永久の森
どうしましょう。私とした事が!蔵刃と楓とはぐれてしまいました。
しかも現在怪しげな森をさまよってます。
「斬兎?」
振り返ると、大和が兎と猫に似たぬいぐるみを持っていた。
「大和。良かった。ここにいたんですか!助かりましたぁ。」
「迎えに来てくれたんじゃねぇのか?」
「はい?とりあえずその薄汚れたぬいぐるみを捨てて下さい。」
大和はさらに、見えない誰かに話しかけていた。
トリツカレテイル
「大和、こっちへ来てください。」
ペシッとぬいぐるみを奪い、近くにあった木の幹に優しく置いた。大和は寂しそうに、ぬいぐるみを見つめている。とりあえず、私の方に体を向かせた。
「大和ここは何処ですか?」
「永久の森だよ。」
「永久の森?」
「迎えが来ねぇと出れない森。」
「私が迎えに来たからには帰れますよ。」
大和の目が違う。またどこかを見て笑ってる。これはもしかしなくても幽霊を見てますね。除霊の呪文は覚えてますけど、ひとまず…
ドスッ
私は大和を気絶させました。
「私にも姿を見せてください。」
シーン…
「聞いてますか?おい。姿見せろって!」
私とした事が。ムキになってしまいました。ホワッと、人形のような少女が姿を現しました。
「大和は私のだから、離さないわ。」
「あなたの名前知ってますよ?名前を言ったら消えるんでしょう?私が言ってもいいんですか?」
無表情だった少女は、一変して目をつり上げた。幽霊にしかあり得ないほどの恐ろしい表情。私にはききませんけど。
「あなたが言う前にその口引き裂いてあげる。」
「はぁ。話の分からない幽霊さんですね。大和の中から出なさい。私もキレますよ?」
「私も仲間になりたい。お願い!仲間にして!」
幽霊が仲間ってのも面白いですね。さてどうしましょうか。
みゅー…
足に何かが擦り寄って来た。猫兎が薄汚れたぬいぐるみから本物になっている。
「かわいいですね!」
抱き上げて、頬を擦り付けた。
「私は仲間になっても構いませんが、リーダーは他にいるので、彼に確認するまでの間と言う事でいいですか?」
「本当?やったぁ!」
この幽霊…笑えたんですね。
大和のミゾオチに強く入れすぎて、あと3時間は意識を取り戻さなかった。