7th トレーニングルーム、レグアとフラー
フラーによって、半ば強引にトレーニングルームで戦う事になったレグア。
しかし彼女は無表情のまま受け入れる。エレットもライチェも
止めたい気持ちより、戦いを見たい気持ちが強かった。
休憩していた部屋より少し先にあるトレーニングルーム。非常に広大なスペースとなっている。
中には空中に浮かぶ的などもあるが、中央にある丸形の空間が目を引く。
「さぁ中に入りなさい。あの中でなら、あらゆる衝撃を数値化して
見ることができるの。あなたの弱点も外からは表示して見れるわ。
あたしとの能力差をセイソーたちに見せつけてやるんだから」
「便利なものがあるのね。わかった。中に入ればいいのね」
【認証エラー。データにアリマセン。許可申請待ちデス。お待ちクダサイ】
「何かエラーが出てしまったようだけど」
「初めて利用する場合は登録していない限り必ず出るわ。気にしないで。
あっちでライチェ先輩がこそこそやってるから」
「こ、こそこそなんてしてないわよ……よし、これでゲストとして登録
できたわ」
「いいんすかライチェ先輩。後で本部に怒られません?」
「その事でエレットにもお願いがあるんだけどねー……それは後回し。
今は見てみましょう。彼女のデータを」
【ゲスト認証が完了しました。個体名称レグア。分析、開示を行いマス】
中央にある円形の空間に、視覚的な情報が浮かび上がる。それは、体全体
の身体能力、強度などのデータが外部から手に取るようにわかる。
「うそ……何これ。信じられない」
「全部、ゼロ表示ですね……ライチェ先輩」
「セイソーも驚きまシタ。このような事、前例がありまセン」
「え? どうだったの? そんなに凄いの? ちゃんとあたしの方も見てよね!」
【個体名 フラージュ 分析、開示を行いマス】
フラーの身体的特徴などが精密に数値化され表示される。
あらゆる身体的な情報が開示されるため、本来は本人によって制限がかけられる
のだが、フラーは今制限をすべて解除している。
「フラー、せめてスリーサイズ位は制限かけなさいよ……」
「きゃーーーーー! 見るな、バカエレットーーーー!」
「なんで俺だけ!」
「あら、今の叫び声でヒップが上がったじゃない。よかったわね」
「ライチェ先輩! やめてぇー!」
赤面しながら情報に急いで制限をかけるフラー。一方のレグアは首を傾げている。
フラーが説明できない状態なので、ライチェが代わりに外から説明をする。
「レグア。その中で攻撃しても相手を傷つけることがないから安心して。
自然と粒子防御形態が発動するの。外から見ている者には攻撃の強さやヒットした状態、結果などが
表示されるの。だから、好きに暴れていいわ」
「殺すつもりでやっていいの」
「いいわよ。思い切り暴れなさい!」
「ライチェ先輩。あれって本当に壊れないの?」
「さぁ。今まで壊れたことなんてないから、平気じゃない?」
「ライチェ様。あの装置も完璧ではありまセン。破壊されるときは破壊されマス」
「まぁ大丈夫でしょ。うふふ、楽しみね。すべてがゼロの数値の少女か……」
赤面したフラーが立ち上がり、頬を膨らませながらレグアへ向き直る。
「これもみんなあんたのせいよ! 覚えてなさい……ルシール。必須装備、銃士」
「ボロ。銃士装備を展開します。メインウェポン、生産国地球、二八七六年日本紅蓮社製バイオプレッシャーガン。アッモ、生産惑星シドー、スパンニードル弾、装填。
ア―マリー、生産、マテリアラーズ、固有を装備しました。すべてボロです」
「あなたたちのそれ。凄い」
「待たせたわね。覚悟しなさい! いくわよ!