してしまった。
「てか、何で逃げんだよ!?」
「だって…コワいんだもん。」
バタッ…ドカッ
私の言葉を聞いた大和が、綺麗に真横の草原めがけてダイブした。と見せかけて、木に思いきり頭をぶつけて頭を抱えている。
「これは現実だね。」
「大和は渡さないよ。」
耳元の一番近くに声がした。変な表現かも知れないけど、耳の近くで囁かれたと言うより、耳の奥に響く感じ。目の端に映る少女。
嗚呼。神様。
異世界は信じても、コレだけは信じたくありませんでした。足下を見るまでは。
みゅーー。
猫と兎の良いところを兼ね備えてる!こんなにかわいい生き物見たことないよ!
「案外幽霊って、怖くないんですよ。」
冷静に観察していた斬兎がつぶやいた。