55th 貧しい宇宙賊
「ジョーゴン様ぁ。お腹が空きましたぁ」
「これ以上集まらないでヤンスよ。艦が沈むでヤンス」
「だまってろぃばーろ―畜生め! おめぇらがもっときりきり働きゃおまんまに沢山ありつけるってのによ」
「そんなぁ。ジョーゴン様も一緒に回収してくれればもっと早く終わるんですよぉ?」
「メルハナ。言っても無駄でやんすよ。しっかし参ったでやんすねぇ。一番近くの補給港で
売ると、安く叩かれるでヤンス……」
「シャクシャクシャク。そんなやつには鉛玉をぶちこんでやれば直ぐに言う事きくようになるじゃねえか」
「そんなこといって、ジョーゴン様、人なんて殺せないでしょぉ?」
「違いないでヤンス。全然宇宙賊になんてむいてないでヤンスから」
「じゃかあしい! ジョーゴン様はなぁ。任侠で生きてるのよ。悪党共から奪う
方がかっこいいじゃねえか! シャクシャクシャクーッ!」
「でもおいらたちの艦、軍隊のを盗んだものでヤンスよ」
「そりゃあちげぇぞデカヤンス。これは捨てられてたのを拾ったんだ。盗んだなどと言われるのは
大きな間違いってモンだぜ? そうだろ? メルハナ」
「えー……でもぉ。中に整備してる人がいて、ジョーゴン様が『シャクシャクシャクー! この艦は
今日から俺様のだぁーーー!』なんて大声出してでていくから、絶対追手が向けられますよぉ」
「ばば、バカいっちゃいけねえ。使われていねぇ艦が泣いてるからよ。ジョーゴン様が有意義に
使ってやろうってだけじゃねえか。燃料だけはもらったけどよ」
「……燃料も十分盗人になるでヤンス」
「使っちまったものは仕方がねぇだろ!? ちゃんと後で稼いで送り付けてやらぁ!」
「それ、燃料テロでヤンスね……あれ?」
艦が少し揺れ、直ぐに収まる。
小首を傾げる三人。
「宇宙漂流岩石にでもぶつかったでヤンスかね? ボロい艦だから穴でも空かないか心配でヤンス」
「このジョーゴン無敵艦一号が岩石如きでどうにかなるわきゃねえが……よしメルハナ。調べてこい」
「ええー。回収作業中ですよぉ……お腹空いたし……でも口答えするとごはん抜きにされるしぃ……行ってきまぁーす……」
トボトボと席を離れて作業席を後にするメルハナ。危険信号などは発されていないので、どうせ無駄骨に
終わるだろうと、後方の部屋を見に行った。
「動かないで」
「ひっ……あわわわ……ここここここ、殺し屋! 追手! 快楽殺人者! 鬼! 泥棒! 変態!」
「? あなたは何を言ってるの。エレット。人を発見。これがジョーゴンなの。これにとどめを刺せばいいの」
「ダメダメ! 愉快犯って話だから。といっても犯罪には変わりないから捕縛だね。レグア。せっかくだから
シェラハに指示を出してみなよ。捕縛用道具で拘束って」
「わかった。シェラハ。捕縛用道具でこの……あなた名前は何ていうの」
「メルハナですぅ……はっ! なんであちしは名乗ってるの!?」
「シェラハ、メルハナを拘束して」
「仕方ないわね。ありがたく思いなさい。きつーーく縛ってあげるわ」
「ひぃーーー!? 何、この虫みたいな機械!? 怖いよぉー! 助けてージョーゴン様ぁ!」




