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185th 惑星、ピポット到着

「アクシズバリエーション展開……素晴ラシイ。やはり月ノ本社は整備が行き届いてイマスネ」

「しかもマテリアラーズは特別だからな。少佐クラスならもっと軍事向きのものも買えるんだけど。ま、今の俺たちには必要ないか」

「アッシェンMの方が凄いでしょ? ミシーハ博士の総結集なんだから」

「姉ちゃんは小型の乗り物作るの苦手なんだよ。基本生きているようなメカにしたがるから。以前メカ型にしたら航行中首がもげて絶叫してた」

「うわ……やりそうだわ。乗り物にも感情移入するのね……」

「エレハお姉さまは素敵な方」

「ちょっとレグア。なんで本名で呼んでるのかしら? しかもお姉様って」

「私はエレットの一部をもらったから。もう家族」

「何よ、それなら私だって!」

「お二人とも落ち着いて下さいね。パインの中にはエレットさんのもっと大事な部分があります。ふふふふ……」

「お前、手術中一体俺に何したんだ!?」

「アクシズバリエーション完了。皆サン。正面をご覧下サイ」

「もう! ……えっ? ここが惑星、ピポット? すっごいエメラルド色! 綺麗ー!」

「キラキラしてる。ここには何があるの」

「惑星ピポットは通称新緑地と言われています。持ち出し禁止の森林が大半で、持ち出そうとすれば容赦なく墜落させられるんですよ。ああ、私の冒険第一弾としては少々文明に欠けますね」

「パインのために来たんじゃないんだぞ。それにしても円盤型は横になったままでも広く見渡せていいな」

「ハイ。着地地点はエリア三三二五。開拓中デスガ、マテリアラーズ基地局がアリマス。通信中……許可が下りマシタ」

「他のマテリアラーズのメンバーもいるの?」

「ああ。ここは確か、管轄がエレヴィン中将じゃなくてシドニー少将じゃなかったか?」

「ハイ。少し怖イ豪快なオバ様デスヨ」

「ふーん」

「あのー、エレットさん。このパインめにマテリアラーズの構成などを教えて頂けませんか?」

「うーん。まずはパインの登録証を本物に変更しないといけないんだが、シドニー少将で大丈夫かな」

「問題ナイと認識してイマス。パープラー隊長の舞台はエレヴィン中将膜下にオイテ十全な権利ヲ保持してイマス。ただ、何かしらの条件を付与サレルものト思イマス」

「その条件をクリアすれば正式な認可をこちらの惑星で出してもらえて、情報を共有して頂けるんですね?」

「そうだな。まずは着陸を」

「承知シマシタ」


 惑星、ピポット。そこは大気圏を抜けると一面緑が広がり続ける、まるで木が地面のような星だ。

 着陸地点はその中にポツンと生えるように立っている緑色の建物。

 塗装も義務付けられているようで、着地地点も分かり辛い。

 マテリアラーズのロゴがあり、そこへ着地すると、数名のマテリアラーズ隊員とヘッツが出迎えてくれた。


「ようこそ。エレヴィン中将傘下、パープラー隊所属のエレット君。私はシドニー少将傘下、シルク隊所属のビロー中尉だ。こっちは同じくシルク隊のベルベン」

「初めまして。突然の訪問にも関わらず受け入れ感謝します」

「なに。ちゃんとパープラーさんから連絡は頂いていたよ。うちの者がそちらへお邪魔するだろうから準備だけしておいてもらえないか? ってね」

「ははは……どこまでも先読みしていて恐ろしい人ですね」

「ところで、怪我人がいると聞いていたが?」

「ああ。うちの新隊員でレグアです。足を負傷しこちらへは療養目的で来ています。こっちはフラー。それと……実は極秘裏に迎え入れた隊員がいて。パープラー隊長に話は通してあるんですが、正式な隊員証を所持していません。ですが、マテリアラーズ補助部門における隊員証発行をしたいんです」

「ふむ……確かに活動員としての隊員証は試験受講が必要だが、補助部門であればその限りではない……その人物はどちらに?」

「実は、特Aクラスの認識阻害持ちでして……」

「何? この場にいるのか? だとしたら信じられん。ここはマテリアラーズ軍事拠点でもある。にもかかわらず、なんの反応も無いなんて」

「ええっと……恐らく少将クラスであれば事情の説明が出来るんですが、シドニー少将へご面会は可能ですか?」

「分かった。連絡を入れておこう」

『その必要は無いよ』


 ビローさんと話し込んでいると、勢いよく近くの扉が開いて方眼鏡の女性が出て来た。

 開いた扉はどこかへ吹き飛んでいった……。


「来るのを楽しみにしてたよ。そんなとこでいつまでぼさっと話し込んでるつもりだい? ビロー。客人に対して失礼だろう?」

「これはシドニー少将……あの、扉は壊さないようにとお伝えしましたよね?」

「そんなもの、壊れる扉が悪いのさ! まったく。もっと頑丈に作れないのかい?」


 いや。どう見ても頑丈そうな扉なんだけど。

 どんなバカ力してるんだろう、この人。

 未だ現役と聞く少将。これは化け物に違いない。


「それで、新人の本登録って話だが……まずは部屋へ行こうじゃないか。ついといで」


 手招きした方へ全員で進むと、あちこち破壊されているのに気付いた。

 一室を乱暴に開けると座るように指示される。


「ここなら平気だよ。認識阻害は好きになれないね、パイエオン」

「……お久しぶりですね、シドニー。何年振りでしょうか」

「言葉しか聞こえないってのは困ったもんだね。まぁいい。それにしてもエレット。あんたとんでもない奴を引き連れて来たもんだね」

「パイエオン……パインをご存知なんですか?」

「古い知り合いだよ。随分と会ってないけどねぇ。それにしてもパイン……ねぇ」

「正式にエレットさんの仲間として行動することにしたんですよ。サポート役として」

「本当の目的はそっちのお嬢さんだろ。見たトコ生物兵器の類か何かかね」

「シドニー、失礼ですよ。彼女は古代人。兵器ではありません」

「ふうん。まぁいいさ。正式な登録証は出してやるが、登録には擬態でもいいから顔が必要。どんな顔にするんだい?」

「まぁ。それなら日本歴史女性、紫式部っぽい顔にします!」

「……パインって名前でそんな顔にするつもりかい?」

「ダメでしょうか?」


 パインの性格は少しネジが外れているっていうか問題があるな。

 何千年前の人の顔で本気で登録するつもりなのか? 


「分かったよ。それじゃその顔を現代風にアレンジして登録しておいてやる。あくまで補助用の隊員証だ。正式な隊員としての認証が欲しければ試験を受けることだね。それとここには療養目的で来たんだろ? 少しだけ遊びに付き合ってもらうよ。それが条件だ」

「……分かりました。何をすればいいんですか?」

「それはねえ……」

エメラルド色の惑星……綺麗だろうなぁ……。

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