93th 惑星シドーからの来客
「マスター。まもなく目的地へ到着シマス。空冷処置を施した装備を着用クダサイ」
「ああ……こんなとこに本当に降りてくるのか?」
指定された場所は、火山と火山の間付近。
とてもではないがそのまま応対できるような場所じゃない。
惑星シドーへは、実際に行ってみたことがある。
地球の生命体とそこまで変わらない外見の生命体が居住している星だ。
決定的に違うのは目の良さだろうか。肌の色も少々異なり、色はピンク色に近い。
シドーには仲のいいリアルゲーム仲間がいるのだが、最近は忙しくてまったく連絡をとれていないな。
久しぶりにやりたい。三次元をフル行使したリアル感格闘ゲーム、バシフィッツ。
「マスター! マスター! あれではないでショウカ?」
「うん? ああ、すまない。少し考え事してて。ニッキー、元気かな」
「ニッキー様デスカ? きっとお元気にされておりマスヨ。それより今は任務に集中しまショウ」
「ああ。そうだな……」
地球では考案出来ないような繊細なボディーをした機体がゆっくりと降りてくる。
大型の乗り物では無いから、人数としては少人数。
着陸地点の座標に一切狂いなく降りてくる。
そして、ハッチがゆっくりと開いた。
そして……飛び出てきたのは……確かこれは昔の日本で一部のマニアに大流行した
ゴスロリという衣装の小さい女の子が物凄い猛ダッシュで突っ込んできた!
「いーーーたーーーーーー! エレットぉーーーーーーー!」
「へ??? だだ、誰だ?」
「くらえー、伐採時雨陣!」
「うぉおお、セーブシフト!」
俺は技名のようなものを聞いてとっさにバシフィッツの戦闘機能のような動きをとってしまう。
しかしここはゲームの世界ではない。相手の斜め蹴りを顔面にもろに受けてもんどりと倒れこんだ。
「ぐはっ」
「いやったぁーー! ニッキーの勝ちーー! にしししっ」
「あつつつつ……あれ? その笑い方……それにあの技。本当にニッキーなのか?」
「そーだよ。ちーーーーーっとも連絡もくれないで! ニッキーがどれだけ待ってたと思うの? 失礼しちゃうわ、本当。レディーを待たせていいのは一流の美青年だけなんだからねっ! にしししっ」
「おお、お嬢様! なんとはしたない!」
「じいじはいっつもうるさいのっ。改めましてごきげんようエレット! 私はニフラフ・ツェツェ・キールルよ! にししし!」
「マスターがのびておりマス。いい一撃デシタ。お見事デス」
「わぁーー! あなたがエレットが話してたセイソーね。可愛い! もらっていい? エレットぉ」
「ダメに決まってるだろ! しっかしシドーカンパニーの来客が、まさかニッキーだなんて全然思わなかったよ」
「コホン。マテリアラーズのご担当の方かな。お嬢様に大してニッキーと呼び捨てにされるとはいかがな
ものかと。おっと先に名乗らねばなりませんな。私はニフラフ・ツェツェ・キールル様の
お目付け役の……」
「じいじだよ。じいじはうるさい! もう……ニッキーの邪魔するなら帰って!」
「お、お嬢様ぁ……じいやは心配で心配で……」
「エレットに偉そうにしなければいいよ! エレットに偉そうにしていいのはニッキーだけなんだから! にしししっ」
「いや、ニッキーだって俺に偉そうにしていいわけじゃないだろ! しっかし久しぶりだ。
まだやってるのか? バシフィッツ」
「何言ってるのエレットぉー。もうバシフィッツ二が出てるよ! 今から始めたって
ニッキーには勝てませんー、残念でしたー。にしししっ」
「はぁ……あれから大分たつもんな。しかしお前そんなに小さかったんだな。あれ? それじゃ俺と
バシフィッツやってたときって一体何歳だったんだ?」
「何歳ってどういうこと? ニッキーはもう十七だよぉ?」
「そ、そうか。シドーの女性は比較的長寿命で成長が遅いんだったな……」
まさかシドーからの来客が旧友のニッキーだったとは。
これから騒がしくなりそうだな。




