会話のズレ
女顔。それがオレのコンプレックス。あとは、気になる事を深入りできない。聞けない。教えて貰えないと、全てを拒否されてるようで嫌なんだ。
さっきから門番とか正直よく分からない。
「結局なんだかんだ言ってウルフは蒼にしか心開いてねぇからな。」
「当たり前でしょう。いいコンビだったらしいですからね。」
コンビ?お笑いコンビ…なわけないか。
「あのアンバランスな掛け合いが良いよね。」
アンバランスな掛け合い??
「じゃねぇだろ?今は行くか行かねぇか。って話だろ。」
ライブに?
「そうですね。タイミングが大切ですから、そんな急いでも」
「じゃ、多数決で決めよう!」
姉ちゃん<お笑いライブ
「ちょっと待った!」
「ん?李里くんどうしたの?」
注目されて、口ごもってしまった。
「いや、何の話か分かんないんすけど、その、姉ちゃん達の事気にならないんすか?」
「なるほど。李里に言ってませんでしたね。」
「今から探すに決まってんだろ。」
【扉の世界】
それは、あらゆる世界への通り道になっていて、生と死の世界に繋がる時もある。目の前に現れた扉がその人に与えられし世界なのだ。
説明を読み終えた斬兎がパタンと本を閉じた。
「その扉の世界に行くんすか?」
「さっきからそう言ってんじゃねぇか。でも、あんま好かれてねぇからひょっとしたらヤバいかも。」
「蔵刃!余計な事言わないでよ。私がいるから大丈夫だよ。」
流れ的に…。
「もちろん李里も一瞬ですよ。」
「ですよねー。」
正直、生と死の境って所に行くなんて信じられない。けど、このドキドキは今までと違ってワクワクした感じがするんだ。
斬兎の部屋のドアに、何か不思議な落書きをしてる。しかも、最後にそれぞれの血で名前を書いた。
すると、緑色の光がドアから漏れ始めた。
「正式な儀式をしたので、門番には伝わってるはずです。」
「間違ってねぇだろうな?」
「私も確認したら、ミスッてないよ。」
オレは上手く息ができないくらい、緊張していた。どうにか深呼吸した。
「合い言葉は」
「ク」
「ル」
「デ」
「リ」
もしもの時の合い言葉は「クルデリ」。オレ達はお互い頷いて、蔵刃がドアを開けた。最後に入ると、そこは、まるで雲の上みたいで天国を連想させた。
「誰もいないみたいね。」
「見えねぇだけだろ。」
「すぐ近くにいます。」
斬刃が呟いた瞬間、オレは誰かに足を回し蹴りされ、掴まれていつの間に後ろにあったか分からない扉に、引きずり込まれそうになった。
「李里!」
3人に腕を持って貰ったのは有難いんだけど、足元の力もすごくて体がちぎれそうで悲鳴をあげてる。
「いっ…!」
「こんな事をするのは、モンキーしかいませんね。」
パッと足元をはなされ、前に倒れた。
「きるっち、さっすがー!オレが今回の担当らしいよ。」
ソイツはすでに、オレの隣にいた。髪の毛は赤茶で、悪戯っぽい中性的な顔だち。服は真っ白な同化する色を着てる。
「なぁ。モンキーさんよぅ。早く奏たちの居場所に連れてけや。」
蔵刃が胸ぐらを掴んでも、モンキーのふざけた調子は変わらない。
「蒼リンが行ってるらしいから、もうお家に帰ればー?」
「蒼はピンチを楽しむ傾向がありますからね。残念ながら、私たちが行かないと危ないんです。」
「モンちゃんお願い。連れてって?」
楓さんの必殺おねだり決まった。
「もうちょっと楽しみたかったんだけどな。しょうがねぇ。」
モンキーが空間に触れたら、桃色の扉が現れた。
「一様言っとくけど、出る時はこの世界の人に頼んでよ。ごゆっくりー。」
蔵刃がガチャっと扉を開けた。