85th アルバとヘッツ
外に出た俺たちは、アルバに乗ったまま、惑星アルバメデスの世界を見下ろしていた。
「本当に凄いわね。巨大な二足歩行の……生命体なんだっけ。これ」
「みたいだね。アルバって名前にしたけど、俺の意思で動いてくれるんだよ。
どういう仕組みなのか、あの姉ちゃんでもわからないんだからね……」
「生命体ならミシーハ博士よりパルスナーの方が専門かもしれないわね。
といっても彼、今は任務で追われているのだけれど……」
「そうだったんだ。あのパルスナー先輩が追われてるって、あんまり想像つかないけどな。
よほどの膨大な量の請求?」
「そう。大陸復興プロセスにおける過程シミュレーション。それと必要となる生命体の検証、繁殖の実施……
数え上げたらきりがないわ」
「それってパルスナー先輩の専門分野外も入ってますよね。怒りそう……」
「怒ったなんてもんじゃないわ。暴れたけど、パープラー隊長にうまく言いくるめられたって感じね。
ただでさえ多い任務に新人の動向任務まで。一体どうやって言いくるめたのかしら」
「何か俺、嫌な予感がするなー……」
「あら奇遇ね。私もだわ……」
「二人とも何の話をしているの」
「レグアちゃんは気にしなくていいの! 考えると少し疲れるから。随分と話が
それてしまったわね。目的地まではもう少しかかるかしら?」
「ハイ。現状ではアルバの速度は非常に遅いデス。ですがこのアルバに乗っているお陰か
他の未知生物に今のところ襲われていまセン」
「確かにそうだな。さすがセイソー。いいところに気づく」
「もしかして、同じ星の生命体同士は襲いあわないってこと……? だとしたら
この星にうってつけの乗り物ね。ゆく先々で散々襲われるから苦労すると思っていたのだけれど」
「でもそれなら、レグアが襲われるのは不自然じゃないか?」
「それもそうか……まだわからないことが多いわね。早く調査を済ませたいところだけど………」
「ライチェ先輩! 外見て、外!」
エレットが突然慌てて示す方向を皆が見る。
すると、その場所には巨大なとかげのような生命体が飛翔して舌を伸ばしていた。
「何あれ……でもこちらを襲って来る気配はまったくないわ」
「照合データ一致ナシ。未知生物で間違いありまセン」
「ここから攻撃して倒すの」
「いいや、あちら側が襲ってこないなら手出しは無用だ。今は目的地へ急ごう」
「それが賢明だわ。あの生物のデータも全くないし、ここだとこのアルバっていうので戦わないと
いけないでしょ? それは不利よ。まだ能力とかもわからないし」
「そういえばレグア。シェラハの補充は済んでる?」
「うん。フラーがやってくれたの。これで完璧って言ってた」
「フラー様はレグア様には特別お優しくしてると思いマス。お気に入りなんでスネ」
「あらぁ……ライバルって感じがしてたのに、取り込むことにしたのかしらぁ……うふふ」
「取り込む? レグアとフラーはもう友達だろ? 取り込んでどうするんだ?」
それを聞いて「はぁー……」と深いため息をつくライチェ。
全くわかっていないと言わんばかりに首を横に振る。
「あれ? 何か少しアルバの速度が上がったような……俺たちのやり取りが
退屈だったのかな」
「あんたのその言葉にいら立ちを覚えたのかもしれないわ……扱いがわからない
乗り物をある意味上手く扱えてるのかしらね……それより、このアルバっていうので
どうやって戦うの?」
「どうやるんだろう? 考えてないけど、パンチとかキック?」
「……うそでしょ。何かしらの戦う方法があってこれできたわけじゃないの!?」
「うん。だってアルバ動かさないと、基地から出れないからね……」
頭を抱えるライチェ。
いざとなったら降りればいいのだが、エレットはアルバで戦う気満々だった。




