9th パープラー隊長からの指令 地球へ
掃除道具を片手に、非文明的に細かいところの掃除を始める三人。
全員同じことを考えていたので、同時に言葉がついて出る。
『レグアって何者なんだろう』
「……やっぱ連れてきたエレット自身がそう思うのね」
「本当何なのよあいつ! 反則じゃない、あんなの。武器も防具もいらないっていうの?」
「どうなんだろう。もしかしてレグアがヘッツを持てば、マテリアラーズにとって凄い戦力になるんじゃ
ないかな?」
「はぁー? 何言ってんのよ。そう簡単に入れるわけないじゃない。試験が受かるとは
思えないわ。ふんっ!」
「でもさ。フラーとまともに戦えるやつだぞ? このままお別れするのはちょっとなぁ」
「そうね。少なくともこのまま返してしまうのはよくないわ。あの子、あなたに興味があるみたいだしね」
『えっ!?』
「なんでフラーが驚くのよ。さっき隊長と休憩室に向かう前、ずっとエレットについてきて欲しそうに
していたでしょ」
「ちょちょ、何言ってるのよライチェ先輩。それは変なところに連れてかれるかもって心配で……」
「そう。心配でエレットを頼ろうとしたんでしょう。この星で一人だって言っていたのに」
「そっか。俺でよければ力になってやりたい。フラーもライチェ先輩も力を貸してくれるだろうし!」
「ふ、ふん! 別にあたしが助けてやる義理はないけど、あんたがそういうなら助けてやらなくもないわ」
「ふふっ。私は最初からあの子を入団させるつもりだもの。どんな手段を使ってでもね」
「うわー、ライチェ先輩のこのモード、怖いなー……」
「裏工作が始まるわね……」
「君たちねぇ。掃除しろって言ったよねー?」
『ひゃい!?』
突然現れる隊長に、三人とも声が裏返る。まさに神出鬼没。
そして笑顔が怖い。
「あれ、パープラー隊長。レグアとの話はもういいんですか?」
「うんー? もう終わったよ。褒賞も渡し終えたよ。それでだね、エレット。君には追加任務ね。
彼女と一緒に地球へ向かってもらう。入団試験を受けるためにね。当然、行ってくれるよねー?」
「えーー!? こっちに来たばかりでもう本部に戻るんですかー? 嫌だー!」
「おやおや。あの子は君が連れて来たんだから、責任もって行動する。団の鉄則、忘れたのかなー?」
「ひっ……わ、わかりましたー! けれど、レグアは本当に入団したいと?」
「ふう。仕方ない。エレット、君の掃除はいいから休憩室にいるあの子の許へ向かうように。ほらダッシュ」
「は、はいー!」
隊長にそういわれ、フラーとライチェ先輩に少々冷たい目をされながら掃除する部屋を出て休憩室へ
向かう。
到着すると、中にはセイソーとレグア、それにパルスナー先輩がいた。
「おいエレット。全くとんでもないもん持ち込みやがって。これは相当テンションがあがる。
見ろこいつの腕、硬質化させているっていうがとんでもない硬度だ」
「エレット。助けて」
「せ、先輩! ダメっすよ、女の子なんだから!」
「ん? 女もへったくれもねーだろ。全部この俺の研究対象だ」
「ダメです! ライチェ先輩に言いますよ?」
「わーったようるせえな。そんじゃお前、何か代わりの研究物、寄越せ」
「セイソー。倒したグロウコーピオのアレとかないの?」
「あれを渡すんデスカ。おすすめデキマセン」
「平気だって。パルスナー先輩だぞ?」
「わかりマシタ。どうぞこちらをおおさめクダサイ」
「ん? ほう……これはフンか。ほう、こいつは……なるほど。頂いておこう」
「フンってそんなものどうするの」
「しーっ。あのモードに入ったら話しかけちゃだめだ。レグア、ちょっと話がしたいから
別の部屋に行こう。セイソー。レグアを食堂へ案内してくれ。俺は部屋に行って地球に戻る
支度をするから」
「承知シマシタ。さぁレグア様、参りまショウ」
「わかった。行ってみる。また後で」