23th 父親なら、いいとこ見せたい
次々とバズーカ、ミサイルを放っていくフラー。
途中で置いていったのをかなり根に持っているのか、やたらめったら撃ちまくる。
「おいおい援軍つきかい。おじさんとしてはあのヘッツを回収して早々に撤退したかったんだけどねぇ」
「ヴィンナー! 子供相手にいつまで遊んでいるつもりだ。あの娘……危険すぎる。
仕留めておけ」
「中尉、そりゃ承諾しかねますね。ハイネズミともあろうものが、女子供にやられたまま、撤退して
恥をかくくらいなら、死んだ方がましだぜ」
「貴様、命令に歯向かうつもりか?」
「違いますって。上訴ですよ。もう少し戦わせてくれれば挽回しますから」
「ちっ。これだから傭兵ってのは。いくら人手が足りんとはいえ、こんなやつ……」
「通信、切ってから愚痴ってもらえます? 中尉」
残り一機のS七式は、フラーの攻撃を全て回避し、高速に動く人のように旋回と前進を繰り返す。
押されていたレグアは傷こそないものの、少しふらついていた。
「レグア! 無茶するな! 後は俺がやる! アイシクルベイン!」
氷のツルがS七式に向かって伸びる……が、氷の勢いがどんどん衰えていた。
「マスター。そろそろタイムリミットデス。使用を一度解除してくだサイ」
「けどこのままじゃレグアが!」
「バカエレット、どけぇーーー!」
後方からミサイルをぶっ放しながら、フラーが突撃してくる。こちらは弾丸に相当余裕があるらしく、遠慮せず次々に撃っていた。
「こっちにもヘッツか。これも欲しいところだけどねぇ……しっかし気の強いお嬢さんだ。
戦場は遊び場じゃないんだよ。少々痛い目を見るが恨まないでくれ!」
フラーに対し銃口を向け放つ……が、レグアがフラーの前に割り込み、腕を盾にして防ぐ。
「あんた……」
「私は平気。少し疲れただけ」
「嘘。凄い顔色悪いじゃない。あんた、ずっと無表情だったのに」
「大丈夫だから」
「銃がまったくきいていない? やはりあの娘、危険すぎる。あれはやはりサイボーグか?
……! まずい! 中尉、撤退だ!」
「どけ、もういい。私がやる!」
「中尉! ……? 通信が途絶えているのか? 中尉! 中尉! ……ええい、脱出する!」
S七式は大きく後方へ移動すると、ステルスにより姿をくらませた。その直後だった。
ドゴォーーーーン! という強い衝撃音のさ中、一人の男がAN八式を操るガルマイラ中尉の前に現れる。
「何だ? 新手か? ヘッツを回収して急ぎ戻らない――――エレヴィン!」
スラっとした立ち振る舞いにくわえタバコをし、少しツンツンとした髪の男性が立っていた。
「いやー、やられたやられた。まさかトイレで罠にはめられるとは。顔出しするのに
下半身丸出しってわけにいかないからね。随分遅れさせられたが、無事でよかった」
「父さ……エレヴィン!」
「く……冗談ではない! 撤退を……」
「逃がすと思う? これだけやらかして。いや……あちらは遅かったか。まいったね、どうも。
LS軍、月部隊も鍛えなおしかな」
LS軍……リベレス軍とも呼ばれるそれは、海だけの生活から解放されたい人々の願いを込めてつけられた名称。
タバコをAN八式に向けて見せるエレヴィン。武器を持っていないにも関わらず,AN八式の搭乗者は
まったく攻撃しようとはしない。
「はぁ……はぁ……なんだこの威圧感は。化け物め……だがこの機体なら!」
左右に往復振動しながら読みづらい動きでエレヴィンの死角へ入ろうとする。
エレヴィンの視点は正面を向いたまま、瞳孔がまるで動いていない。
首の辺りに手をおき、トントンと首の後ろを叩くエレヴィン。
「別にさぁ。格好いいところを見せようとか思ってるわけじゃないんだけど。
やっぱ父親としてはさ。将来の孫を産んでもらうかもしれん女性の前では、頑張ってるお義父さんを
目に焼き付けておきたくなるってわけ」
「何の話だ! 動きについてこれずとち狂ったかエレヴィンーーーー!」
腰に装着していたビーム式のアックスを死角から横なぎに振りぬくAN八式。
それは空を切り、振りぬいたビームアックスがそのままAN八式の機体を振りぬいた。
大爆発を起こすとその機体爆発に吸っていたタバコを投げつけ、そのまま一緒に燃やす。
「わかってないねぇ。狂ってるのは私利私欲にまみれた、お前さんらの頭の中さ」




