60th 地中からの襲撃に備え
「マスター、到着しまシタ」
「これは……あの時ぶつかった木か?」
「そうみたい。エレットに服を破かれたの」
『えっ?』
「ちょ、レグア。その言い方はとってもまずい……」
「ちょーっとエレット。あんた任務中に女の子の、ふふ、服を破いたですって?」
「エレットさんってそんな人だったんだぁ……大胆すぎますぅ」
「あら。いくらレグアちゃんが可愛いからってお盛んね……」
「誤解だー! 俺が破いたんじゃなくて木が破いたんだって!」
「セイソーは見ていませんデシタ。詳細は不明デス」
「セイソー、フォローになってない……それより、この辺調査するために来たんだろ!」
「あー! ごまかした! あんた、後でお説教よ! ふんっ!」
「フラーさん、ああ言ってるけど想像して顔真っ赤になってましたよぉ?」
「アオアシラは黙ってなさい! ルシール、あっちの川も調べにいくわよ!」
「ボロ。水質調査へ向かいます。単独行動は控えるべきです」
「うるさいわね! さっさと行くわよ!」
フラーが一人飛び出して、川のある方向へと向かってしまった。
そんなに怒らなくても……。仕方ないので残った俺たちで辺りに生えている
木の性質や葉っぱ、虫などを調べていく。
レグアにはシェラハを使ってもらい、上空に飛ぶ鳥類を確認してもらう。
「この辺りに生息する鳥は、他の鳥と同じ個体もいたんだ。
けれどこの星にたどり着いた銀河系の人間は、俺たちマテリアラーズが最初のはず。
だから他の星の種族がここへ降り立っている可能性もあるし、単純に生命体そのものが
同じ環境で同じように生まれたって可能性もある。それらをパルスナー先輩が
調べているんだ。だからこそ地質調査なんかを早く済ませるようつつかれてるんだけど」
「そうなんですねぇ……こういった事はミシーハ博士がぱぱっとやっちゃいそうな
イメージなんですけどぉ」
「姉ちゃん? 姉ちゃんは化学や機械的な事は凄いけど、細かい調査とかは大嫌いだから
絶対やらないよ。面倒くさがりだし」
「自慢じゃないけど料理もエレミナ任せよ! 機械に作ってもらった方が美味しいものつくれるし!
それに布団も干せないわ! 箸以上の重たいものは持ちたくないの!」
「というように困った姉ちゃんなんだ……」
「あーははは……何か、研究者っぽいですね……」
「それよりも、やっぱり新しい惑星はいいわね。地形や空模様を見てるだけでも
創作意欲が沸くわ! ここは銀河系に近い太陽もありそうだけれど、気温はおおよそ二十互度かしら。
いっそのこと、この惑星を地球にすればいいんじゃない?」
「それは難しいんじゃないかな。毒ガス地帯もあったし。それに心音がしない生物が
出たのもこのあたりなんだよ。あんな生物に毎日襲われる生活、地球に暮らしていた人たちが
暮らしていけるとは思えないな」
「駆逐すれば侵略……といっても人類も皆、侵略して生きる土地を確保していたのよ。
他の星へ進出するというのは、生物戦争を起こすのと同じ事。食うか食われるかなのよね……」
「できれば平和的に物資の取引や居住環境を提供しあえればいいんだけど、難しいね。
特に心音のしない生物は突然襲ってきた。対話できる相手じゃないことは確かだよ」
「ばう? ばうばう! うー……」
「うん? どうしたシロッコ。何かいるのか?」
突如吠え出したシロッコ。シェラノールがシロッコの言葉を伝えてくれる。
「地中から物音が聞こえる。危ないから警戒して欲しいでござると、言っているで
ござる」
「地中から音? 全然聞こえないしセイソーにもシェラリルにも反応がないのに」
「シロッコちゃんは耳もいいのかな。警戒っていっても……どうしよう、フラーさん
にも伝えないとですぅ!」
慌てて臨戦態勢をとり、アオアシラにフラーを呼びに行かせた。
レグアと二人、どこから襲われてもいいよう、ミシーハ博士を囲むようにして
守る形をとった。
「私……このシチュエーションを待っていたの!」
「そんなこと言ってる場合か!」




