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177th 脱出

大変遅くなりましたm(__)m

 崩れ落ちる天井を回避しながら小型機まで戻ると、セイソーが慌てた様子で話しかけてきた。


「マスター。原住民の方と思われる反応が出てイマス」

「何だって? いつの間にそんな照合データを?」

「最初にコンタクトしたときデス……データ一致割合からシテ別人のようデスガ」

「もうじきここは崩れるぞ! 場所はどこだ?」

「この水の先にある、奥の壁の中デス。壁を破壊しまスカ?」

「やってくれ。急げ!」


 小型機に取り付けられた兵器で壁を崩すと、中には卵の殻があり、割れていた。

 その中に三名の子供が入っている。


「どう思う?」

「壁に埋まっていたタメ、取り込まれずに済んだのかもしれまセン。救出を提案シマス」

「分かった。回収したらまずは脱出だ」


 崩壊しかけた場所をセイソーのコントロールで崩れる岩を避け、水に飛び込んでいく。

 あっという間に崩れ落ち、水に沈んでいく洞窟。危なかった……。

 水場から浮上すると、直ぐ近くにもう一機、小型機がいるのが分かる。

 

「遅くなったな。どうやらはめられたようだ」

「どういうことだ?」

「この星は既に知的生命体が住む星として機能していない。星型寄生生命体によるもの

だ。第二種危険生命体生息域に引き上げ。星からの即時撤退をしろと命を受けたようだ」

「仁。レグアたちは?」

「救出済みだ。交渉に来た三名は絶命していたそうだ」

「あのとき、動いていたようにみえたが」

「正確には動かされていた、だな。依頼主に映像を確認してもらったところ、死んだ者

だったということだ。食糧や武器の供給を手配していたころはまだ生存者がいたのだろ

う」

「元凶の一つを破壊した場所で、三人救出したんだ。」

「それは追加報告となりそうだ。まずは戻るぞ」

「仁は冷静だな。セイソー、大気圏へ離脱だ」

「承知しまシタ。念のためナノワクチンを投与しておきマシタ」

「助かる。死んだ星か……依頼は、失敗になるのかな」

「どうでショウ。その人たちを救えたノナラ、あながち失敗とは限りまセンヨ」

「そうだといいけど。他に生存者と思われる反応は無いか?」

「ありまセン。もしかすルト、最後に取り込まれた人たちなのかもしれまセンネ」

「そうか……」


 ――宇宙に出るとアッシェンMに回収され、レグアたちの顔を見て安堵する。

 あちらはあの後取引に来ていた者たちに取り込まれて、巨大な卵に包まれたらしい。

 しかし直ぐに殻を内側からレグアが破壊してみせ、脱出したらしい。

 襲って来た奴らも簡単に蹴散らしてしまったレグア。

 

「アンネさん。取引は不成立になっちゃいましたよね」

「相手側が何も持って来て無かったから、不審には思ってたの。警戒もしてたんだけど

ね」

「アンネはエレットが消えて動揺してた」

「ちょっと! それは言わない約束でしょ!」

「帰りの乗り物がないからでしょ。本当にびっくりしたわよ」

「そっちも大変だったんでしょう? 収穫はあったみたいだけど」

「それでどーすんの? このまま引き下がるの?」

「仁の話だと、第二種危険生命体指定にされたらしい。星ごと寄生されてるって。でもあ

の鱗粉は使えそうなんだ」


 そう話していると、パープラー隊長がやってきて、話に混ざる。


「ふう。わざわざここまで来て収穫が現地民三名の救出じゃ割りに合わないだろうね」

「そういうこと、私に言う? 本当あなたってデリカシーないわね」

「あのー、パープラー隊長、実は……」


 鱗粉について細かく話すと、隊長は眉を細めて聞き入っていた。

 あの鱗粉を使わないのは勿体無い。上手く使えばきっと役に立つはずだ。


「つまりエレットの話だと、鱗粉へ変えてしまう可能性のある柱は破壊した。安全面は向

上しているから、鱗粉を地球へ送る部隊を設けてはどうかということか」

「この星にもう住民はいないようです。死星と決められたのならせめて、残っているもの

を上手く使った方がいいのかなって」

「それこそマテリアラーズね。いいんじゃない。何をしたらいいの?」

「アンネさんも協力してくれるんですか?」

「私だけじゃなく、きっとあのおバカさんも協力してくれるわよ」

「おバカさん? ああ、なるほど……」


 マテリアラーズの本会。それは資源を用い、再び地球を住める惑星に戻すこと。

 その第一歩に俺たちはようやくとりかかろうとしている。

 死んだ惑星の資源を用いて。

 

「後は保護した三名についてだが、公に口外出来る者たちではない。身柄を我々の部隊で

預かることになる。責任者は……」


 全員一斉に俺を見る。

 そうなるよなぁ……。

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