99th ニッキーとお友達
ニッキーは興奮気味にメデスマグナ三号の中でバタバタと暴れ出す。
着陸まではじっとしてて欲しいが、目の前のアルバがそれを許さないのだろう。
猛烈に興奮しているのがわかる。
「うひゃー、おっきい! あんな巨大ロボ、どうやって手に入れたの? あれもミシーハ製なの?
あんなの作られたらうちじゃ勝てないよーっ。どうしよ、パパに報告しようかな」
「おい! ダメに決まってるだろ! 俺の首が飛ぶだけじゃすまないぞそれ」
「えへへーっ。嘘に対しての返しだよおーっ。だってあれどうみてもミシーハ博士でしょ?
博士以外があんなもの動かせるわけないし? ねぇねぇもっとスピードだしてよー。早く降りて!」
ゆさゆさと揺らすニッキー。
あまりにもゆらしすぎたものだから、さすがにバランサーがおかしくなり……真っ逆さまに落ちた。
……と思ったが、さすがはミシーハ製。状態を戻し、振動もなく、ぴたりと着地できる。
「おいニッキー。頼むから大人しくしててくれよ。今パープラー隊長に連絡いれてくるから」
「あの位置から落ちても自動制御なのってずるいなぁ。やっぱりうちの商品じゃ勝てないよぉ! もう!」
連絡を入れに行こうと思ったが、着陸して直ぐにパープラー隊長がやってきた。
あれ? 何かご立腹に見えるけど。
「おやエレット。連絡無しで戻って来たかと思ったら、発信機からの通信が途絶えた来客者を
連れて仲良くお戻りとは、どういう事かな?」
「このおっさんがパープラー隊長なの?」
「おっさん……私がおっさん……」
「あ、あのー隊長! こちらがシドーカンパニーのご令嬢、ニッキーです! 道中不測の事態に巻き込まれ
急ぎ戻って参りました!」
おっさんと言われ暗い顔をしているパープラー隊長。
隊長は随分と若く見えるが、ニッキーから見たらおっさんなのかもしれない。
「ねぇー。早く中を案内してよぉ。見たいよぉ」
「シドー会長のご令嬢、よくおいでくださいましたね。現在会長のお子さんを自由にご案内できる状態に
ありません。こちらへ視察に来られた目的などをお聞かせ願いたいので、ついて来てもらえますよね」
「えっ? ニッキーはエレットに案内を」
「エレット。任務を一時中断。二時間の休息とする。それまでは食事を取り自室で待機」
「は、はい! 承知しましたー!」
「ええーー! エレットと遊ぶために来たのにぃー! 酷いよおじさん!」
「また言われた……やっぱり教育的指導が必要なようだね……メガマル。彼女を担いで連れて来なさい」
「ショウチシマシタ」
パープラー隊長ご自慢のパワフルヘッツ、メガマル。どのような重たい物でも大抵運んでしまう。
つまりパープラー隊長は重い物が持ちたくないともいえるだろう。
ニッキーは片手でひょいと持ち上げられ、隊長に続いて建物の中に入っていった。
「ええー? 全然動けない! 助けてよぉ、エレット! エレットぉー!」
「ニッキー。隊長を怒らせたお前が悪いぞ……俺は任務を解かれた。さぁセイソー! 食事に行くぞ!」
「マスター。戻ってきたらニッキー様は確実に暴れると思われマス。よろしいのデスカ?」
「よろしいも何も隊長が連れて行ったんなら俺に出来る事は何もない。
ただただ無事を祈るばかりだ」
一時任務から外れ食事を取り、あの黒いモヤの事を考える。
姉ちゃんはアルバに乗ったまままだハッチのあたりで実験をしていたが、姉ちゃんに聞いてみるべき
だろう。
今は待機命令が出ているので、後ほどじっくり聞いてみよう。




