79th コクピット内
紫色の巨大兵器に乗り込むと、そこは広い部屋のようだった。
これがコクピットなのか? 一体どうやって動かせばいいのかわからない。
これだけ広いなら、本来は一人で動かすようなものではないのだろうか?
……などと考えていたら、紫色に包まれた球上の外が見える場所から、ミシーハ博士が
手を振ったり跳ねたりしているのが視界に入る。
あの姉は天才過ぎてついていけそうにない。
「操縦するような装置、見当たらないな。セイソー。どうしたらいいかわかるか?」
「マスター。この中は特になにも無いように思いマス」
「だよなぁ……やっぱりこの指輪が鍵かな。一体姉ちゃんはどうやって動かしてるんだろう」
「ミシーハ博士は天才ですカラ、既にこの兵器の構造をある程度理解しているのかも
しれまセン」
外で動く姉の機体はどうやら手招きしているようだった。
兵器から降りたところを見ると、直接話をしたいのだろう。
降りるときも降りたいと意思表示をすることで、降りる事が出来た。
全員一度集まったものの、反応はそれぞれ異なる。
真っ先に口火を切ったのはフラー。お手上げといった表情だ。
「驚いて開いた口がふさがらないわ。どうやって動いてる機械なのかしら」
「そこよ。そこ。これ、機械じゃないのよ。生命体だわ!」
『えっ!?』
「もしかするとこれが文字に書いてあったミナカドじゃないの」
「それだ! レグアが読んでくれた文字に確かミナカドは地にひれ伏すってあったな」
「確か広間にあった文字ですよねぇ。あれ、読めちゃうんですかぁ!?」
そういえば何であの文字をレグアが読めたのか、不思議には思った。
現地特有の文字なのだろうか。でもレグアはいつからここにいるのかもわからない
んだったよな。
記憶喪失か何かだったのだろうか。
「なぜ読めるかわからないの」
「どちらにしてもこの兵器はミナカドっていう名前があったのね。
ただ生命体といっても人間とはまるで違うものよ。機械に近い。
自律した意思を持ちながらも自律した行動派一切行わない。
この指輪で与えられた意思通りに動いてくれるみたいなの」
「乗ったり降りたりをするのに意思表明が必要だったもんな。言葉は理解してるの?」
「いいえ、言葉だけだとダメみたいなのよ。どこかに感情を読み取る部分があるのか
或いは行動を見て判断しているのか。それはわからない。でも恐らく……随分と
長い年月使用されていなかったはずなの。ちょっと試したい事があるんだけど
エレットの指輪貸してくれる?」
「うん。構わないよ。他のが気になるんだろ?」
「いいえ違うわ。外観と性能に差異はあると思うけど、私の試したい事はそこじゃないわ。
お願い、乗せて!紫色さん、乗せて!」
しかしエレットが乗った兵器はぴくりとも動かない。
なぜだろう? 先ほどはああいう感じで指輪を示しながら願えば動いてくれたのに。
「やっぱり。エレット、やってみて」
「あ、ああ。お願いだ。お前に乗せてくれ!」
先ほどのミシーハ博士と大差ない行動をとってみる。
すると兵器は俺へ向けて手を差し伸べ、再び中へと導いてくれた。
直ぐに降りたいと意思表示する。ちょっとだけ悪い気持ちになった。
「やっぱりそうなんだわ。長く封印されていて、最初に登録した者のいう事しか聞かないのかもしれない。
つまり……」
「私たちの専用に、既になっちゃったってこと? あわわわ……絶対怒られるわ……」
「大丈夫よ。エレットがうまくごまかしてくれるもの」
「そう言われてもなぁ……兵器に見初められたっていってもどのみちパルスナー先輩の
ゲンコツは免れなそうだ……」
先行きが少し不安だが、俺たちは暫く兵器ミナカドについて話し合っていた。




