92th 着陸地点は危険
「マスター。出力最大で時速三千六百キロもデマス」
「はぁ? マッハ三……ってそんな短時間で作れるものか?」
「イエ。ミシーハ博士だからデショウ」
「姉ちゃんて本当、姉ちゃんだな……目的地はどのあたりなんだ?」
「ここからずっと東の方角デス。かなりの高熱地帯に着陸予測地点を設けてイマス」
「それって、わざとなのか?」
「そうだとスルト、かなり危険思考な人物かと思われマス。ご注意クダサイ」
パープラー隊長から指定された内容は、事前に到着しておくことと、年齢が近しい事しか聞いていない。
どのような人物なのかもわからないままだ。
いつもの隊長なら詳細に話をしてくれるのだが、今回は極秘事項なのか、詳しい内容は伏せられたままだ。
視察にくるといっても、この星はまだまだ未開拓エリアが九十パーセントはある。
そんな場所に呼んでも本当に平気なのだろうか。
……いや、平気では無いと思う。
止められなかったというのが正直なところなんだろうな。
「やれやれ、難儀な事を押し付けられたもんだよ。でもセイソーとこうして二人で出かけるのは
悪くないな」
「エエ。お時間もありますし久しぶりに少しハントしていかれマスカ?」
「そうしたいところだけど、やめておこう。何せ遅れたらどんな目に合わせられるか……」
「それもソウデスネ。少々残念デスガ、急ぎ向かいマショウ。それにしてもこの辺りからは
未知生物が多いデス。この速度であれば今のところ追いかけてくる生物もいないようデスガ」
「警戒はしてるけど、とにかく速くて。鳥とかぶつかったりしないか……?」
「かなりの高度を維持してイマス。この高さまで飛べる鳥類はいないと推測シマス」
「鳥類はいない……か。鳥類より大型の生物がいた場合はその定かじゃない……ってことだよな」
「エエ。どうやら悪い予感が的中したようデス。速度を緩めマス」
「……なんだ、あれ? 鳥……じゃないな。羽も無いし。球体? うーん……どうやって飛んでるんだろう。
シロッコの風起こしみたいなものか?」
「消息不明。データ一致ナシ。未知生物と認定。球体型生物……呼称、スフィアと呼ぶことに致しマス」
「スフィア……襲って来る気配は今のところないが、大きいな」
「体長推定五メートル。大型球体で移動を確認シマシタ。機械ではないようデス」
「これも心音のしない生命体なのか? しかも数が……十、いや二十はいるか。
迂回してやり過ごそう」
「承知シマシタ。迂回ルートを確認。移動開始シマス」
謎の生命体、スフィアを大きく迂回して回避しようとした。
しかしこちらの距離が一定以上近づいた時、その球体は勢いよく動き出した!
「やべっ。気づかれたのかわからないけど追って来る。急げ!」
「出力最大へシフトシマス……相手の速度、かなり速いデス。マッハ二を観測。信じられマセン。
全てのスフィアがマッハ二を観測」
「あんな球体の集団にマッハ二で襲われたらひとたまりも無いぞ……これは報告に加えておこう。
姉ちゃんの最新兵器があってよかった……」
「マスター。この先にもあの球体、スフィアが生息している可能性がありマス。
惑星シドーよりお越しの方々が到着しまシタラ、直ぐ場所を移動するようにしまショウ」
「なんで未開拓エリアにわざわざ降りようとするのかさっぱりだけど……そうだね、そうしよう」
まもなく目的地が見えてきた。
この場所は……どう見ても火山地帯だ。
あの建物で見かけた絵の山はこれじゃないよな……?




