63th 地下水脈
あれからどのくらい川で押し流されたのだろうか。
水の中、流れに抵抗出来ず、大きな穴の先へ押し出されるようにして出た。
水の中を再び戻ろうとしても、激流により戻る事が難しい。
「参ったな。川に入ったら洞窟に出ちゃうとは思わなかった。セイソー、ここがどういう構造か
わかるか?」
「現在探索しておりマスガ、地層に何か阻害するようナ金属が含まれてオリ、難しいようデス」
「マッピングが出来ない……ということは磁鉄を多く含む金属かもしれないわね。
もしかしてここ、お宝ザクザクかもよー? くぅー! わくわくするぅ!」
「姉ちゃんが言うとなぁ……お宝作っちゃうような人間だから……」
「服を乾かしたいの」
「仕方ないわね。服くらい自分でどうにかして欲しいものだけど、優秀な私が乾かしてあげるわ」
「ふふっ。レグアさんも随分、ヘッツと仲良しになりましたねっ」
「ばう!」
「フラー、ルシールに俺の分も乾かさせてくれよ。セイソーはマッピングで忙しいんだ」
「し、仕方ないわね。使わせてあげてもいいわよ」
「ボロ。乾燥ならお任せください。フラー様のお風呂上りはいつも乾かしております」
「おお、お風呂なんて想像するんじゃないわよバカエレット!」
「へ? 風呂がどうかしたのか? ここは気温も低いしお風呂があったら確かに最高だけど」
全員で衣類を乾かすと、周囲の土部分などサンプルを採集する。
提出する素材にはならないが、これも十分な調査内容となる。
何せ地球の大地を再構築するとなると、基盤をきっちりしなければならない。
「こういうのはライチェ先輩とパルスナー先輩の役目なんだよなぁ……」
「あの二人は何してるのよ。私たちだけ任務に行かせて……」
「どっちも研究中じゃないか? グロウコーピオの素材からこの星の生命体について
調べてるんだと思う」
「どっちも研究オタクだしね……あれ? 何か聞こえない?」
「ん? 特に何も……いや、少し聞こえるか? 水の落ちる音か何かか?」
フラーの言う通り、わずかに洞窟の奥から音が聞こえた。
少々危険ではあるが、奥に行ってみる事に。
この洞窟は大人四人犬一匹横並びに歩いても、なんら問題ないほどに広い。
自然に出来た大空洞とでも言えばいいのだろうか。
「綺麗ね。こんな場所があるなんて知りもしなかった」
「あんたはどこで生活してたのよ」
「殆どが木の上。エレットがぶつかった木」
「あの上で生活してたのか!? 家を壊しちゃったみたいで申し訳ない……」
「いいの。今はエレットの許が私の家だから」
「あらぁ……お二人さん、熱々ですねぇ……」
「ちょ、何言ってるのよアオアシラ! ばっかじゃないの!?」
「あれぇ? 何でフラーさんが怒るんですかぁ?」
「別に怒ってなんかないわよ! ふん!」
「二人とも静かに。音が聞こえなくなる」
道は入り組んでいるようで、幾つかに分岐している。
音を頼りに進んでいくと……やはりここにも小型の心音がしない生命体がいた。
「やっぱりここにもいる! セイソー、小型の電撃銃を」
「承知シマシタ。マッピングを一時中断シマス」
「セイソーにはそのままマッピングさせておきなさい! 私たちがやるわ! ルシール。
電撃銃!」
「ボロ。承知しました。サンダースコードを装備シマス。生産国惑星シドー。二四二二年製」
「シェラハ。あれと同じの出せるの」
「同じの? もっと上のを出してあげるわ。ライトニングスコードを装備よ。生産国惑星シドー。
三〇〇二年製」
「三千年装備!? 嘘でしょ!?」
「このミシーハに嘘は無いわ! 最新鋭装備、取り付けちゃった。うふっ」
「うふじゃないわよ! 禁止レベルの極秘物じゃない、それって」
「いいのいいの。レグアちゃんのはちょーっと特別仕様だからね。ミシーハのお気に入りってことで」
「はぁ……いいなぁ」
「これ、どうやって使うの」
「セーフティロック解除用に指紋を銃口上部に当てなさい。
ロック解除したら敵に該当するものへ一度照準を合わせる。そうすると右に飛び出ている部分に
対象が移りこむでしょう?」
「映った」
「その画面を右にスライドなさい。自動追尾が開始されるわ。
同じ個体なら登録を呼び出せば再び自動追尾が開始される。習うより、慣れろ……ね」




