24th 事後処理
「いやー遅れてすまなかったね。ひとまず無事でよかった」
「父さ……エレヴィン中将。助けて頂いてありがとうございます」
そう言って頭を下げるエレット。しかしそんなエレットを肩車で担ぎあげるエレヴィン。
「いつも言ってるだろ。父さんが笑っている間は安全。だからその時は親子でいろと。
それができない息子にはこうだ。えいっ!」
「いてーー! ちょ、大事なとこつかむな! バカ親父!」
「おやー、そんな口をきいていいのかなー? 今圧倒的に有利なのは私なんだぞー」
「距離感と空気を読めーー!」
押し問答するエレットに、レグアとフラーが近づいてくる。
やられているエレットを見てレグアがとっさに攻撃を開始した!
「おっと! いい突きだ。そのまま続けて」
「エレットを放して。早く」
「次は回し蹴り。はい、左正拳突き。おいおい一回転蹴りはまずいだろう。見えちゃうよ。ほらエレットに
見えるように」
「ちょ、ばばば」
「あ……」
レグアの一回転回し蹴りが綺麗にエレットの顔面に決まり、伸びるエレット。
「あっちゃー。息子の言う通り距離感を見誤ったか……」
「エレット、ごめんなさい」
「はぁ……この大惨事に、何やってるんですか。中将」
「おや、初対面だと思ったけどね。君がフラー君か。そして彼女が……ふんふんなるほどねぇ。
改めて自己紹介しよう!」
伸びたエレットを地面に落としポーズを決めるエレヴィン。
「こいつの父親、エレヴィンだ。中将なんて堅苦しい呼び名はやめて、お義父さんと呼んでほしい」
親指を立ててポーズを決めるが、その直後、ズボンがストンと下に落ちる。
どうやらレグアの蹴りを避けた時に、ベルトが壊れたようだ。
「あ……」
「きゃーーーーー!」
「可愛い動物がうつってる」
熊の下着をまのあたりにして率直な意見を述べるレグアと赤面するフラー。
いそいそとズボンをまくしあげ、しまらないシーンを展開したエレヴィンだった。
しばらくしてむくりと起き上がるエレット。頭をふりながら頬を撫でる。
レグアがすぐさま心配して駆け寄った。
「っつーー、やっぱレグアの攻撃は半端じゃないや」
「ごめん。凄く手加減はしていたの」
「これでか!? そりゃ機体を素手で破壊できるわけだ」
「エレット。彼女を正式にマテリアラーズに入れるんだったな。ほぼ間違いなく合格するだろうが、そうだな。今の話を聞いて少し課題を難しくしようと思う。その分合格したらいいものを出せるようにしておこう」
「ええ!? 普通に受からせていいものもくれればいいのに」
「何言ってる。そんな甘い世界じゃないのはお前もわかっているだろう?」
「そういえば……ミシーハ博士は?」
「……それがな」
「まさか、あいつらに!?」
「いやいや、それなら父さんはここにはいない。
家に帰ったらとんでもない物を用意して待ってる」
「とんでもないもの?」
「彼女にだよ。まだマテリアラーズ試験を受かってないのに。まぁあれは試験に受かっていなくても
使用はできるけどな」
「受かってなくても……?」
「さて、事後処理は父さんがやっておく。お前たちの報告も後回し。
今は、家に帰って安心させてやれ。エレハとエレミナを。それに、母さんにもお帰りを
ちゃんと伝えるんだぞ」
「……うん。わかったよ父さん」
後ろを向いたまま手を振る父。
あれはこれ以上触れてはいけない合図。
直ぐに無数の軍機が訪れ始める中、エレットたちはヘッツ生産工場付近を後にした。




