88th レグアの動き
レグアは俺の静止を聞かず、体の動きを俺へと伝えて動く。
それと同時にアルバも動き、素早い連続攻撃を確認するように暴れ出した。
「レグアの動き、やばすぎる! こんな激しく動かしてたのか!?」
「エレット。地上に降りて。その方が戦いやすい」
「わかった。わわ、凄い速さで降りるな……」
意思を伝えると垂直落下で一気に地上へ降りていく。
辺り一面に響くほどの地響きをたてながら、地上へと降り立った。
「この子、普通に空を飛んでいるけど、どうなってるの?」
「さぁ……姉ちゃんなら解明できると思うけど」
「エレット。集中して。来る。沢山」
「沢山?」
着地がいけなかったせいなのか。壁にボコボコと穴があき、先ほどと同じ
奴が数匹壁から出てくる。
「ちょ、レグア……レグアさん!?」
「エレットはじっとしてて。飛ぶ」
「うわぁーーー!」
俺を持ち上げてジャンプ斜め蹴りで壁へ突っ込んでいくレグア。
するとアルバのジャンプ蹴りで壁から出てくるそいつらが、壁ごと
勢いよく吹き飛んでいく。
さらにそこから回し蹴りを行い、アルバによる蹂躙が始まった。
「凄い。これがあれば私が負けたやつにも勝てるかも。
エレットと会う前に勝てない相手がいた。逃げることしかできなかったの」
「ええ? でも今は待って! う、うわぁーー!」
再び高く跳躍して、壁の上部から落ちてくる奴へ拳を突き立てる。
こんな激しい動き、今の俺では到底真似できそうにない。
「あっははー……やっぱり私、アルバの操作役じゃなくてよかったわ……」
「大きいのがきそう。力試しできそうね」
「これで終わりじゃないの? 大きいのって何だ……こいつらだってアルバから
降りたら相当でかいだろう」
「マスター! 危険です。凄い音がシマス。下がってくだサイ!」
レグアが後方へ跳躍すると、蹴りこんだ壁の奥から確かにガンガンと凄い音がする。
そのままボコリと壁が膨れ上がり、一本の巨大角を生やした兎のような四足
動物が出現した。
アルバの腰くらいほどのサイズであり、確かに超巨大生命体と言える。
「あれも心音のしない生命体か?」
「来る」
エレットの体を相手が動く前にくるくると右側に回転させる。
それに合わせてアルバも体をくるくると右側に回転させると、元々アルバが居た
場所に、角が間近に迫っていた。
そこへ右フックをお見舞いしつつ、その生物へあてた反動で、右後方へ少し移動する。
殴られた生命体は大したダメージを受けているようには見えない。
「効いてない? アルバの粉砕パンチが?」
「柔軟性が高い。殴った感覚はあったの」
「全然ない。痛覚も触覚もないんだよ」
「それんら押しつぶそう」
巨体生物はキリキリと甲高い何かを叫ぶような音を発し、再びこちらを睨んでいる。
後脚に力を入れると再び突進してきた。
「上へ……」
「ダメ。高く跳躍されて貫かれる」
レグアに静止され、正面で身構える形を取った。
「どうするつもりだ、レグア」
「受け止める。角を」
一直線に角を突き付ける構えをとった相手の角を両手でとらえる。
ものすごい勢いで後方に押されるが、しっかりと受け止め切ると、今度は逆に相手を
押し返し始めた。
「柔軟性が高いなら、相手を吹き飛ばしたりしなければいいの。
こちらが動き回れば相手の思うまま」
「そうか。それじゃこのままこうか?」
「あっ……」
俺はそのまま角ごと地面へ押し付ける形をとった。
ぴったりくっついていたエレットごと、地面に押し付ける形をとった。
「私がエレットに押しつぶされる」




