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3st  グロウコーピオ戦 捕獲

「セイソー……距離測れるか?」

「音源モードより視認モードへと切り替え済みデス。距離九百メートル。体長七メートル、真っすぐ移動中デス」

「|必須装備《Required equip》……槍使い」

「承知いたシマシタ。地中から出てきたため地と予測シマス。パルスザン、生産惑星オーディナリー。ニ四六一年仕様制電流槍を装備シマシタ。対防御用膜、オブジェクトシールドを展開シマス」

「……どこから、出したの」

「細かい話は後だ。お互いどこの誰か知らないが、少なくとも共通して言えるのは一つ!」

「そうね」

『あいつを倒してから!』


 土煙を上げながら突撃してくる昆虫のような巨大なソレは、一直線にこちらへ向かってきている。

 足が十六本もあれば動き辛いようにみえるが、一本一本の長さが絶妙に違い、効率よく移動できるように

変則的な形状となっている。

 間違いなく進化種。それも……恐らく当たりだ! 


「セイソー。パルスザンの使用方法を」

「マスター。相手に向かって構え、紫電を展開してクダサイ。それはマスター用に構築設計しなおした

パルスザンです」

「こうか……うわわわわ、ちょ、これ、やばくないか?」

「槍をしっかりつかんでおいてクダサイネ」


 槍に紫色の電気が走り――――ぶっ飛んだ! それを見ていた女性はとっさに俺の体をつかむ。

 まじかよ。とんでもない速さで突き進んでいく! 


「く、セイソー。先に言えー!」

「ご武運ヲ、マスター」


 一気に突撃して巨体を貫く。かなり固い甲殻だったようだが、さすがに貫けない硬さじゃなかった。

 だが……昆虫ならそう簡単にとどめはさせない!

  貫いた反動で奥の方まで突き抜ける俺。いや、放したら放したで転げ落ちる。


「ちょ、止まらな……あれ、一緒に捕まってたあいつは――――」


 その女性は空高く飛び上がり、右足の形状を刃物のようなものへ変化させて昆虫のようなソレを

突き刺していた。なんつー動きだ。


 ようやく止まった槍を肩に持ち、動かなくなった昆虫の方へ歩いていく。


「セイソー。頼む。捕獲、エルメデルの眼」

「武装を解除シマス。捕獲……未登録個体と断定。分析シマス。しばらくお待ちクダサイ。その間に」

「ああ。わかってる。なぁあんた」

「なに」

「自己紹介が遅れた。俺はエレット。こっちはセイソー。俺たちはマテリアラーズ。

名前くらいは聞いた事あるだろ?」

「知らない。初めて聞いた」

「これでも別惑星区間じゃそこそこ有名だと思ったんだけどな。あんた、名前は」

「無い」

「え? 名前くらいあるだろう」

「マスター。解析が完了。第一発見者として登録デキマス。最後に仕留めたのはこちらの方デス。

規定にのっとりこの方の名前を登録シマス」

「……ってことだ。頼むから教えてくれないか?」

「無い。無いものは教えられない」

「……本当にないのか? 名前ないと不便じゃないか?」

「不便じゃない。特に必要性を感じないから」

「じゃあ俺があんたの名前、つけてもいいか?」

「なぜ」

「登録が必要なんだよ。第一発見者としてのさ。それに少し、話も聞きたいから」

「わかった。任せてみる」

「そうだなあ。心音のしない女性……いや、さっきの足を武器に変える技……見事だった。

レグア……なんてどうだ? レッグのアーツに長ける。つまり扱う技術がうまいって意味さ」

「気に入った。それでいい」

「承知シマシタ。捕獲モンスター形状からグロウコーピオと認定シマシタ。申請許可……受理シマシタ。

第一発見者登録、レグア。申請許可……受理されマシタ。おめでとうゴザイマス。レグア様。

褒賞がもらえマスヨ」

「褒賞。何……それ。私、この星で生きる者。あなたたちは別の星なのね」

「そうだな。俺の出身は……どこになるんだ?」

「マスターの記憶では出身地不明。年齢不明体重不明性別不明意識不明所属不明不明不明不明」

「あーーー、悪かったって。この質問はNGだったな。俺も俺の事がよくわからないんだ。

ここには偵察任務で来た。先住民と争ったりする気はない」

「私もここの住民と言えるかわからない。ここはさっきのやつらが支配している。いつからかは知らない」

「そうなのか。レグアはなぜこんなところに――――」

「おいてめぇ! いつまで油売ってやがるつもりだエレットーー! 大至急! 超至急! ワープで

一瞬で戻ってこい! コラァー!」

「うひぃ先輩!? すみません! すぐ戻ります!」

「レグア様。よろしければご一緒にいかがデショウカ。褒賞もお渡したいのデスガ、ここではご用意デキマセンノデ」

「いいの? 私、ついていっても。あなたたちとは違う星。会話はできてるけど」

「言語プロセスは全て、このセイソーが受けもっておりますカラ。こう見えても優秀ですノデ」

「凄い。言葉が通じる相手は初めて。嬉しい。それなら私もついていく」

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