19th 機動氷刃士、ブレイクネック社製
「一体何が起きてるの」
「説明は後だ。レグアがいてくれるなら助かる」
「ちょっとぉーーー! あたしを置いてくなんてどういうつもり?」
「ボロ。フラー様、お洋服を」
「わかってるわよ! もう!」
「おいフラー! ついてこなくてもいい。ここから先はやばそうだから先にシャトルへ戻っていてくれ!」
「何言ってるの? あたしもマテリアラーズなのよ? 行くに決まってるじゃない!」
「それじゃ入り口まで。フラーもレグアもヘッツ生産工場の中には入れないからな。
セイソー。必須装備、飛空銃士」
「マスター。材料が不足してイマス」
「何だって? もしかして、惑星アルバメデスで壊したせいか!?」
「そうデス。あの中に月では補充が効かないパーツがありマシタ。飛空用ユニットは使用できまセン」
「仕方ない。必須装備、機動氷刃士」
「承知いたシマシタ。機動ユニット、脚部。生産惑星ジオメトラン、ブレイクネック社製
アンエクスプレインド年製。シャダリングペースを装備しまシタ」
ブレイクネック社製はどれも素早い動きを行うのに適した装備。俺好みのチョイスだ。
「続いてメインウェポン、ブレイクネック社制、アンエクスプレインド年製、アイシクルバインを
装備しまシタ」
「氷剣アイシクルバイン? いいのか、これ使っても」
「非常事態デスカラ。問題ないでショウ。アイシクルバインに合わせてアーマー、ヘッド、ショルダーを
均一装備シマス。カラーモデルはクリアブルーデス」
「すごくいい。私もヘッツが欲しくなった」
「レグアならきっと扱えるようになる。行くぞ!」
「待ちなさいよ! あたしだって必須装備整えたんだからね!」
「それ、遊撃士か?」
「違うわよ! 機銃女士よ。ふふん、バカエレットはまだ見たことないのねー」
「俺、男だからなぁ。それより飛ばしていくから、その恰好だと置いていくかもな! レグア、捕まっててくれ」
「わかった」
「嫌よ、あたしも捕まってくんだからぁー!」
「ブースティング!」
一気に加速する脚部パーツ。ブレイクネック社製の物は全てブースト機能がついており、冷却と
ブーストを交互に行う。年代は不明だが十分新しい時代の製品だろう。
「速い。レグアより速いなんて信じられない」
「当たり前でしょ。これ速いだけが売りの製品なんだから」
「おいおいフラー。ブレイクネック社製品は速いだけじゃなく格好良さも追及してるんだぜ。
耐久は低いけど、男には熱い人気があるんだよ」
「はーあ? 何言ってるのよ。格好良くてもちっとも可愛い製品出さないじゃない! 女子には不人気よ!
あたしにはやっぱりミスオールウェイズとかぁー、カーチアンドカーチとかぁー、ティーファンとかぁ。
今度買ってよね」
「一つも知らない整品で買ってとか言われてもな。それより……目的地へは直ぐつく。
戦闘になるかもしれないから用心してくれ。どう見ても普通じゃないぞ。火災も発生してる!」
遠目に見てヘッツ生産工場が襲われているのは明白だった。
父とも連絡が取れず、姉とも連絡がつかない。
自分でどうにかすると覚悟を決め、燃える工場内へと向かっていくエレットだった。